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Double Wolf

作者: Kyomoto

【お知らせ(2021年04/30現在)】

Double Wolfボイスドラマ企画進行中です。

詳細は以下のサイトをご覧下さい。


https://inkislw00.wixsite.com/circle-implus


【利用規約】

1.生配信・練習等での使用は自由。

2.お読みになる際、作者名と配布元のURLを記載してください。

3.語尾の改変・その他アドリブは自由。人称・性別改変はおやめ下さい。

4.使用報告自由。

5.誤字・脱字ありましたら連絡お願いします。

6.ボイスドラマ化・演劇上演される場合は営利・非営利問わずご一報ください。


※キャラクターの隣に書いてある『(M)』はモノローグ(心の声)です。

※【SE:〇〇】というのは効果音の事です。生配信・練習等で読まれる方は気にしないでください。

※生配信でBGMを付ける場合、ジャズやピアノ楽曲を使用していただくと雰囲気が出ると思います。

(クラブのシーン・終盤は除く)

【登場人物】

①アレックス=J=クラウン

男性。30歳。身長181cm。主人公の1人でありロンドン市警察署に勤務する刑事。モデルのようなスタイルとルックスの持ち主で刑事には見えないが、人一倍正義感に溢れている。全体的に前向きな喋り方。


②レイ=ブラッドリー

男性。31歳。身長185cm。主人公の1人であり元はアレックスとハリーの同じ職場の同僚であり親友。現在はNYで恋人と共に探偵を営んでいる。ルックス・服装共にワイルドっぽい。性格はさばさばしていて口調も少し荒っぽい。


③ユアン=コーマック

男性。22歳。身長173cm。ロンドン市にある美術大学4年生でベンジャミンの友人。二面性を持っており普段はおどおどしているが、ここぞという時は落ち着いている。


④ベンジャミン=タッカー

男性。22歳。身長178cm。ロンドン市にある美術大学4年生でユアンの友人。見た目チャラいけど中身は真面目。周りに流されやすい。


⑤ハリー=キャラハン

男性。32歳。身長176cm。ロンドン市警察署に勤務する刑事。アレックスと元刑事のレイの同僚であり親友。飄々としていて優しい性格だが、検挙率は署内1位というエリート刑事。1歳と4歳の子供を持つ父親。


⑥カーロス=ヴィ=シルヴァ

男性。46歳。身長190cm。ロンドン市に拠点を置く全ての情報屋を統括している通称【情報屋の帝王】16歳の時から裏社会に身を置いている彼は経験と頭脳で帝王の地へと上り詰めた。性格は陽気で明るい。高身長でグラサンロン毛。


⑦ナナリー=コレット

女性。12歳。1人で買い物に出かけた時に誘拐される。


⑧ガーネット=シナバー

女性。カーロスの行きつけのクラブの従業員。

彼が来店すると担当を任される。


⑨空港アナウンス


⑩ナレーション




【役者表(♂6:♀1:不問 1)】

アレックス ♂:

レイ ♂:

ハリー ♂:

ベンジャミン ♂:

ユアン ♂:

カーロス&空港アナウンス ♂:

ナナリー&ガーネット ♀:

ナレーション ♂♀:





ナレーション「夜のイギリス、ロンドン駅付近。薄暗く光る電柱の下でため息をつきながら待ち人を待つ1人の男がいた」


【SE:人混み】

【SE:車の通過音】


アレックス(M)「はぁ、アイツ遅いな。もう1時間も遅れてるじゃないか」


ナレーション「彼の名はアレックス=J=クラウン。ロンドン市警察に勤務する刑事だ。モデルと勘違いするようなルックスとスラッとしたスタイルで端から見ればとても刑事とは思えない。だが、内に秘めたる心は正義感にあふれ市民からの信頼も厚い。そんな彼は煙草を口にくわえジャケットの右ポケットからライターを取り出そうとするが見当たらない。左ポケット・内ポケットとライターを探すが何処にもない」


アレックス(M)「はぁ、マジかぁ…そういえば家出る時結構急いでいたからなぁ。その時にライターだけ入れ忘れたのか。はぁ…しょうがない買いに行くか。でも...俺が買いに行ったときにアイツが来たら…いやいや、そもそもアイツが連絡も無しに1時間遅れるのが悪いんだ!自業自得さ」


ナレーション「アレックスは口にくわえた煙草を取り歩き出そうとしたその時」


【SE:ジッポライターを開けて火を付ける音】


ナレーション「後ろから誰かがライターの火を付けた」


レイ「お探しもんはコレかな??」


ナレーション「アレックスが後ろを向くと見覚えのある人物が立っていた」


アレックス「…詫びの品がライターの火とは俺も随分とまぁ舐められたもんだな…レイ」


レイ「へっ、久しぶりに再会する友人に対してその言い草はねぇだろ?アレク」


ナレーション「アレックスの前に現れた人物こそ彼が1時間も待った旧友のレイ=ブラッドリーである。容姿・性格共にアレックスと真逆で慎重派のアレックスとは違いレイは行動派で思ったら何でも行動してしまう。彼は3年前までアレックスと同じ警察署で働いていた同僚であり共に数々の事件を解決してきた相棒である。現在は刑事の職を辞めアメリカのニューヨークで探偵業を営んでいる」


アレックス「お前は刑事の時からいつもそうだ!肝心な連絡は全くしないじゃないか!!」


レイ「いやいや、今回はマジで運が悪かったんだよ…ロンドンに着いた(煙草を吸いながら)途端タクシーは渋滞に巻き込まれるわ途中で携帯の充電が切れるわ天手古舞でさぁ…中々お前に連絡出来なかったんだよ」


アレックス「ま、まぁそういうことなら仕方ないな…」


レイ(煙草を吸いながら)「...なんとか納得してもらえたようでよかったよ。…で、わざわざNYから俺を呼び出した理由は何なんだ?と言っても大方予想はついているんだがな」


アレックス「その件についてだが、立ち話もなんだ。車の中で話すよ」


レイ「あぁ、分かった」




(場面転換。アレックスの車の車内)

