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企画「ひだまり童話館」参加作品

作者: 奈月ねこ

ひだまり童話館「さらさらな話」参加作品です。

 さらら さらさら


 からら ぱったん ぱったん


「少しは休んだらどうだい?」

「もう少ししたら休むわ」


 からら ぱったん ぱったん


 静かな家に響くのは機織りの音でした。登喜子ときこは機織りの名人でした。登喜子にかかれば、どんなものも作ってもらえると、村の皆はこぞってお願いに来ました。登喜子はそれが嬉しくて、機織りを続けました。


 からら ぱったん ぱったん


 さらら さらさら


 機織りの音と一緒に糸が流れていきます。さららと色鮮やかな糸が機織り機に吸い込まれていきます。

 登喜子はその音が好きでした。流れる糸を眺めながら機織り機を動かします。


「まだ休まないのかい?」


 登喜子の旦那さまが心配そうに聞いてきます。


「あと少しなの」


 からら ぱったん ぱったん


 さらら さらさら


 糸が流れていきます。そして形を成していきます。


 からら ぱったん ぱったん


「出来たわ!あなた!」

「どうしたんだい。終わったのかい?」

「これを着てみて」

「これは……ずっとこれを作っていたのかい?」

「ええ、そうよ」


 登喜子が作っていたもの。それは旦那さまの羽織りでした。来週他の村へ出掛ける予定だったので、新しいものを着ていってほしかったのです。


「ありがとう。登喜子。嬉しいよ」


 他の村での会合は、登喜子の旦那さまが一番輝いていました。




 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 糸 拝読させていただきました。  物語冒頭からの擬音が面白く、全体の雰囲気を作っていますね。 >さらら さらさら  からら ぱったん ぱったん  さらさらの解釈を機織りの織っている糸の動き…
[良い点]  お邪魔します。遅れながら拝読させていただきました。  登喜子さんが機織りの名人だからというだけではなく、また羽織が新しいからと言うだけでもなく。  登喜子さんが愛する旦那様を思って織っ…
2017/05/30 00:41 退会済み
管理
[良い点] 拝読しました! なんてことはない、日常のシーンですが、そこには愛があふれていましたね。 さらさら、ほっこり。 きっと、人もうらやむような服だったことでしょう。
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