微妙な違い。
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驚き過ぎて逆に冷静になりました・・・(・ω・`;
あ、落ちる・・・と、ゆっくりと景色が動いていく様子を、どこか冷静な思考で感じてじわりと恐怖が浮き上がって慌てて手すりに手を伸ばしましたが、時既に遅しとはこういうことでしたっ。
一度バランスを崩した身体はいとも簡単に傾いていきました。
ですが、下から慌てた声が聞こえたのとほぼ同時に、ふわりとした浮遊感が突然やってきて、優しく私の体を包み込みます。
そして思いの外近い場所から低く優しい声と羽音が聞こえました。
「・・・ルナー様っ。ご無事ですか?」
「ふぇ・・・?」
恐る恐る目を開けると、心配そうに覗き込む黄金色の瞳と心配そうなお顔が飛び込んできます。
知っているお顔が覗いていたことで、さっきのひやりとした恐怖が安心感に変わってじわりと目頭が熱くなりました。
「あぅ・・・っ。こ、こわかった、ですっ。ありがと、ですっ。」
「っ!」
きゅうっと首に抱きついたことで息を詰めたバルさんが深呼吸するように大きく息を整えた後、お庭へバサリと翼をたたんで降りると、近くにいた騎士へ歩み寄り、片手で私を支えながらも・・・。
ごちんっっっ。
「いっっっっっってええぇぇぇぇぇえっっっ!!!」
「いってえぇぇっ。・・・じゃないっ。ルナー様を危険にさらしやがって、俺がいなかったらどうしてたんだっ!」
「いやいやいやいやっっ!その時は俺が優しく抱きとめてたよっ!?」
「それ以前の問題だっ。馬鹿が!!」
「馬鹿ってっ。馬鹿は言い過ぎだろっ」
「馬鹿じゃなかったらなんだってんだ!こんな幼いルナー様がもしも怪我でもしてみろっ!降格どころか首が飛ぶぞ!」
ぎゃあぎゃあと言い合いを始めてしまった騎士2人のやり取りに、おかしなことに気づきました。
・・・・・・・・・・・・はい?
私はバルさんの首に抱きついたまま、ピシリと固まってしまいました。
バルさんってこんな口調だったでしょうか・・・?
さっきまでは冷静でなかったため気づきませんでしたが、なんとなくバルさんの騎士服の色が違うような・・・?
それに、いつものバルさんの爽やかな香りではなくて、なんていうか、甘いバニラみたいな香り・・・?
そして何より、『私』ではなく、『俺』と言っています・・・。
バルさんはお仕事中は『私』と切り替えて使っているとログさんが言っていました。
そろりと顔をあげてまじまじとバルさんの近い顔を観察してみて、少し違和感を感じます。
そして気づきました。
バルさんの目の色が両目とも金色だということに。
「あ、う・・・?え・・・?」
「あっ。も、申し訳ございませんっ。ルナー様。俺、つい頭に血がのぼってしまって・・・。はっ。怪我!お怪我はございませんでしたか?!」
私が小さく声を発してしまったことで、慌てたように話しかけられてしまいましたが、ルナー様と呼んだということは、やっぱりこの騎士さんはバルさんではないということですよね・・・?
でしたらバルさんの弟さん?
それともお兄さんでしょうか?
それともただの他人のそら似でしょうか?
混乱していると、私のお部屋のバルコニーから慌てたように聞き覚えのあるお声が振ってきました。
「るう様っっ!!」
その声の主こそ、私の知っている心配性なバルさんのお声で、さっきまで本人だと思っていたそっくりさんとは比べてみて違いがやっと分かるほどですが、声の質が違うのだと気づきます。
そういえばバルさんは私のお部屋のお外で扉を守ってくれていたのでした。
ぼんやりとそんなことを思っていたら、バルさんはバルコニーから翼を広げて一瞬のうちに私の前に降り立ちました。
王都の騎士Aが現れた!
バルさんBが現れた!
騎士AとバルさんBが仲間割れを始めた!
るうは様子を見ている。
バルさんAが現れた!
・・・・・・・おうふw