【SE:運転中】


レイ「で、俺をわざわざ NYから呼び出した理由って一体何なんだよ?」


アレックス「俺の鞄の中にクリアファイルが入っているだろ?それを取って中の書類をみてくれ」


レイ「ああ」


ナレーション「アレックスの指示通りにレイは鞄の中のクリアファイルを取り出し、そのまま中の書類を取り出した」


【SE:資料を読む】


レイ「これは…事件の捜査資料か?」


アレックス「ああ。俺が今扱っている事件だ。ここ最近、ロンドンで少女連続誘拐事件が発生している。今現在被害者は5人で年齢は8歳~12歳。住まいや学校が同じなどの被害者同士の共通点は無く全員初対面だそうだ。...で、ここからが少し気がかりなんだが、誘拐後犯人からの連絡もなければ身代金の要求もなく3日後にロンドン市の公園でほぼ無傷の状態で解放される。事件の事を聞いても何故か全員記憶が無いから何も聞けない。だから今膠着状態なんだ」


レイ「…確かに少し気がかりだが至って普通の誘拐事件じゃねぇか。で、これのどこが俺を呼び寄せる理由になるんだ?さっき大方の予想は付いているって言ったが、これくらいの事件(ヤマ)だったらお前や署の連中でも解決出来るだろ」


アレックス「いや、それはそうなんだが…資料をもう1度よく読んでみてくれ」


レイ「ちっ、何なんだよまったく…」


ナレーション「悪態をつきながらもう1度捜査資料に目を通すレイ。そして、とある一文を見た瞬間レイの表情が変わった」


レイ「っ!?お、おい…お前これって」


アレックス「ああ。解放された被害者全員が着用していたズボンの右ポケットの中にとあるカードが入っていた...」


レイ「…白の背景に赤いピエロのカード…Lurk(ラーク) Clowns(クラウンズ)か」


アレックス「あぁ」


ナレーション「【潜む道化師達】を意味する『ラーク・クラウンズ』は世界を股にかけ暗躍する国際的犯罪集団だ。誘拐・殺人・強盗・爆破そしてテロ。神出鬼没で犯罪という犯罪は何でも犯し忽然と姿を消す。拠点・メンバー人数・素性など全てが不明だが、彼らが関わった事件には目印として現場に1枚のカードが置かれている。そのカードが被害者の少女たち全員のポケットに入れられていたのだ」


レイ「ちょっと待てよ。だってアイツらはここ最近事件を起こしていねぇじゃねぇか。そのカードだってもしかしたら模倣犯の仕業かもしれねぇだろ?」


アレックス「その可能性も無きにしも非ずだが…もしかしたらってこともあるだろ?」


レイ「あ…あぁ...そうだな(口を紡ぐ)


アレックス「…アリシアさんの事か??」


レイ「っ!?…あぁ」


ナレーション「アリシアとはレイの恋人である。3年前彼女はとある爆破事件に巻き込まれた。彼女は丁度買い物の最中でショッピングモールにいた際、突如として大きな爆発が起こった。この爆発で死傷者は500人を超えた。建物には例のカードが置いてあったことから首謀者はラーククランズだと分かった。幸い彼女は無事だったが、目の前で大量に人の命が奪われていく瞬間を見た彼女は精神的打撃を負い事件前の記憶を全て失ってしまった。彼女をまた危険な目に遭わせない為に自分が側に居なくては…そう思ったレイは署を辞め彼女と一緒にニューヨークへ移り住んだのだった」


レイ「…引っ越してから普通に生活を送れているから問題はねぇんだが…今の話を聞くとあいつ等…ラーククラウンズは今でも活動している可能性があるってことだろ?もし何かしらの事件に巻き込まれてアリシアと同じ目に遭った人がいたとなったら俺は…」


アレックス「そのために俺はお前を呼んだんだ」


レイ「アレク…」


アレックス「2週間しかないとはいえ何かしらの進展はあるはずだ。その間に犯人を捕まえてアイツらがやったのかそうじゃないのか直接本人に聞けばいいだけさ」


レイ「あぁ…そうだな」


ナレーション「話をしているとレイが泊まるホテルに着いた」


【SE:車のブレーキ音】


アレックス「今日はもう遅い。続きはまた明日な」


レイ「あぁ。おやすみアレク」


アレックス「おやすみ」


ナレーション「そういってレイは車から降りホテルのロビーへと向かった」




(場面転換。ロンドン市警察署)

ナレーション「翌日。アレックスは職場であるロンドン市警察署に居た」


アレックス「はぁ…」


ハリー「随分とお疲れのようだなアレク」


アレックス「おぉ、ハリーかおはよう」


ハリー「おう。おはようさん。昨日はちゃんと寝たのか?」


アレックス「いや、昨日は家に帰ってから事件について資料を読み直してたんだ。おかげで3時間しか寝れていないんだ」


ハリー「おいおい。事件について熱心になるのは良いが、ちゃんと寝ないと体壊すぞ」


アレックス「あぁ、分かってるよ」


ナレーション「彼の名はハリー=キャラハン。アレックスとレイの同僚であり良き理解者。飄々とした性格だが検挙率は署内1位。愛妻家で2人の子供を持つ父親だ」


ハリー「お前、今回の事件(ヤマ)、例のテロ組織が関わってるかもしれないからって躍起になりすぎなんじゃないか?少しは肩の力抜いたらどうなんだ?」


アレックス「そうしたいのは山々だが過去に大量の死傷者を出しているんだ。軽い気持ちで挑むわけにはいかないよ」


ハリー「気持ちは分かるが周りの事だけじゃなくて、少しは自分の事考えろよ。途中で倒れたら元も子もないだろ?それに今回の事件(ヤマ)追ってるのはお前だけじゃない。俺らもいるんだ。ちょっとは信頼してくれよ」


