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自衛隊

 射撃指揮班に所属しながら、私は柔道部に入れて貰った。そのころ連隊柔道部は師団大会に備え3ヶ月程合宿をしていた。その間、普通の部隊訓練は免除、ひたすら毎日柔道の練習に明け暮れた。


 部員は私を含め8名、5人が大会に出場し、一番若い私は勿論補欠、毎日毎日皆の練習台となって、何度も何度も畳に叩きつけられた。ある時など余りにも投げつけられたので、血の小便を流したこともあった。


 それでも止めようという気持ちはなかった。良い様に扱われたが、後年それが役に立った。運送屋時代ホームからの転落や、フォークリフトの荷降ろしで、リフト毎トラックから落下した時も受け身を取ったので、奇跡的に怪我もせず済んだのは、一重にあの練習の賜物だったと感謝している。


 部隊にも慣れ、2年目となったとき、連隊は弁論大会を開催した。その目論見が何か分かる筈もないが、中隊長から隊員に弁論大会の原稿の提出を求められた。


 私は、志願制の意義、のタイトルで原稿を提出したら、何と中隊代表に選出されてしまった。原稿の手直しをして、連隊大会で発表することとなった。


 内容は、高杉晋作の奇兵隊を題材に、真の国防を担うには嫌々ながら入隊する徴兵制より、進んで志願する志願制の方が優れている、そしてそれは今ここにいる自分の意思で自衛隊に入隊した貴方達だ、と。


 何百人もの若者が私を見ていたが、私の言わんとすることを理解している者は皆無だった、皆シーンと静まり返っていた。


 腕力、体力はあるが、頭で今自分が置かれている立場を理解し、その上で国防の何たるかを知ろうとする集団ではなかった。連隊長を始め幹部には、私の主張は理解されたが、弁論大会は、衆議で選ばれる、全員の投票の中から選ばれる、敢え無く落選、師団大会に行けなかった。


 ある幹部から、内容は良かったが、話しかたが下手だったと酷評された。私は、釈迦に説法、暖簾に腕押しではないが、この若者達にこんな内容をぶつけた私が悪かったと反省した。


 当時、自衛隊員になるものは社会の落ち毀れといって過言ではなかった。半暴力団員の者もいたが、そのような者でも採用しなければ、人員の確保が保てない状態が慢性的に続いていた。


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