兎角組織と云うものは
一枚の古い写真がある、九州福岡県飯塚市で撮った写真だ。親父が写っている、神輿を横に法被姿でねじり鉢巻きをしている、一緒に写っている人達は地元の方達だろうか。皆、幾分お化粧などしているように思える、何専ら白黒写真でのっぺりした印象だから、私がそう思うだけかもしれない。
過酷な炭鉱労働の束の間の休日に祭りがあったのだろう、親父も40前で、小柄だがきりっとした顔立ちで、若い頃威勢の良い魚屋のお兄さんの雰囲気を幾分残している。これなら、お袋が9歳上の親父を好きになったのが少し分かるような気がする。
名古屋から見も知らぬ土地に夫婦で飛び込んだが、祭りを通して地元の方達と触れ合ったことは、何かと心の支えになったことだろう。
このように組織は温かいものであれば、組織として有機的に機能するが、その組織を悪用する者がいれば、その組織は無意味なものとなるばかりか、善良な市民を苦しめることにもなる。
若い友人がいる。友人だが、職務上は私の上司、総勢9名の警備隊の隊長、彼とは3年半職場を共にしている。彼は、大学卒業後、中堅の警備会社に就職してもう14年になる。農家の長男だから、地元を離れる訳にはいかないので、今の警備会社に就職した。
隊員は70歳の私、60歳が2名(共に自衛隊退職者)、59歳、54歳、53歳、48歳の女性、38歳の女性、そして隊長36歳の計9名。大手の電池製造工場を警備している。
隊長は独身、眼鏡を掛けているが、身長は176センチ、中々のハンサム、私としては早く結婚して欲しいが彼の立場はなかなか複雑で、そう簡単にはいかない。
彼の家はもう150年も続いている、彼で7代目、代々の農家、今も団塊世代の父君が頑張っている。
陽気な青年で饒舌、頭も良い。初めて会ったときから親子ほど歳が離れていたが、忽ち意気投合した。このような人に会ったのは、私が唯一尊敬する先輩と呼んでいる内田さん以来である。
その彼が、最近家のことで溜息を吐くことが多い。家というより、地域、部落の事だ。彼の地域は伝統芸能を守っている。その始めは彼の曽祖父からで、今では県の無形文化財となっている。
だから何かと地域での集会、会合が多い、しかし彼はそれをあまり好ましく思っていない。聞けば、完全な縦社会、先輩の云う事は絶対服従、一言でも口を挟めばビンタが飛んで来る。