アレックス「…あぁ、そうだな。ありがとうハリー」


ハリー「へへっ、良いって事よ。俺らは同僚であり親友でありライバルだ。そう簡単に辞めてもらっちゃ困るよ」


アレックス「俺もお前に辞めて貰っちゃ困るよ。勿論ここに居ないアイツだって思っているだろうさ」


ハリー「アイツってレイの事か?最初にここ辞めてアメリカで探偵やるって聞いたときは冗談かと思ったが、どうやら上手くやってるみたいだな」


アレックス「そのレイだが、今ロンドン市内に居るぞ」


ハリー「それ本当か!?」


アレックス「あぁ。今回の件少し気がかりな部分が多かったからアイツを呼んだんだ」


ハリー「おいおい、元刑事とはいえ部外者を呼ぶのはどうなんだ…」


アレックス「部外者じゃないさ。一探偵として意見を聞いているだけだよ」


ハリー「うーん、なんだかなぁ。まぁ、アイツが良いって言ったんなら良いのかな…」


ナレーション「そうこうしているうちに外に出る時間になった」


アレックス「あぁ、もうこんな時間か。今から例の場所に聞き込みに行ってくる」


ハリー「例の場所ってあのマンションか…部屋の住人今日は居るといいな」


アレックス「ああ。まぁ、ダメもとで行ってみるよ。それじゃあまた後で」




ナレーション「署を出たアレックスはレイと待ち合わせをし、とある場所へ向かっていた」


レイ「おいおい、アレク。俺を呼び出すのは結構だが、何で俺まで聞き込みに行かなきゃいけねぇんだ??俺はもう刑事を辞めているんだぞ?」


アレックス「刑事を辞めていても、探偵業で聞き込みするんじゃないのか?」


レイ「…ま、まぁそうだけどよ。でも、それとこれとは話が別だ。探偵の俺が刑事の仕事に同行してもいいのかよ?」


アレックス「その件だが、署長から許可をもらってきたから大丈夫だ」


レイ「はぁ…あの仏爺(ほとけじじい)め。何でもかんでも良いよ良いよって言いやがって。優しいのかテキトーなのかよく分かんねぇ」


アレックス「…それ、本人の前で言ったら笑顔のまま怒られるぞ。それにテキトーでやってたら署長になんかなれないだろ」


レイ「ふっ、まぁな」


ナレーション「話をしながら歩いていると目的地であるマンションに着いた」


アレックス「お…着いた着いた」


レイ「で、何処なんだよ?その唯一聞き込みが出来てないって部屋は??」


アレックス「えっと、301号室だな」


レイ「301号室…事件の被害者パトリシア・マックスウェルが住んでる部屋の丁度真下の部屋か」


アレックス「ああ。とにかく行ってみよう」



レイ「…この部屋みてぇだな」


アレックス「いつもは留守みたいだから今日は居てくれると嬉しいんだが...」


レイ「とにかく押してみねぇことには始まらねぇだろ?」


アレックス「あぁ。そうだな」


【SE:チャイムの音】


ナレーション「アレックスがチャイムを鳴らす。しかし反応がない」


レイ「…出ないな」


ナレーション「もう1度チャイムを鳴らす」


【SE:チャイムの音】


ナレーション「...が反応がない」


レイ「…これは居ないな」


アレックス「そうだな…はぁ...今日もダメだったか」


レイ「だな…んで、どうするよ?」


アレックス「仕方ない、今日は帰ろう」


ナレーション「2人が帰ろうとした瞬間、勢いよくドアが開いた」


【SE:ドアの音】


ベンジャミン「いやぁ、お待たせして申し訳ないっす!ってあれ??」


レイ「…今日はツイてるようだな」


アレックス「…だな」


【SE:足音】


アレックス「警察だ」


ベンジャミン「うわぁ!びっくりした…ってけ、警察?」


アレックス「いきなり驚かせてしまって申し訳ない。君がユアン=コーマックかな?」


ベンジャミン「あぁ、いや俺はユアンの友達のベンジャミン=タッカーっす」


アレックス「友達?ユアンは居ないのか?」


ベンジャミン「ユアンなら奥の部屋で作業してますけど…アイツ何かしたんですか?」


アレックス「いや、彼に少し話を聞きたくて署の者が何回も訪問しているんだが毎回留守だったんでね。今回ダメ元で来てみたら運良く在宅していたってわけさ」


ベンジャミン「なるほど...なんかすいません」


アレックス「君が謝る必要はないよ。とにかくユアンを呼んで貰っていいかな?」


ベンジャミン「はい!...!おーい!!(奥に向かって)ユアン!!お前に客人だ!!ちょっと来てくれ!!」


ナレーション「ベンジャミンがそう呼ぶと奥から気だるそうにユアンが出てきた」


ユアン「…なんだよ。人が作業している時に…」


ベンジャミン「だから客だって!!」


ユアン「…あ、どちら様ですか??」


アレックス「警察だ。君がユアン=コーマックだね?」


ユアン「っ!?…あっ、はい。僕がユアン=コーマックです」


アレックス「君にいくつか聞きたいことがあるんだが良いか?」


ユアン「は、はい。なんでしょうか…」


アレックス「先週、ここのマンションの住人が何者かに誘拐されたのは知っているか?」


ユアン「…はい。誘拐されたの上の階に住んでいる小さい女の子だったんですよね…」


アレックス「...あぁ、そうだ。君は先週から今週にかけてどこで何をしていた?」


ベンジャミン「ちょ、ちょっと待ってください!コイツを疑っているんですか!?」


アレックス「まぁまぁ落ち着いて。念のため聞いているだけだから。安心して」


ベンジャミン「それならいいんすけど…」


アレックス「で、どうなんだ?」


ユアン「えっと、イギリス内の森を転々としていました」


アレックス「森を?何のために??」


ユアン「僕とベンジャミンは美大生で来年卒業なんですよ。それで、卒業制作としてイギリスの有名な森の風景を組み合わせて僕たち2人でオリジナルの作品を製作しようと思っているんです。それのロケーションのために行っていました」


アレックス「…なるほど。だが、署の者が学校やご両親に問い合わせても何処に居るか分からないと言われ連絡しようにも繋がらなかった。なぜ連絡を遮断していたか教えて貰えるかな」


