出会い2
「よしっ! じゃあ自己紹介から! 私が今日から二年生B組の担任をします楠木 麗です! 以後お見知り置きを!」
そう言って黒板に大きく名前を書く元気な先生は、この学校で最も生徒から人気のある先生だ。美人っと言う訳ではないがとても背が低く、愛嬌もあって男女共に慕われている。
「やった! 麗ちゃんが先生なんだラッキー!」
「麗先生! 彼氏できましたー?」
「こ、今年は頑張るつもりですから! 」
そう、この話やすさが人気な理由だ。
「それより、もう耳に入ってる人も多いと思いますが、今日からこのクラスに転校生が来ることになりましたー! 入ってきて下さーい!」
先生がそう言うと、またガラガラと扉が開き、長い黒髪の女性が入って来た。クラスの生徒がざわめく。
「はじめまして、岩本 咲と言います。よろしくお願いします」
そう言って綺麗なお辞儀をする。周りからは、「え、超可愛いんだけど」とか「あれ本当に高校生なのか?」なんて声がコソコソ聞こえる。晴矢に関しては予想外すぎる美人で頭がショートしたのか、口と目が壊れたように開いていた。
「んーじゃあ咲さんは……あっ、丁度健ちゃんの後ろの席が空いているからそこに座ってちょうだい!」
先生が俺の席の後ろを指差す。
「健ちゃん……はい。分かりました」
そして、その美女が上品な香りを漂わせながら、俺の横を通り静かに着席した。
「よしっ、今日のホームルームはここまで! 次の始業式は体育館だから遅れず来なさいね!」
先生がニコニコしながら教室を出たと同時にチャイムが鳴り、その瞬間クラスのほぼ全員がドタドタと凄い勢いで転校生の方に集まって来た。
「咲さんってどこの高校から来たの?」や「趣味とかある?」、中には早々に告白して女子からつまみ出されるやつまでいたが、全ての質問にしっかりと答えている。
「趣味ですか……特に趣味と言えるほど出来ることはないですかね……」