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異世界な従業員

俺はユグドラシルの前を箒で掃いていた。

開店30分前だということで、スールさんから掃除を頼まれたのだ。

昨日。俺は存在を消された。借金問題も解決し、俺は新しい人生を踏み出すのだ。

と、いっても何も変わったこともなく俺は普通に地面を踏んでいた。


が、変わったことが少しだけある。

それは俺の頬のけがだった。実際にはやけど。

そのけがを俺に負わせた張本人は今店の前のベンチに座っておにぎりを食べていた。

フレイヤ。それが彼女の名前である。昨日の夜、彼女の布一枚の姿を目撃した後、彼女の炎で俺は大やけどを負った。

すぐにスールさんが駆けつけて能力で消してくれたが、頬の一か所だけ消すことが出来なかったのだ。

で、現在に至るわけである。


「全く。普通そんなやけどじゃすませないところよ。私の慈悲に感謝しなさい」

フレイヤは自分がやったことに対して反省の色も見せず、ずっと私の慈悲に感謝しなさいと言いっぱなしだった。正直うざい。

「ふん。自分が無防備だったということは認めないのか?はっ!先輩としてどうなのかね~」

俺は皮肉った調子で告げる。

「はぁっ!?新人のくせになに生意気言ってんのよ。あんたなんかゴミ屑以下よ!」

ぴきっ、っと俺の頭の中の何かが切れた。

「なに言いやがる!スールさんに聞きゃ、お前俺が入る1週間前に入ったばっからしいじゃないか。俺とおまえは同等じゃボケぇ!」

手当をされている際、俺はスールさんからフレイヤについての情報はある程度もらっていた。こいつと俺が入る時期はほぼ同時期だ。

「一週間でもえらい違いよ!先輩としてしっかり敬いなさい!てか、さっき私のこと先輩って言ってたでしょ!?」

「うわっ、先輩とか!自意識過剰ですか!?」

「ぬぬぬ。ふざけんにゃーーー!」

俺は持っていた箒で、フレイヤは近くに立てかけてあった旗を使ってチャンバラごっこが始まった。


「「うぉぉおおりゃぁぁぁぁああああああ」」


商店街に二人の声が響く。朝日はすでに昇っている。商店街を歩く人はちゃんといた。が、俺たちはそれも気にせず乱闘。道行く人はくすくすと笑っていた。

「お前らは恥ずかしく無いのか…」

ドアの前でスールさんはため息をついていた。それを見かけた俺は乱闘をやめた。

「わはは。すきあり!」

振りかぶって飛びついてきたフレイヤを俺は華麗によけた。

「ぎゃぁ!」

フレイヤは勢いで顔を地面にぶつけ、そのまま小刻みに震えていた。たぶん悔しさ半分痛さ半分だろうな。

「それよりそろそろ時間だ。とりあえず中に入れ」

「分かりました」

俺はドアを開けた。

「……」

フレイヤはまだ倒れているままだった。

「…貧乳」

「だれが貧乳じゃ、ぼけぇぇぇぇええええ!」

元気よく跳ねあがったのを見ると、けがとかは無いようだな。


---------------------------------------------------


「じゃ、とりあえずメンバーの紹介でもしようか」

スールさんは椅子に座って、煙草をくわえていた。

「ちょっといいですか?」

「ん。なんだレオ?」

右隣を指さし、

「なんでこいつが付いてきてるんスか!?」

俺の右隣にはフレイヤがいた。

「そりゃ、こいつがお前の教育係だからだよ」

「んだと!?」

フレイヤを睨む。フレイヤは目を細めて口元をあげていた。

「あっはっはっは!お前は私の部下だぞ!」

人差し指で俺の頬をついてくるフレイヤ。う、うぜぇ…。

「ま、一週間と言っても先に入っているのは事実だ。我慢しろ」

「くぅぅ…」

フレイヤは勝利宣言なのだろうか、Vサインをして俺を皮肉っていた。

「ま、こいつ以上におかしい奴はこの店にはいない。安心しろ」

スールさんは立ち上がり、厨房の方に向かった。俺はスールさんの後について行った。

「ちょっと。それじゃ私が一番おかしいみたいじゃない!?」

フレイヤは俺の後ろを歩きながらいろいろ文句を言っていた。

