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第三話 ボブと山小屋

【前回までのお話】

相変わらずパーカスがいないので辺りを捜索することにしました。

 第三話  ボブと山小屋



 パーカスのクソ野郎を探して6時間が経過した。


 俺たちはパーカスの手がかりを探しながら、どこに潜んでいるか分からない敵を警戒しつつ、途中出くわした鹿にビックリして崖から転げ落ちたりした。


「くっ、傷が痛むぜ」

 崖から転げ落ちたボブが血混じりのツバを吐いた。

「ボブ、大丈夫か? 少し休んだほうがいいんじゃ?」

「ヘッ、このくらいなんともねぇよ」

「でも顔が真っ青だぞ? 先のことを考えると体力は温存したほうが……」

「大丈夫だって言ってんだろ。俺はカウボーイじゃねえ。完全無欠のフロッグマン、ネイビーSEALsだ」

「ああそうかよ。たかが子鹿に驚いて十メートルもダッシュしたあげく崖から転げ落ちるネイビーSEALsなんて聞いたことねーから何かのギャグなんじゃねえかって思っただけだ」

「うるせぇなテメェはさっきから! なんともねぇって言ってンだろ!」

「じゃあ一人で歩けよ」

「上等だよ歩いてやんよコラ。俺の完璧なwoking!!! 見とけや」

「スペル間違ってんだよクソが。それじゃファミレスのアニメだろうが」

「ワケわかんねえこと言ってんじゃねぇぞこのジャパンアニメオタクが」

「おいリチャード、ボブ、こんな時にケンカするな」


 みんなピリピリしていた。まあ仕方ねえさ。

 ここまで想定外のことが重なれば誰だってキレたくもなる。

 現在地は不明。周りは敵だらけ。


 ボブは子鹿に驚いて崖から転げ落ち、リチャードはウサギを食おうとしてクマに襲われた。

 俺も切り株をスナイパーと見間違えて谷底へ落ちた。

 俺とリチャードの傷は大したことなかったが、ボブの傷は良くなかった。

 茂みから飛び出してきた可愛いバンビをゾンビか何かと見間違えたボブは足首を痛め、さらには膝と腰、背骨と胸骨と奥歯が痛いと言って何度か地べたに寝転がった。

 そのため、パーカスの捜索は一時中断とした。

 

「こういう時に都合よく山小屋でもあればいいんだがな」

「あったとしても安全とは言えないけどな」

「おいリチャード、お前はなんでいつもそうネガティブなんだよ」

「軍人たるもの、常に最悪の事態を想定する必要があるだろ。俺はお前みたいに毎日がカーニバルじゃねぇんだよ」

「誰がカーニバルだコラ」

「おい二人とも、ちょっとアレ見ろ」

「あん?」

「パーカスか?」

「いや、もっといいモンだ」

 俺が見つけた、パーカスよりいいもの。


 それは――山小屋だった。


「なんでこんなところに山小屋が?」

「怪しすぎるだろ」

 俺とリチャードは顔を見合わせ、すぐさま警戒態勢をとった。


 しかしボブは違った。


「ヒャッホウ俺たちはツイてる! 俺ちょっくら見てくんよーっ!」

「ちょ、待てよボブ!」

 ボブは脳筋なので警戒心のカケラもないヒゲ面を俺たちに見せた。

 危険なニオイがプンプンする山小屋に向かってボブがダッシュしていく。

 バカなんだあいつは。いつも。

 とりあえず俺とリチャードは周囲の安全を確保する。


「リチャードどう思う? こんな山奥に人が住んでると思うか?」

「さあな。そもそもここがどこなのかさえわかってねえんだ。目に見えているものを一つ一つ確認していくしかない」

「人が住んでいる気配はあるな。念入りに調べよう」

「慎重に行きたいところだが……ボブはどこへ行ったんだ?」

「そういやいないなあのバカ」


 なんつーか、ボブがいなくなった。


 足を痛めているくせにどこまで突っ走りやがったんだあのヒゲは。


「おいボブ、どこ行った? 返事をしろ」

 リチャードが小声でボブを呼ぶが、建物の中からも裏からもボブの返事は返ってこない。

 こいつは嫌な予感がする。


「リチャード、中を調べるぞ」


 緊張が走る。リチャードが扉の前に張り付き、隙間から中を確認。

 俺は後方を確認したのち、リチャードの突入に合わせる。

 ゆっくりと扉を開け、リチャードは視線と同じように銃身を右から左へ九十度動かす。

 日が傾いてきていることもあり、山小屋の中は薄暗かった。


いったいボブはどこへ消えたのか?

俺たちは不気味な山小屋の中に、足を踏み入れた。


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