ユアン「えっと…それは…」


ベンジャミン(遮るように)「時間や現実に縛られたくなかったんっすよ」


アレックス「...どういうことかな?」


ベンジャミン「そのままの意味っすよ。携帯や時間なんか気にしていたらせっかくの題材を伸び伸びとみることが出来ないし、それこそ景色の中で感じたものが現実という邪魔な存在のせいで気づけない所が多々あるかもしれないじゃないっすか。まぁ、俺らなりのルーティーンなんっすよ」


ユアン「そ、そうですよ...あ、なんなら撮って現像した写真がありますが持ってきますよ」


ナレーション「そして、ユアンが部屋に写真を取りに行き戻ってきた」


ユアン「ど、どうぞ」


ナレーション「ユアンが持ってきた写真を見るアレックスとレイ」


アレックス「…たしかに日付は合ってるな」


ベンジャミン「でしょう??これで俺らのアリバイは証明されたってことっすよね!?」


アレックス「写真だけで判断する事は出来ないが...まぁそういうことになるな。とりあえず、ユアンの証言が聞けたから今日はこれで帰るが...2人とも、これからはロケーションの時でもキチンと連絡が取れる状態を作っておけよ。いいな?」


ユアン「あ、はい。すいません」


ベンジャミン「すいませんっす」


アレックス「それじゃあ失礼する」


【SE:ドアの閉める音】


ナレーション「ユアンの部屋を後にしたあとすぐアレックスが口を開く」


アレックス「…レイ。あの2人どう思う?」


レイ「…写真の日付が合ってたからあの写真は本物だ...だが、卒業制作の題材の為とはいえ風景の写真()()を俺らに見せるのは流石に怪しいな。普通あんな状況になったら証拠として2人が移った写真も見せる筈。もしかしたら、別人が撮った写真かもしれないな」


アレックス「ふふっ、そうか…」


レイ「ん?どうしたアレク?」


アレックス「…この事件の犯人は恐らくあの2人だ」


レイ「何!?何でそう言い切れんだ??」


アレックス「それはだな…」


ナレーション「そういうとアレックスはレイに耳打ちで何かを伝え始めた」


レイ「ふふっ、なるほど。そういうことか。アイツら墓穴を掘ったな」


アレックス「あぁ。だが、それだけでは証拠にはならないから逮捕状が取れない」


レイ「だな。どうするつもりなんだ」


アレックス「なぁに、策はちゃんと練っているさ」


レイ「そうか。ならよかったぜ」


ナレーション「そういって彼らはマンションを後にした」




(場面転換。ロンドン市内の喫茶店)

ナレーション「2人が聞き込みに行って3日が経った。その後、事件の進展は何もなく2人は市内の喫茶店にいた」


レイ「で、先週お前が言ってた策って何なんだよ?あれからずっと教えてくれねぇじゃねぇか。そろそろ教えてくれてもいいんじゃねぇか?」


アレックス「うーん、そうだな。そろそろ教えてやってもいいかな」


レイ「もったいぶらないで教えてくれよ!!」


アレックス「その策ってのはな…今から行く場所に答えがある」


レイ「あ?今から行く場所??」


アレックス「あぁ。そろそろ約束の時間だからな」


レイ「約束の時間って何だよ…おぉっ?その策ってもしかして彼女かぁ??」


アレックス「ははっ、冗談はよしてくれ。でもまぁ、人と会うってのは合ってるかな」


レイ「ふーん。で、その場所にどんな奴がいるんだよ??」


アレックス「なぁに、お前もよく知っている人物だ」


レイ「俺のよく知っている人物??」


アレックス「うーん…そうだなぁ、1つヒントをあげよう。ロンドンの情報屋の帝王といえば?」


レイ「!?お、おいアレク…ま、まさか…」


アレックス「あぁ、そのまさかだ」


レイ「おいおいおいおい、マジかよ...俺アイツちょっと苦手なんだよなぁ」


アレックス「正直俺も少し苦手な人物ではあるがアイツの腕を信じてるんだ。これでもな。だから我慢しろ」


レイ「はいはい、わぁったよ!行けばいいんだろ!?行・け・ば!!」




(場面転換。ダンスクラブ)

ナレーション「2人は約束の人物に会うべく市内のダンスクラブへとやってきた。周りは騒々しくアップテンポなダンスナンバーが大音量で流され、周りにいる人々は楽しそうに踊っている」


レイ「...おい、やっぱりここにいるのか?」


ナレーション「周りが大音量過ぎるのもあるせいか、アレックスはレイの言葉を聞き取れていない」


レイ(大声で)「おい!!聞いてんのか!?」


アレックス(大声で)「あ、あぁ悪い。全然聞こえなくてなぁ。で、なんか言ったか?」


レイ(大声で)「だぁかぁらぁ!!カーロスの野郎は本当にここに居んのかよ!!?」


アレックス(大声で)「ああ!!さっき本人から連絡があったから間違いねぇよ!!とにかく!!奥に行けば居るはずだ!!」


ナレーション「その瞬間、従業員に声を掛けられる」


ガーネット「あの、すみません。アレックス=J=クラウン様とレイ=ブラッドリー様でしょうか??」


アレックス「ん?あ、あぁ、そうだが?」


レイ「あぁ?俺たちになんか用か??」


ガーネット「カーロス様がVIPルームにてお待ちです。こちらへどうぞ」


レイ「VIPルーム!?」


アレックス「ハハッ、まさかVIPルームを取ってるとはなぁ…流石情報屋の帝王。分かった、案内してくれ」


ガーネット「かしこまりました」




(場面転換。VIPルーム)

