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ちびっこは神様の愛し子。  作者: 瑠璃夢
【第14章】親鳥と雛の如く。
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リクの苛立ち。

お待たせしましたっ。

今回はるうちゃんがいたずらしたり、さみしんぼになっている間のリクさんの心境編です♪

【リク視点】




ああ、イライラする。




るうに会わせろという謁見希望の貴族の書類を山積みにされたのが3日前の朝。


その中から選べという上の命を突っぱねたのが3日前の夜だった。


ルナーとしての責務など、はっきり言って有りはしないのに、ただ幸せでいてくれさえすればいいはずなのだ。




2日前に城の2階の回廊から中庭で護衛のバルに抱きつくるうを見かけたが、あの光景を見て俺は思わず駆け出しそうになった。


るうに抱きつかれたバルは、それは嬉しそうに膝をつき、優しく微笑んでるうの頭を撫でる。




おいっ。触るな。


その絹のような髪に、柔らかな肌に、触れていいのは俺だけだっ。それは俺のものだ!




叫びそうになり、軋む胸を押さえつけてハッと我に返った俺は愕然と立ち尽くした。


これは、欲、だ。

誰にも触れさせたくないという独占欲。




「俺は、守人。ルナーのための竜騎士だ。」




誰に向けるでもなくぽつりと口から出た言葉は、一瞬のうちに静かな空に消えていく。




確かにるうが卵の中にいる時から、それは大切に見守ってきた。


るうが生まれて、きょとりと大きなツヤツヤの瞳で俺を見上げたるうが、可愛くて、愛しくて、か細く柔らかい身体を抱き上げた時は抱き潰してしまうかと思った程だった。


ああ、これが初めて自分の子供が生まれた時の父親の気持ちなのかと感じていたが、今のこの気持ちは一体何なんだ。




俺が傍にいなくても、るうはああして笑顔で過ごしているという事実、それがどうしようもなく虚無感を感じて、本当にそうなのかと自問自答をし、足を向けようと思った。・・・だが。




「リク様。聖誕祭の警備配置について、会議前に確認したいことがあるそうです。近衛騎士団長様がお呼びでございます。」


「・・・すぐ行くと伝えておいてくれ。」


「かしこまりました。」




・・・・チッ。


タイミングの悪い。夜にでもるうの様子を見に行こうと決意した俺は、会議の間に足を向けることにした。




水竜族と火竜族では階級社会のこの世界では火竜族の方が立場は強い。


生まれてこのかた、それを誇りに思うことはあれど、煩わしく思う日が来るとは思ってもいなかった。

今はカイより上の立場が忌々しく憎らしい。




俺が水竜族、否、風竜族でも土竜族でも構わない、火竜族以外の立場であれば、俺がるうの傍にいられたのかもしれない。


だが、(つい)なる火竜と水竜がルナーの守人とされるのは、攻と防。水竜はルナー盾となり、火竜はルナーの剣となる。


そんな火と水の竜騎士だったからこそ、俺たちはるうの守人になれたのも事実なのだ。




その夜も、またその次の日の夜も、俺がるうの部屋へ足を運んだ頃には、扉の前に立つ護衛騎士から同じ言葉を聞く羽目になった。




『申し訳ありません。るう様は既にお休みになられました。』




昨日の夜、そう言ったのはバルだった。


毎回俺が確認するのは、るうがちゃんと3度の食事を摂ったのか、昼寝は出来ているのか、神殿の屋敷に居た時には自分が一番それを把握出来ていたというのに、今はこうして人伝(ひとづて)に聞くしか出来ない。




るうが生まれてから晴天に恵まれていた空は、今は鉛色の雲が陽の光を遮っていることに気づき空を見上げていて、ふと気づく。


ただ曇っているだけなのだろうか、それともるうの心に変化があったのだろうか?




るうと離れて5日目の早朝、中途半端な睡眠で目が覚めた俺は、早々に仕事の準備に取り掛かり、早く仕事を終わらせて、今日こそはるうと会うのだと決めていた。


だが、突然のぽつりぽつりと雨が降り出したと思ったら、次の瞬間には雷鳴が轟き、大きな音がした。


これはここ最近、そう、るうが生まれてからは無かった事だ。




もしかしたらるうの身に何かあったのかっ!?


侵入者か!?それとも、またサディがるうに何かしたのか!?カイはっ、カイは何をやっているんだっ!!




慌ててるうの部屋へ足を向けて廊下を走る。使用人たちが驚いた顔で立ち止まっていたが、そんなことはどうでもいい、ただるうが心配で俺は長い廊下を駆けたのだった。






リクさん。少し暴走中です・・・(´・ω・`;)

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