高齢常駐警備員の悲哀
話の趣は少し変るが、63歳でホテルの駐車場係員を辞め2年間家で遊んでいた時、その時に知り合った友人から就職の誘いがあった。
もう65歳だったのでとても採用して貰えるとは思わなかったが、取り敢えず面接を受けたら、1時間後には携帯電話で採用の通知を受けた。
就職先は、56歳を目前にして、福島綜合警備を自己都合退職してから足掛け10年が過ぎ、もう2度と警備の仕事をすることはないだろうと思っていたその警備会社だった。
年商300億はこの業界では上位の方だが、如何せんセコム、アルソックに比べれば中小企業の感は否めない。
だが、そんなことは今の私にはどうでも良いことだ。65歳で働けるだけ満足、時間給782円は有り難い。運転手や警備会社で人生を過ごした私の平均年収は低い、年金はその年収に応じて支払う、だからその年金だけでは心許ないと思っていたときの仕事、就職すると言ったら妻も喜んで呉れた、これが何より。
職場は自宅から4キロ、電池製造会社の常駐警備員。女性一人含む所要人員6名、日勤2ポスト、夜勤2ポスト、私は夜勤専門で働いた。
そこで1年3月勤務後、本宮工場の常駐警備に転勤となり70歳となった現在もそこでお世話になっている。
女性二人を含む所要人員9名、日勤3ポスト、夜勤2ポスト。隊長は36歳、隊長のことについては、拙著“兎角組織と云うものは”でも触れたが、部落の伝統芸能維持で日々葛藤している。
さて前書きが長くなったので、本論に入るが、常駐警備とは何。文字通り警備員が警備先に日中または夜勤若しくは24時間365日常駐して警備に当ることだ。
警備実施に当っては契約書と共に警備計画書と警備実施要領を作成し、任務はそれによって整然と遂行される。以前触れたこともあるが、警備業は請負業で派遣業ではない。
この請負業と派遣業の違いを明確に理解している者は警備先も警備会社も極少数だ。
法的に請負とは業務を請負に当ってはその裁量権は請負側にある。これと異なり、派遣はその裁量権が依頼側にあることだ。
先ほど触れたように、警備計画書と警備実施要領に基づき日常業務を遂行するが、常駐警備はこの原則がいとも簡単に破棄される。
つまり裁量権は常に警備先にある。機械警備は、機械による遠隔監視なので、警備先の諮意が入り込む余地はないが、常駐警備は常にその諮意に曝されている。
初めて名古屋の名鉄セブン警備隊の常駐警備に従事した時は、満足な警備知識も無かったことから、その意味を理解しているとは到底言い難いが、しかし、警備先から警備についてあれこれと注釈を付け加えられた記憶はない。
また、日常業務に変更がないので、何年もその実施要領に沿って遂行する。変化があるとすれば、警備員の交代だけ。それが嫌で、機動隊に異動した。
しかし、その名鉄セブン警備隊と比べこの電池製造会社の警備実態は常に変動がある。要するに、いとも簡単に警備実施要領を警備先の都合で変更している、所謂付帯業務の増加と電池製造会社作成のマニュアルの押し付けだ。