ナレーション「2人は従業員に連れられカーロスが待つVIPルームにやってきた」


【SE:ドアノック】

【SE:ドアを開く】


ガーネット「失礼致します。カーロス様、アレックス様とレイ様をお連れ致しました」


ナレーション「従業員がドアを開けると真ん中のソファーにカーロスという男が両手に花を抱えニヤニヤしながら2人の到着を待っていた」


カーロス「あぁ、ごくろう」


ガーネット「それでは失礼...」


カーロス(遮るように)「あぁ!君!君!ちょっと待ってくれ」


ガーネット「はい?」


カーロス「コレ...少ないけど」


ナレーション「カーロスが従業員に渡したのは白い封筒だった。中身を見ると50ポンド紙幣が10枚程入っていた」


ガーネット「...え?カ、カーロス様!こ、こんな大金頂くわけには!!」


カーロス(遮るように)「ははは!そんな事言うなよ!君には随分と世話になっているからねぇ...日頃の感謝の気持ちって事で受け取ってくれよ?」


ガーネット「...は、はい。それではお言葉に甘えて有難く頂戴させて頂きます」


カーロス「うん!...それでいい」


ガーネット「それでは失礼致します」


【SE:ドアを閉める音】


ナレーション「従業員がドアを閉めた後カーロスが口を開く」


カーロス「やぁやぁ、親愛なるお友達!!元気にしてたかい??」


アレックス「よぉ、カーロス。そっちは相変わらずだな」


ナレーション「彼の名はカーロス=ヴィ=シルヴァ。イギリス・ロンドンを拠点としている情報屋でロンドンをはじめとしたイギリス国内のすべての情報を知り尽くす男なので周りからは【情報屋の帝王】と呼ばれている」


カーロス「相変わらず??ハハハ!!何言ってるんだい??久しぶりに君が俺に依頼してきたときからずっとニヤニヤが止まらなくてねぇ。君らが今日カフェで捜査について話し合ってたのも既に俺の耳にも入ってきてるよぉ」


アレックス「久しぶりって言っても1か月前だけどな・・・ってかお前!!その情報いつ知った!?2時間前の話だぞ!?」


カーロス「クッフッフッフ、2時間前でも立派な情報だよ!それに、俺の部下たちは街の至る所に居るってこと…忘れたのかい??」


レイ「はぁ…流石情報屋の帝王と呼ばれている男だな」


カーロス「ハハハ!!情報屋界隈ではこんなの日常茶飯事さ♪それに俺はもう1つニヤニヤしている事があるんだ!!…それは君だよ!!もう1人の親愛なるお友達レイ=ブラッドリー君。いやいや久しぶりだねぇ!!アメリカにいる友人から君の活躍は聞いているよ。相変わらず暴れているそうじゃないか」


レイ「暴れているだなんて人聞きの悪いこと言うんじゃねぇよ。ま、まぁ建物を半壊させたことはあるがな」


カーロス「ハハハハ!!それが暴れている立派な証拠だよ!!なんでも地元の新聞に【腕はいいが素行不良な怪物探偵】って書かれたみたいだねぇ…アレを聞いたときは面白すぎて飲んでいたコーヒーを吹き出してしまったよ!!まるで日本の漫画みたいにねぇ!!」


レイ「あっ、アレは流石に抗議に行ったさ!!あんなの書かれたら客が来なくなるってなぁ!!」


カーロス「でも、アレのお陰で君の名前はアメリカ中に知れ渡ったんだよ?良かったんじゃないのかい?」


レイ「…ま、まぁな」


カーロス「ハハハハ!!君のそういう所、俺は嫌いじゃないよぉ!!」


レイ「はっ!!そりゃあどうも!!」


アレックス「(咳払い)...で?カーロス。レイとの再会はこれで良いだろ?そろそろ話してくれないか??」


カーロス「あ、あぁ!そうだったねぇ!!いやぁ、ついつい話が長くなってしまったねぇ。そうだよ、君たちに調査報告しないとねぇ...っとその前にここからは俺と彼らだけにしてもらいたいんだ。申し訳ないが、君たちは席を外してもらえるかな?」


ナレーション「カーロスがそう言うと、両脇にいた女性とボディーガードらしき人物たちが一斉に席を外した」


【SE:ドア開閉】


カーロス「…よし。これで邪魔者は居なくなったね。それじゃあ話そうか…つい3日前アレックスから来た依頼は【ロンドン市ブリッジに住んでいるユアン=コーマックとその友人ベンジャミン=タッカーの調査】だったね?」


アレックス「ああ」


カーロス「んで、その調査結果なんだけどね…結論から言うと君の言った通り...彼らは黒だな」


レイ「ふっ、やっぱりか」


カーロス「そして、ここからが重要なんだけど…今回の犯行を行ったのは彼らだが、計画したのは全くの別人だ」


アレックス「ん?どういうことだ?」


カーロス「…彼らを尾行した部下からの情報なんだけどね…なんでも彼らは密かにラーククラウンズのメンバーと連絡を取っているみたいだね」


アレックス「な、なんだと!?」


レイ「本当か!?」


カーロス「あぁ!!本当さ!!俺が話すネタは全て本当だ。嘘偽りなんて何1つない。全部確証を得ているからね。なんならその通話音声録音してあるけど貰っておくかい?」


アレックス「あ、あぁ。頼む」


レイ「アンタその音声何処で手に入れたんだよ?」


カーロス「え?そりゃあ盗聴したに決まっているじゃないか」


アレックス「何!?お前それ犯罪だぞ!?」


カーロス「犯罪も何も俺が統括している情報屋は依頼者の期待に応える為ならなんだってやるさ。たとえ法に引っかかろうともね。それに盗聴・尾行・追跡だなんて辻褄を合わせればいくらでも調査の一環として捕まらずに済む。もし仮に言われたとしてもそこにいる探偵に調査協力してもらいましたっていえばやり過ぎない程度になら何も言われない。そうだろ?」


レイ「そ、そうだな」


カーロス「要はね、ここをどう使うかによるんだよ。考え方次第で融通が利く。俺はこの世界にかれこれ30年近くいるが今までそれで生き抜いてきた。そんな時代を生き抜いてきたからこその今がある」


