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買い出し終了!!!

俺は汗をかきながら商店街をのそのそと歩いていた。

両手には重い袋をもち、背中にリュックを担いでいた。リュックの中はもちろん手に持っている袋と同じで重い。

少し前まではフレイヤと一緒にいたのだが、さっきの喫茶店で先にユグドラシルに帰らせた。よって俺は一人である。

ゴーンゴーン、と6時を知らせる鐘が聞こえてくる。喫茶店から歩き続け3時間。俺はまだユグドラシルに辿りつけないでいる。

重い荷物を持っているので歩くスピードが遅かった、と言うのも一つの理由だが。主な理由は俺がユグドラシルまでの道のりを知らなかったからだ。俺は買い物に行く時フレイヤに引きずられそれどころではなかったため、道のりなど考えもしなかった。

そして結果、迷子。知らない人に声をかけ、どうにか道のりが分かったところだった。

「はぁ、はぁ。お、お風呂に入りたい」 

かいた汗が尋常ではなく、服が体にひっついており気持ち悪い。さらに俺は昨日お風呂に入ってない。俺の頭の中はお風呂のことで頭がいっぱいだ。

「み、見えた」

別に女性のパンツのことではない。目標地点。ユグドラシルがだ。

「や、やっと解放される……」

俺の眼から涙があふれた。それほどこの道のりは過酷なものだったのだ。鼻をすすりながら、ユグドラシルのドアを開ける。

「た、ただいま~」

「やっと帰ってきたか」

そこにはいつも通り人気がないユグドラシルだった。


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「つ、疲れた~!!!」

俺はユグドラシルの二階のリビングでテーブルの椅子に座り叫んでいた。

「ふふ。本当にお疲れ様。はい、紅茶」

「あ、ありがとうございます」

クルルさんが持ってきてくれた紅茶の匂いを嗅ぐ。ほんのり甘い香りが鼻腔をくすぐる。そのまま紅茶をズルズルとすする。

「それにしても大変だったわね。お湯加減は大丈夫だった?」

「はい。ちょうどいい温度でした」

今日の買い出しの一件で、スールさんから先にお風呂にはいって来てもよい、と言われたので言葉に甘えてはいらせてもらった。

この店の二階のように、お風呂も店の外観からは予想も出来ないほどの広さだった。お風呂にもいろいろ種類があり、それを楽しんでいるうちに1時間も湯船につかっていた。

クルルさんは紅茶をすすり、上品に微笑んだ。

「初仕事早々大変だったでしょう?この店はすこし人手不足だからね。一人一人の負担が大きいのよ」

「へぇ、そうなんですね」

「ええ。だからスールもスカウトに力を入れているのよ。レオ君が入ってきてくれて助かったわ」

確かに俺と初めて会った時、スールさんはそんなことを言っていた気が…。本当に人手に困っているのか。

「まぁ、俺がスカウトが出来るわけでもないし。普通に仕事頑張りますよ」

紅茶を飲み終え、クルルさんにカップを手渡す。

「ええ。それで十分よ。がんばってね」

クルルさんはそう言い、キッチンの方にコップを洗いに行った。

テレビをつける。最初に目に飛び込んできたのは、この地域のニュース番組だった。どうやら今週のイベントの特集を行っている様だ。えっと、なになに。

「あ、暑さを吹っ飛ばせ……?北桜祭り!?」

北桜とはこの辺では有名な桜の名所である。桜が有名なところのお祭りなら春にするべきなのでは!?

「かぁー、今日も疲れたぜー!!おっ、北桜祭りの特集やってやがるな」

階段から兄貴が上がってくる。それに続いてカジさん、ドワさん、フレイヤ、スールさんが上がってくる。そして各々が自分の席に座る。

「あ、あれ?もう店は終わりなんですか?」

現在8時前。店を閉まるにはすこし早いのではないだろうか?

「あぁ、今日は話し合いをしようと思ってな」

スールさんは煙草を取り出し火をつける。

「その北桜祭りに関することだ」

「へぇ」

北桜祭りについての話し合い?この店が祭り主催しているのか?

「開店してから俺たちは商店街の祭りごとには必ず参加してるんだ。主に屋台だけどな」

隣に座っている兄貴から事情を聞かされる。そうだったのか。俺はそういう祭りごとにはあまり行かなかったから分かんないな~。

「うむ。地域の人とも関われてなかなか楽しいものだ。やって損はないぞ」

兄貴の隣に座るカジさんはアイスコーヒーを飲みながらそう言う。

「とっても楽しいものですよ。さらに祭りの時はみんなの財布のひもが緩んでますから、よく売れるんですよ~」

さすが会計担当……。そう言うところにも目を向けているのか。

「で、今年も屋台をするというわけだ」

「な、なるほど。屋台についての話し合いをするわけですね」

「その通り。ドワっ!」

「む!」

スールさんに指名されたドワさんは勢いよく立ち、駆け足でキッチンに向かう。

「ゆ、夕飯ですか?」

「そ、そうよ!お腹減ったわ!」

お腹をさすりながら呻くフレイヤ。さっきまで騒がしくなかったのはお腹が減っていたからだ。

「ま、半分正解半分間違いか」

「むっ!」

するとドワさんはテーブルの上に三つの袋を置いた。その袋は俺とフレイヤが買ってきたものだった。

「今からお料理コンテストだぁ!!!」

「「 はぁ!? 」」

俺とフレイヤの声が同時に響く。

「さぁ、屋台に出せそうな料理をこの中のを使って作ってこい。一人一品ずつな~!」

「「「 おぉー 」」」

なぜか俺とフレイヤ以外全員乗り気だった。各々袋の中の食品やらを見ながら唸っていた。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!急展開過ぎて理解不能なんですけど」

「ん?料理を作ればいいのだ、祭り用の」

スールさんは右手をひらひらさせながら答える。

「ちょ、俺料理とか出来ないんですけど!?」

「もちろん全員参加だぞ」

「私も料理できないのよ!最初私が料理した時家事を起こしかけたでしょ!!!」

「も、もちろん全員参加だ!」

スールさんの顔が一瞬こわばる。てか、フレイヤ!お前そんなことがあったのか。危険すぎるわ!

「まぁまぁお二人さんよー。自分が料理した物が屋台に選ばれたらおこずかいもらえるぜ~」

「ま、マジか!兄貴」

「まぁ、そりゃ。貢献してくれた奴にはそれほどやらんとな」

スールさんも言ってるんだ。この話は本当らしい。俺の料理が選ばれたらおこずかい!おこずかいだぁ!

「やります!全力で取り組ませてもらいます」

「……男って単純ね」

フレイヤがボソッと何か言った気がするが、気にしない。今やるべきことは料理を作ることだ。選ばれればおこずかい……。


というわけで、ユグドラシルお料理コンテストが始まった。

いろいろ考えた結果、もうすこし一話一話短めにしようかと…。

努力します。

一応外伝の構想も考えてるので、近日に……。

評価、感想よろしくお願いします。

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