不可思議な夢~黒果実と安楽椅子の君
こんな夢を見た。
美しい女性が、安楽椅子に座り目を閉じている。
流れるような黒髪。陶磁のように白い肌。
彼女が笑えば花のようで美しい事を知っている。
感情豊かで心優しいことを知っている。
この女性を好きなことを理解している。
この女性と生き続けよう、と決心しこともあった。
だがもう、この女性が目を覚ますことがないことも知っている。
その理由も知っている。
この女性を殺したことを理解している。
彼女を殺して生き続けようと決心している。
安楽椅子に座っている彼女を殺そうと部屋に入った時。
彼女は全てを知っていた。
静かに、いいよ。と、言って目を閉じた。
彼女がいいよ。と、言った時。
どうしてかを知っていた。
小さく、わかった。と、ナイフを取り出した。
彼女の首にナイフを刺す。
その時に涙が流れてきた。
それを拭うことなく彼女が死ぬのを眺めた。
首から赤い血が流れる。
彼女が死んだ時に流れる血が黒くなる。
流れるのをただ見続けた。
流れた黒い血は、彼女との足元に黒い水溜まりを作った。
ポケットから黒い球体を取り出し、それを足元の水溜まりにつける。
すると、水溜まりわどんどん小さくなっていく。
水溜まりが消えるとその黒い球体を拾い、口元に運んで囓る。
感触はゼリーのよう。味はハチミツのように甘い。
そこで夢から覚めた。