アレックス「…ふっ、流石情報屋の帝王。言うことに重みがある」


レイ「いつもはおちゃらけているのにこういう時だけ真面目になるよなアンタ」


カーロス「ハハハ!!そんなに褒めないでくれよ!!照れるだろ??」


レイ「もう戻ってやがるし」


カーロス「よし、話を戻そう。部下の話によると彼らは5日後にまた誘拐事件を起こそうとしている」


アレックス「何!?」


カーロス「彼らはユアンの家から少し離れたところにある廃ビルで作戦の打ち合わせをしていた。そして、2人が退席している時を見計らって部下がその場にある資料の写真を撮ってきてくれた。これだ」


ナレーション「カーロスに渡された写真には計画に関する情報・次のターゲットの情報・誘拐するときに使うであろう道具の数々が映し出されていた」


カーロス「あとこれはあくまで俺の勘なんだけど、廃ビルの近くにスーパーがあって、そこに付いている監視カメラにもしかしたら2人の姿が映っているかもしれない。明日にでも行ってみるといい」


アレックス「あぁ、ありがとう」


レイ「こうやって見るとアンタもそうだが、この写真を撮った部下もすげぇな。よくバレなかったな」


カーロス「ふっ、うちの部下たちは全員プロフェッショナルだからね。ましてや、今回の依頼者が刑事といえどボスであるこの俺の友人と来た。絶対に失敗は許されないっていう気持ちが強かったんじゃないかな?まぁ俺はプレッシャーを掛けてるつもりなんて全く無いんだけどね?」


アレックス「まぁ実際の所、相手がどう感じているかは分からないからな。それでも、そういう気持ちが働いてくれたから、今こうして俺達の元に上質な情報として届いた、ということだな」


レイ「あぁ」


カーロス「ハハハ!喜んでもらってよかったよ!!もう少し事件について2人に話したいところではあるんだけど…悪いタイムオーバーだ」


アレックス「タイムオーバー?」


カーロス「ハハハ!!いやぁ、実は次に予定があってね、もうそろそろ出なくちゃいけないんだ。申し訳ないんだけど今日はここまでってことでいいかな??」


アレックス「ああ、そうか。もうこんな時間か」


カーロス「悪いね!!情報屋の帝王は結構多忙なんだ♪」


レイ「アンタも大変だな」


カーロス「ふっ、もう慣れたさ」


アレックス「カーロス、長時間拘束してしまって申し訳ない」


カーロス「いやいや。久しぶりに2人に会えて話が出来たから苦ではなかったよ。その他の詳細はこの資料に全部書いてある」


アレックス「そうか。ありがとうカーロス。お前に頼んで正解だったよ」


カーロス「なぁに、数少ない友人の依頼だ。断る理由が見つからないよ。また何かわからないことがあったらいつでも言ってくれ!!全力で力になるからさ!!それじゃあなお友達!!」


ナレーション「カーロスはそう言って颯爽とVIPルームから去っていった」


【SE:足音】

【SE:ドアを閉める音】


レイ「…嵐みたいな男だったな」


アレックス「ああ。でもアイツらしいよ」


レイ「ははっ…だな」


アレックス「…実行まであと5日か」


レイ「ああ」


アレックス「あの2人を逮捕してラーククランズについて有力な情報を得られればいいんだが…」


レイ「とりあえず捕まえるのが先だ」


アレックス「そうだな」


ナレーション「そして、この日から3日後、2人が予想もしなかった事件が起こる」




(場面転換。街中)

【SE:ブレーキ音】


アレックス「レイ!こっちだ!!早く乗れ!!」


ナレーション「レイはアレックスの存在に気づくと足早に車に乗り込んだ」


レイ「おいおい!!一体どういうことだよ!?カーロスの情報通り実行は明後日じゃなかったのかよ!?」


アレックス「...カーロスの情報は全て本当だ。嘘偽りは何一つない。本人もそう言ってただろ」


レイ「...確かに。でもよ!こうして事件が起こったってことはその女の子は誘拐されちまったって事だろ!?お前、署の連中に声掛けて家とか諸々張り込んで貰ってたんじゃねぇのかよ!!」


アレックス「...話によると買い物の帰り道の途中にある路地裏で誘拐されたらしい。しかも警察官を含めた人間に目撃されないよう死角になる所でな」


レイ「クソっ!用意周到な奴らだぜ!!」


アレックス「それにしても...あの2人…何故実行を2日前倒ししたんだ…?」


レイ「そんなの分からねぇよ!!…とにかく今は被害者の安否が先だ」


アレックス「ああ、あの廃ビルに居る可能性が高い。急いで向かうぞ!!」


レイ「おう!!」




(場面転換。廃ビル)

ナレーション「一方その頃、廃ビルでは…」


ナナリー「ねぇ、おじさん…ここは何処なの?」


ベンジャミン「おじさんじゃなくてお兄さん!!もう少し待っててね」


ナナリー「私を誘拐して何が目的なの??」


ナレーション「そうするとユアンが後ろからヌゥっと現れる」


ユアン「目的??…ふふ、君だよナナリーちゃん」


ナナリー「私??何で私なの??」


ユアン「町で親と買い物している君を見た時衝撃が走ったんだ…あぁ、僕の中の天使が現れたって」


ナナリー「天使…私は天使じゃないよ…」


ユアン「いいや!!君は天使だ!!」


ナレーション「そういうとユアンは豹変しナナリーの髪の毛を始めとしたありとあらゆる匂いを嗅ぎ始めた」


ナナリー「ひっ!!…おじさんやめて…」


ユアン「(匂いを嗅ぎながら)はぁはぁはぁはぁ…その長くて綺麗な髪!あぁいい匂いだぁ!!!そしてぱっちりしていて美しい目!抱きしめるにはちょうどいい身長!小さすぎではなく、かといって大きすぎでもないちょうどいい大きさの胸!!!あぁっ、君の良いところを挙げたらキリがないよ!!!それくらい僕は君の全部が好きだ!!大好きなんだ!!!!君を食べられるって思っただけで…僕は…僕は!!!!!」


