思考に沈む。
生存報告を兼ねての更新です(笑)
多忙ですが生きてます♪
今後ともよろしくお願いいたしますー!
バサリという羽音と、トンっと軽い音をさせて降りてきてバルさんを見て、安心した私はバルさんに両手を伸ばしました。
バルさんは慌ててそっくりさんから私を取り上げると、優しく抱きしめてくれます。
「るう様っ。ご無事で良かった・・・。怪我はございませんか?」
「は、はい。あの、ひとが、たしゅ、たすけて、くれました。」
きゅうっとバルさんの胸元の服を握って見上げると、バルさんは初めてそっくりさんと後ろに立つ騎士さんに気づいたようで、見えている金色の片目は驚いたように見開きました。
「・・・久しぶりだね。何年ぶりだろうね。まさか兄さんがルナー様の護衛騎士で王都に出てくるとは思わなかった。」
「・・・・・・。るう様を助けて頂きありがとうございます。」
「ふ。あくまでその態度を崩さないんだ?まあいいや。ルナー様。お怪我がなくて良かったです。それではまた。おい、行くぞ。」
「え、あ、ああ。ルナー様。失礼いたします。」
なんだか不穏な空気を感じた気がしますが、そっくりさんは私に話しかけて、私が小さくコクコクと頷くと、後ろにいた騎士さんを引き連れて歩きだしました。
バルさんを見上げると、表情が抜け落ちたお人形のようにそっくりさんが去った方向を見つめていて、その金色の瞳は無機質なガラス玉のように感じます。
不安になって小さく握っていたシャツを引くと、バルさんはハッとしたお顔で私に視線を落としました。
その瞳には光が戻ってきたように、眉を少し下げて苦笑いします。
「申し訳ありません。さあ、少し冷えてきました。お部屋に戻りましょう。」
「はい。あの、バルさん。おねがい、あるです。」
「?なんでしょうか?私が叶えられることでしたら何でも仰ってください。」
「えと、おちゃ、いっしょ、してください。」
私がお茶に誘うと、バルさんはきょとんとした後、困ったように笑いました。
きっと、多分、バルさんとさっきのバルさんと似てた騎士さんは、血の繋がっている兄弟なんでしょう。
だって『兄さん』ってバルさんのことを呼んでました。
でも『兄さん』って呼んだ瞬間のあの騎士さんの声は、とっても冷えたものでした。
まるで、そう、憎んでいるような・・・。
バルさんの困ったような微笑みが、痛くて、切なくて、年上なのに迷子になった子供みたいでどうしても笑ってほしくて、わざと子供みたいに困らせてみましたが、私、どうしちゃったのでしょうか。
だっこしてくれているバルさんの首にきゅっと抱きついて、『る、るう様っ!?』と慌てるいつものバルさんにほっとしている私がいます。
いつも前髪で隠しているオッドアイのせいなのでしょうか?
初めて見た時の私は、何も考えずにただ綺麗だと言ってしまいましたが、あの時のバルさんは慌てて隠していましたし、何より脅えていたように感じたことに気づきました。
はっきり聞いたことはないのですが、もしかしたらこの世界ではオッドアイというのはよくないことなのでしょうか?
でもどうして?
確かに私のいた世界でも、オッドアイは珍しかったですが、私の中の認識では受け入れられていたように思います。
人以外でだと、身近な犬や猫でしたらオッドアイはよく見た気がします。
よくよく考えると、こっちでは人間がいないですし、動物の亜人がいる世界でなら普通に考えてもオッドアイの人なんてたくさんいそうな気がするのですが・・・違うのでしょうか?
慌てふためくバルさんの声をまるっと無視して思考に沈む私が、眉間の皺を増やしたリクさんにバルコニーから見つかるまであと数分。