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女の腐ったような奴

 親父と私は血が繋がっていない、所謂私は養子だ。“ちょっと笑える悲しい話”で書いているように、実の親子ではない。でも、実父を知らない私にとって親父こそ親父だ。でもその親父が私に不平不満をぶつけることがあるときの決め台詞が、お前は女の腐ったような奴だ、と。


 小学生1、2年迄は夜中になると熱を出した。その都度お袋が近くの医院に駆け込んだ。お袋も実母ではない、自分のお腹を痛めた訳ではない、だが、夜中に医院の玄関を叩いて軍医上がりの医者から叱られようが、形振り構わず私を背中におぶって駆け込んだ。女親とは有り難い、お袋がいなければ今の私はいない。


 だが、親父はその酷い言葉を投げつけた、また、あるときは、お前は肥料製造機だと、罵ったときがあった。肥料製造機、お前は只飯を食って糞をするだけ何の役にも立たない奴だ、と。


 3歳のとき、三輪車毎投げつけられたときがあった。もし私が親父の本当の息子だったら、そんなことをしたのだろうか。


 今、親父の悪口を目一杯書いているが、それは親父の極、極一部であって、その数百倍、数千倍の愛情を注がれたから今の自分が在るのであって、親父が非人情な人間だと言っているのではない。


 親とは有り難い、血肉を分けていようがいまいが、むしろ怒りを直接に向けてくれた、それこそ真の親子だ。


 お前は、女の腐ったような奴だ、肥料製造機だ、と罵倒しても、お前なら俺が言わんとしている事を察して呉れるよな、俺の息子だから。


 親父が自殺したことでショックを受けたことは何度も書いた。そして、親父が死ぬまで一言も語って呉れなかった生まれ故郷の信州長野の大町市に遺骨を埋めた。


 それからもう47年経つが一度も墓参りしていない。だが、親父誤解しないで呉れ、俺が養子だからじゃないぞ。


 親父の骨は確かに親父の郷里に返した、だがそれは形だけのこと、親父の事は俺が死ぬまで、俺の胸の中で生きている。それでいいじゃない、それで許してくれ、だって俺達本当の親子だろ、お袋そうだよね。


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