ベンジャミン「ユアン落ち着け!!!そんなに声出したら警察にバレるぞ!!」


ユアン「黙れええええええ!!!!僕の邪魔をするなああああ!!!…へへへっ、大丈夫さぁここは誰も近づかない廃ビルだぞぉ…気づかれるわけないだろぉ!!ひひひひひひひひひひ!!!!」


ベンジャミン「ユアン…お前誘拐するには小さい子…特に女の子の方が抵抗しなくて誘拐しやすいって言ってあの人たちに許可をもらっただろ…アレは嘘だったのか!?」


ユアン「なんだぁ!?ベンジャミン!!引いたか??くふふふふふふ、確かにそれもあるさぁ…だけど、僕は小さい女の子が大好きなんだ!!小さい女の子しか愛せない!!小さい女の子じゃなきゃ興奮しないんだああああああ!!…ふふふふふ引いたなら引けばいいさ!!!」


ベンジャミン「そんな不埒な理由で俺を誘ったのか…俺はあの人たちに言われたとおりに計画を実行して報酬が欲しかっただけなのに…」


ユアン「お前は金目的だったけど僕は女の子目的だったのさ!!…まぁ、金欲しさで最後まで話を聞いていなかったお前にも非はあるけどね」


ベンジャミン「く、くそっ…」


ユアン「ふふふ...とぉんだ邪魔が入ったけど続きと行こうか…さぁ、抵抗出来ない君をどう遊んであげようか…まずはその服を脱がせようかなぁ!!ふふふふふふふふ!!!!!」


ナナリー「いやっ、おじさんやめて…」


ユアン「君がやめてって言っても僕は止めないよぉ…さぁ僕が脱がせてあげるからねぇ!!」


ナナリー(泣きながら)「怖いよぉ...誰か…誰か助けて…」


ユアン「助けを呼んだって無駄だよ…ここには誰も来ないんだからさぁ…」


ナナリー(泣きながら)「嫌だ…嫌だよぉ!!誰か…誰かあああああ!!!」


ナレーション「少女の叫びがこだまする。その時、ドアが勢いよく開いた」


【SE:ドアを開ける音】


アレックス「警察だ!!お前ら手を挙げろ!!!!」


ユアン「!?あんた達はこの前の刑事さん達…なんで、何でこの場所が分かったんだ!?」


レイ「ふっ、警察と探偵が手を組めばこんなもん一発で分かるってもんだぜ少年」


アレックス「話は全て聞かせてもらった」


レイ「あと、証拠としてさっきの会話全部録音させてもらったぜ」


アレックス「あとは、こっちが用意している書類を提出すればお前らはあえなく逮捕ってことになるんだが、どうする?」


ユアン「僕たちのアリバイは完璧だったはずなのに…何で!?」


レイ「バーカ、詰めが甘いんだよ」


ユアン「詰め??」


アレックス「お前らが俺らに見せた森の写真。本来、あの状況になったら証拠として2人が映った写真も一緒に見せる筈なんだが…お前らは見せなかった。いや、見せられなかった。理由は1つ。お前らはその日森に何て行ってなかったんだ」