「おい、ヴェル!出てこい!」

「へい、姉御。なんか御用かい?」

厨房のからすこしでかい人が出てきた。

「おっ?新人かい?」

「そうだ。自己紹介しろ」

「ヴェルだ。この店じゃ、姉御の次ぐ権力を持ってるぜ。そうだな、兄貴、と言ってくれ!」

ヴェルと言う人はでかい手を差し出してくる。どうやら握手を求めているようだ。

「よろしくお願いします、兄貴」

握手をする。暖かくて安心できる手だった。

「カジいるか?」

「あぁ、あいつならいますよ」

兄貴は厨房に入り、交代で一人の痩せた男の人が入ってきた。

「うむ。新人の方か?」

「あぁ、自己紹介頼む」

「拙者はカジ。主にドリンクを担当している」

カジさんは綺麗にお辞儀をする。とても礼儀正しい人だな。

「こいつのコーヒーは特に絶品なんだ。今度のませてもらうといい」

「うむ。今度のませてやろう」

「あ、ありがとうございます」

スールさんが絶賛するほど?飲んでみたいな…。

カジさんはさっさと厨房に戻っていった。

「さて、あとはあいつだな…。どこにいるかな?厨房にはいないみたいだしな」

スールさんはあちらこちら見て回る。誰かを探しているようだが。

「ぬ」

「おわぁっ!?」

後ろから変な声が聞こえて、跳びあがる。

「あら、いたの?」

フレイヤは何ともないように話しているが、俺は腰が引けていた。

目の前にいる人物はあまりにも人間離れしている顔で、たとえるならゴリラだ。見るだけで相手を畏怖させるような人だった。

「おっ、ドワさん。今来たばっかか」

「ぬ」

ドワさんなる人物は頭を上下に動かした。どうやら同じ従業員のようだ。

「こいつはうちの店のシェフだ。この店の料理はすべてこいつの手で作ってるんだ」

「へ、へぇ。凄いですね」

「ぬ」

ドワさんは頭をかきながら俯く。どうやら照れているようだ。

「全くドワはぬしか言わないから良く分かんないのよね。スールは分かるみたいだけど」

「えっ!?スールさん分かるんですか」

ぬ、の気持ちが分かるとは…。只者ではないな。

「そりゃ、店長として当然だからな」

「ぬ」

スールさんは凄い人だな、と改めて思った。

「じゃ、ドワさん。今日も頼んだぞ」

「ぬ!」

ドワさんはガッツポーズをして、厨房に入っていった。これは元気をいれるサインなんだろうな。

「さて、あとは事務室だな」


---------------------------------


「おい、クルル」

「はい、いますよー」

事務室の中から綺麗な女性の声が聞こえた。

事務室には茶髪のロングの女性がいた。スールさんはさっきクルルと言っていたので、

「よろしくお願いします。クルルさん」

俺はお辞儀をして挨拶をした。

「あらあら。あなたがレオ君ね。こちらこそよろしく」

クルルさんも頭を下げる。優しそうでいい人だな。

「全く。クルルさんに色目使っちゃって。気色悪い」

「……」

やはりスールさんが言っていた通り、おかしいのはフレイヤだけだな。

「クルルは主にこの店の会計をしている。レジもこいつがやっているよ」

「金銭関係は任せておいてね」

クルルさんは口元の手をあて上品に笑った。あぁ、フレイヤと違って女性らしい方だな。

「これで全員紹介出来たかな?そろそろ仕事に取り掛かろうか。あいつらだけじゃ、切り盛りも大変だろう」

「い、いよいよですか…」

いやに心臓が高鳴る。緊張が最高潮だ。

「は、は。まったく。これ、くらいで緊張し、しちゃって」

そういうフレイヤは足がすこし震えていた。

「強がんなよ」

「はっ!?別に強がってないし」

「ほら。さっさとやるぞ」

事務室からでて、店内を見回す。すでに客が来ており、兄貴とカジさんはすでに接客をしていた。

「さぁ、レオ。初仕事頑張れよ」

「はい!」

スールさんの応援を受け、俺は店に足を踏み入れた。

やっぱ夜に書くと、雑になりますね。

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