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ちびっこは神様の愛し子。  作者: 瑠璃夢
【第14章】親鳥と雛の如く。
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リクの本音。

いつも読んでくださりありがとうございますーっ!

今回でリクさん視点はおしまいです。

リクさんの本音回です(笑)



【リク視点3】




『あい、た、かった、です。』




るうは、そう言って俺と離れまいと必死に縋りつく。なんだこの可愛い生き物は。


俺は堪らない気持ちになって、片手で口を覆いつつも小さなるうの頭に片手を乗せる。




「るう、は。そんなに俺に会いたかった、のか・・・?」




照れる気持ちを隠せないままそう問いかけると、小さく何度も頷いたるうが可愛すぎて、俺は耐え切れなくなってゆるゆると嬉しさがこみ上げてきた。




「そうか。俺もだ。」


「りく、さん、も・・・?」




恐る恐る顔を上げて上目づかいで見上げてきたるうに視線を合わせて、俺も肯定して頷くと、るうは少しだけ瞳を彷徨わせた後、頬をピンクに染めたまま、ふにゃりと微笑んだ。




「言い訳になってしまうんだが・・・。何度か遅い刻に会いに、来た。無駄に有能な護衛を配置してしまったようだ。もうるうは眠っているから出直せと、門・・・ではなかったが、門前払いだった。」


「っ。よ、よる、きて、くれてた、ですか?」




ただでさえ大きな瞳をさらに見開いて、るうはまん丸になった目で俺をまじまじと見つめてくる。


俺は数日前、るうが笑顔で過ごしていると思い、俺がいなくても笑えているのだなと焦燥感に駆られていたのだが、それは俺の思い過ごしだったのかもしれないな。




「なあ、るう。聖誕祭は2日後からひと月は続くが、初日に披露目が終わったら、あとは勝手に盛り上がって終わる。貴族や、各種族の長にも会いたくなければ会わなくていい。最後まで王都に留まる必要もない。るうが望むなら、神殿の屋敷に帰ってもいいし、行きたい場所があるなら連れて行こう。・・・るうはどうしたい?」


「え・・・?で、も。それじゃ、おうさまも、りくさんも、みんな、こまる、です。だめ、そんなの。」




屋敷に帰ってもいいと言った時、るうは確かにそのはちみつ色の瞳を期待の色に染めたのが見えた。


だというのに、それでも自身の望みを押し殺して周囲の心配をするんだ。




そんな健気なるうの言葉が、心が、小さなるうを追い詰めていく。


・・・痛い。そう思った。




るうの憂いをどうやって取り除こうかと考えて、ふと、屋敷でるうが初めて【おねだり】をした時のことを思い出した。


そうか、るうは確か甘味を作るのが好きだった。


るうの気持ちが優先だから、いつ屋敷へ帰れるのかは未定だが、あそこにはるう専用のキッチン部屋があるのだ。




「るう。狼族のチビたちを覚えているか?」




俺の突然変えた話題に、るうは戸惑いつつも小さく頷く。




「あいつらに、るうの作った甘味を全部持っていかれた。俺はるうの作る甘味を楽しみにしていたんだが、その、だな。また作ってはくれないだろうか?俺は、実は甘味は苦手だったんだが、不思議とるうの作る甘味は甘すぎなくて、だな、あー・・・。まあなんだ。・・・食いたいんだ。」




最後は見下ろしていたるうの顔が驚きに見開かれ、真っ赤になっている様子に俺は羞恥心に負けそうになった。最後の方は早口で言ってしまったが、言い切った俺を誰か褒めてくれ。




正直俺は甘いものは苦手だ。


元々肉が主食で、それさえ食えていれば甘味など必要なかったが、ナミはあれでも女で、王都ではこういう甘味が流行っているのだとか言い、時々甘味を仕入れて来ていたのだ。




この世界の甘味はとにかく甘い。甘ったるい。クソ甘い。喉が痛くなるほどに。




るうが甘味を作ったと聞いて、俺は鋼鉄の意志で覚悟を決めて、どれだけクソ甘かろうが『旨い』と言うつもりで食った。


るうが作ったものなら、たとえ溶けた鉄だろうが、臓器が焼け切ろうがそう言うと決めていたが、意外なことにるうが持ってきた甘味は見た目も小さく可愛く、そしてほのかな甘みを感じる優しい味だったのだ。


まるでるう自身の心を模ったような、そんな気持ちにさせてくれるものだった。




そんなことを思いながらるうをもう一度見直すと、はにかんだ笑みをそのままに、照れくさそうにしながらも言ってくれたんだ。




「いっぱい、つくります。」と。







誰かリクさんを褒めてあげてください(うえ)

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