出会い3
そう言って美しい笑顔を見せる。これは絶対に大抵の男子が好きになるんだろうなと思った。
その後も休憩時間になると転校生を囲って質問責めをしたり、休み時間はお弁当を一緒に食べようと声をかけに来ていたが、「ごめんなさい。一人で食べるのが好きなの」と断っていた。
そんなこんなで放課後になった。放課後も一緒に帰ろうと声を掛けられていたようだが、用事があると言って直ぐに帰ったらしい。
「……おい。羨ましいぞ健斗」
放課後になって俺の席の前でしゃがみながら晴矢がずっとそう言ってくる。晴矢は緊張のあまり、今日一回も転校生の咲さんと話せなかったようだ。まぁ俺も話してないが。
「あんなに美少女だなんて聞いてないぞー。間違いなくあれは天陵高校四大天使に入るな」
「……あー、そーだな」
「健斗! あんな美女を見てなんでそんなに平然といられるんだよ! 俺なんてもうあの人見ただけで口が開きっぱなしになるんだぞ!」
晴矢がすごい顔を近づけてくる。
「いや、確かに可愛いとは思うが、俺が大して女子に興味がないだけなんだよ」
そう、恋愛をしてみたいと言う感情はあるが、女子に興味があまりない。というより女子が俺に興味が無い。まぁ確かにどこにでもいるパッとしない普通の高校生に興味を持つ場所がないのだが。
「とか言いながら健ちゃんもあの転校生が気になってたりして……」
「うわっ! びっくりさせるなよ美恵!」
ひょこっと晴矢の頭の上から顔をだす美恵。
「そんなやつじゃないって美恵が一番分かってるだろ」
「そ、そうかな……一番……ね」
そう言って美恵は顔を赤らめる。何を恥ずかしがっているんだか。
「とりあえず、もう俺は帰るわ。妹の飯作らないといけないから」
「あー芽生ちゃんかー!また遊びに行くって言っといて!」
「俺もまた遊びに行くわ!」
う
そんな会話をして俺は家に帰ることにした。春というだけあって帰り道は鮮やかなピンク色で染まっている。