ユアン「そ、それは貴方達に見せろなんて言われなかったから」


レイ「そんな理由だけで通用するほど大人は甘くねぇよ」


アレックス「それと、もう1つ…何故君はあの時、被害者が小さい女の子って知っていたのかな??」


ユアン「!?そ、それは隣の部屋の人に聞いたんですよ!!」


レイ「はぁ…コイツが取り調べに来る前に何回かロンドン署の人間が聴取に来たみたいだが…誰一人として署の奴らから被害者の情報を口にした奴はいねぇ」


ユアン「!?じゃ、じゃあ!!森に居ないって言うんだったら僕たちは1週間何処で何をしていたか分かっているんですか!?」


アレックス「ここで生活をしていた」


ユアン「!?しょ、証拠は!?」


ナレーション「するとレイがユアンたちに写真を数枚見せる」


レイ「…この写真、何だか分かるか??」


ユアン「そ、それは!?」


レイ「近所のスーパーに付いている監視カメラに買い物しているお前らの姿がちゃぁんと映っていたんだよ。しかも1週間分のな」


ユアン「あ、あぁっ…」


アレックス「これにてゲームオーバーだ。さぁ、どうする?ベンジャミン=タッカー。そして...ユアン=コーマック」


ユアン「い、いやだぁ…僕は…僕はこんなところで!!捕まりたくない!!!」


ナレーション「そしてユアンはナナリーに拳銃を突き付けた」


ナナリー「いやぁっ!!」


ユアン「動くな!!動いたら彼女を殺す!!!!」


アレックス「馬鹿野郎!!自分が何やっているのか分かっているのか!?」


ユアン「2人ともその場に武器を捨てろ!!!早く!!!」


ナレーション「2人は武器をその場に置いてそのまま手を挙げた」


ユアン「くくっ、それでいい。おいベンジャミン!!お前も銃持っているだろ!?…その銃で2人の身動きを取れなくしろ」


ナレーション「しかし、何故かベンジャミンは反応しない」


ユアン「おいベンジャミン!!聞こえているのか!!!」


ベンジャミン「…あぁ、分かった」


ナレーション「そしてベンジャミンはゆっくりと立ちアレックスに銃口を向けた」


アレックス「ベンジャミン!!やめろ!!そんなことをしたら君の全てが壊れてしまう!!!落ち着くんだ!!」


レイ「そうだ!!コイツは殺すな!!殺すなら俺からにしろ!!」


アレックス「はぁ!?何を言ってんだお前は!?お前も落ち着け!!」


レイ「俺は最初から冷静だっつーの!!」


ベンジャミン「刑事さん…ごめんなさい」


【SE:銃声音】


レイ「ア、アレクウウウウウウウウウウ!!!!!」


ナレーション「レイは叫びながら倒れているアレックスのもとへ向かう」


レイ「アレク!?おい!!しっかりしろアレク!!!死ぬな!!おい!!死ぬんじゃねぇぞアレク!!」


アレックス「勝手に人を殺すな」


ナレーション「すると突然アレックスがゆっくりと起き上がる」


レイ「…ん??アレ??アレク??だ、大丈夫か?」


アレックス「あぁ。というか当たってない」


レイ「え?じゃ、じゃあさっきの銃声は…」


ナレーション「2人が周りを見るとユアンが泣き叫んでいた」


ユアン「ああああああああああああ!!!!僕の!!!僕の肩がああああああああああ!!!!」


ナレーション「ユアンは撃たれた肩を抑えながらその場で膝をついた」


ユアン「ベンジャミン…ベンジャミイイイイイイイイイイイイン!!!!!馬鹿野郎!!!何処狙ってるんだあああああ!!!」


ベンジャミン「ユアン…もう終わりだ」


ナレーション「そしてベンジャミンはその場に銃を捨て2人の前に歩いていった」


ベンジャミン「刑事さん…自首します。僕たちがやりました」


ナレーション「こうして事件は終息しユアン=コーマックとベンジャミン=タッカーは逮捕され誘拐されたナナリー=コレットは保護された後、無事解放された」




(場面転換。警察署)

ナレーション「逮捕から3日後。彼らは全てを自供した」


ハリー「…ふぅ、取り調べは得意じゃないなぁ」


アレックス「お疲れハリー。君に取り調べを任せてしまって申し訳ない」


ハリー「いや、いいんだ。それに今回はアレクとレイが解決したんだってな。大手柄じゃないか」


アレックス「俺達だけの成果じゃないよ、色んな人の力があってこその結果だ」


ハリー「ははっ、そう謙遜すんなよ」


アレックス「で、結局どうだったんだ??」


ハリー「あぁ、ラーククラウンズのメンバーとは2人で公園に居る時に知り合ったそうだ。なんでも全身黒ずくめで深々と帽子を被っていたから顔は見えなかったんだと。その時に2人の悩みを真摯に聞いてくれたみたいで、今回の犯行の話を持ち掛けたようだ。2人とも最初は犯罪だとは思ってなくてそれ以降の主な連絡手段は電話のみで報酬金は1人誘拐するごとにベンジャミンの銀行に27000ドル振り込まれる手筈になっていた。電話番号・口座は特殊なルートで手に入れた物だったから残念ながら特定は出来なかった」


アレックス「…そうか」


ハリー「あと、2人が実行を前倒しにした理由はユアンが被害者であるナナリー=コレットを早く自分の物にしたくて仕方なかったんだと…まったく狂ってるよな」


アレックス「…何故、今まで動きが無かったアイツらが突然動き出したんだ?しかも関係ない人を使って」


ハリー「さぁ?それはアイツらを捕まえた時に直接聞いてみようぜ」


アレックス「ああ」


ハリー「っと、おいアレク!もう時間じゃないか!?」


アレックス「あぁ!!そうだった!!それじゃまた後でな!!」


ハリー「おう!あ、レイによろしく言っておいてくれ!!」


アレックス「OK!じゃ行ってくる」




(場面転換。空港)

ナレーション「イライラしながらレイはアレックスを待っていた。そこに息を切らしながらアレックスが現れた」


レイ「おい!遅いぞ!!」


アレックス「いやぁ、悪い悪い」


レイ「あんだけ俺に言っておいてお前も人のこと言えねぇじゃねぇかよ」


アレックス「そうだな」


レイ「はぁ…まったく」


アレックス「…無事解決したな」


レイ「…だな。結局ラーククラウンズについての情報は得られなかったんだってな」


アレックス「ああ。でも次こそは必ず尻尾を掴んでやる」


レイ「ふっ、流石アレクだな。その調子で頑張んな」


アナウンス「ユナイテッド航空ニューヨーク行き、14時30分発。UA79便はただいま皆様を機内へとご案内中でございます。ニューヨーク行き、14時30分発、UA79便をご利用のお客様は5番搭乗口よりご搭乗ください」


レイ「っと、もう時間だな」


アレックス「そうだな。戻ったらどうすんだ?」


レイ「それがよぉ…戻ったら早速デカい依頼があってな」


アレックス「デカい依頼??」


レイ「あぁ。つい先日あの『ELPS-エルプス-』の社長ユリウス=エルバーンから俺直々に依頼があってよ」


アレックス「え??あの『ELPS-エルプス-』の??」


レイ「ああ。なんでも新聞で俺の名前を知って気に入ってくれたらしい。最初聞いたとき何処を?って思ったがな」


アレックス「そうか…がんばれよ」


レイ「おう、あんがとよ。んじゃあな」


ナレーション「レイが歩き出そうとしたときアレックスが声をかけた」


アレックス「レイ!」


レイ「ん??」


アレックス「…お前と久しぶりに仕事して楽しかったよ」


レイ「(微笑)俺も楽しかったぜ。でも、まぁ…次はもうちょっと優しい事件(ヤマ)が良いかな」


アレックス「その時はお前を呼ぶことは無いよ」


レイ「そうか。いつまでも俺に頼りっぱなしは駄目だが困ったときはいつでも力になるからよ」


アレックス「ああ。ありがとう」


レイ「じゃ、またなアレク」


アレックス「あぁ。またな」


ナレーション「そして、レイは笑顔で飛行機に乗りアメリカへと帰っていった。アレックスとレイ…2人のことをよく知っている人物らは彼らをこう呼ぶ『Double Wolf』と」


最後まで読んでいただきありがとうございました。


ちなみに作中に出てくる金額ですが、50ポンド紙幣が日本円で約6700円でそれが10枚なので約67000円。27000ドルは日本円で約37万円です。

あとポンドとドルを分けたのは間違いじゃないです笑


ちなみに最後のレイの会話に出ていた「デカい依頼」に関して補足情報が。

レイを雇った『ELPS-エルプス-』の社長ユリウス=エルバーンですが、彼の事をよく知りたい方は是非「吸血執事」を読んで頂けますと幸いです。

そして、いつかユリウスとレイの話を発表出来たらなと考えていますのでお楽しみに。


誤字・脱字などありましたら報告お願いします。

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