引き摺るやきもちさん。
少し多忙になってきました。
頑張って更新したいと思いますが、感想の返信は出来ないかもしれません|ω;`)
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「・・・・バルさん。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・バルさん。」
「・・・・・・・・・なんだ?」
ルナーであるるうの部屋の前で護衛をしていた護衛騎士、小柄な栗鼠族のルイと鳥族のバルは、おかしな空気に耐えながらも扉を守っていました。
早朝にるうの起きる気配を察知した2人は、早くに尋ねてきたカイに『るうの様子が気になって来た』と言われ通したのですが、るうはこの世界のルナーですので、ルナーの守人の竜騎士の1人とはいえ、密室になることがないように扉を少しだけ開いた状態にして護衛を続けていたのです。
すると今度は、もう1人のるうの保護者・・・竜騎士であり守人のリクが血相を変えて、るうの部屋へ飛び込んで行くではありませんか。
あまりの切羽詰まったリクの表情と、更に騎乗でもしているのではないかと思うほどのスピードで部屋に飛び込んで行った為、訪問理由も聞けずに通してしまうことになってしまったのです。
そうかと思えば数分後には、背後に黒いものを背負って恐ろしく穏やかな微笑みを顔面に貼り付けたカイが静かに出てきて『護衛、しっかり頼みますよ』と言い残して歩いて行ってしまいます。
ボソボソと小さな声で『この罪、どう償って頂きましょうか。ふふ。』と呟いていたのを聞いてしまったルイとバルは、その場で固まるしかありませんでした。
そして冒頭の会話に繋がるのでした。
「僕、ものすごく怖い台詞を聞いた気がするんですけど・・・。気のせいってことにしちゃってもいいんですかね?」
「・・・気のせいも何も。俺、否、私は何も聞こえなかった。」
「・・・・・・・ずるいです。」
「・・・・・・・・・・・聞こえん。」
バルはるうの気配に気を配りながらも、先程去っていったカイの底冷えするような声を無かったことにしました。
1人青褪めて顔色の悪いルイは、バルの騎士としての精神面での経験値を本気で羨んだのは言うまでもありませんでしした。
そんな時、少し開いていた扉が静かに開いたことに気づいて2人は扉に視線を向けたのですが、誰もいないことに不思議に思い、顔を見合わせていると、下から小さく可愛らしい声が聞こえてきます。
「あ、の。うるさい、して、ごめん、なしゃ、さい。」
「「るう様!?」」
1人で扉を開けられたのかと、驚いた顔をした2人でしたが、るうの後ろからドアノブを握っているリクを目にすると、どうしたのだろうと首を捻りました。
「るう様。どうなさいましたか?お部屋から出られるのでしたら付き添わせていただきますが・・・。」
「い、いいえっ。あの、なみ、さん。どこか、わかる、ですか?」
どうやらるうは部屋から出るつもりではなく、侍女であるナミを探しているようで、リクが補足して口を開きました。
「大分長い時間泣いていたようだからな。喉が渇いたようだ。悪いがナミに茶を持ってきてくれと伝えてくれ。それと、るうの食事も頼む。今頃調理場へ行って用意はしているだろうがな。」
「は、はいっ。行ってまいります!」
ルイがパタパタと駆けて行くのを確認した後、バルは片膝を床につけてるうの目線に合わせると、るうの目元が赤くなっていることを確認して心配そうに眉を下げます。
思わず片手をるうに向けて差し出そうとしたところで、るうが視界から持ち上がりました。
バルが目線を上げた先では、リクの片腕に子供抱きにされているるうがいて、突然抱き上げられたるうは、きょとんとした目をぱちぱちと瞬いてバルを見下ろすかたちになっていました。
髪に隠れて片目しか見えていないバルですが、明らかに眉を顰めているのが分かりましたが、無言で立ち上がると、オロオロしているるうが視界に入ったことで穏やかな表情に意識して戻します。
「るう様。涙を流すことは、思っておられる以上に体力を消耗します。今日はゆっくりお部屋でお過ごしください。」
「は、はい。ばるさん。しんぱい、かけて、ごめんなさい。あと、ありがと、ですっ。」
頬をピンク色に染めて、るうはあわあわと慌てながらもバルにお礼を言うと、バルが頷いたのを確認したリクは扉を閉めたのでした。
何気に数日前に階下の中庭で見たバル&るうのことを引き摺っているリク様なのでした(笑)