逃げ切れませんでした。
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もうすぐブックマークも3000に届く勢いでびっくりです。
頑張ります!今後もよろしくお願いします!
お部屋に戻ってきた私とシリーさんとバルさんに続いて慌しい足音と共にナミさんとアルさんが入ってきました。
ナミさんすごいです。
ナミさんがアルさんを呼びに行ってくれた後、そんなに時間を置かずにお部屋に戻ってきたのに、ほとんど着いたのは同時でした。
アルさんは早足でソファーに座っている私の前まで来ると、すぐに片膝をついて私の頬を両手で挟むと、いつもは穏やかなお顔に眉間の皺がきゅっと入ります。
「るう。また貴女は怪我をして・・・。気をつけないといけませんよ。じゃないと僕の心臓が持ちません。ああ・・・こんなとこまで擦りむいてますね。」
「ご、ごめん、なさい。」
「理由を聞くのは後にしましょうね。取り合えず、その痛々しい額と頬の治療です。」
「ぴっ!?」
大きなソファーは私が後ずさりするには十分でしたが、アルさんがお医者さんだったことを改めて気づかされたのです。
私、お医者さんだめなんですーーーーーっ!
アルさんはシリーさんとバルさんに視線を移すと、無情な死刑宣告をしました。
「シリーくん。バルくん。すみませんがるうを固定してくれますか?」
「「はい・・・?」」
「るうは大の医者嫌いなのですよ。このままじゃ治療が出来ず、傷が残ってしまうかもしれませんよ。貴方たちも、るうの顔に一生残る傷など残したくないでしょう?」
「「っっ!?」」
にっこりと微笑むアルさんに、バルさんとシリーさんは慌てて私の両側に座ると、ふたりして『失礼します』と手を伸ばしてきました。
失礼するなら帰ってんかーーーーーっっ!!なんて前世の某○本のネタを思い出した私は悪くなんてないはず・・・。
「やあーっ。おいしゃ、さんっ。こあいの、やーっ。」
「ほら。るう。こちらを向かないと消毒できません。怖くないですよ?僕は可愛いうさぎさんです。ね?」
いいえ、いいえっ!
うさぎさんな筈がありません!
今は肉食獣の目ですっ。
誰よりも怖いライオンさんに見えますっ。
必死に顔を背ける私に両サイドの困惑した雰囲気のシリーさんとバルさん、オロオロしながらも消毒液を片手に持ってジリジリと近づいてくるアルさん。
ひとつだけ言わせてほしいっ。
こんな擦り傷で一生残る傷痕なんてできませんからっっっ!!
ふわふわのソファーに苦戦しながらも体を回転させてアルさんを背にして、背もたれ部分から逃亡しそうな私の体を両サイドのシリーさんとバルさんが片腕ずつで制しています。
目に零れ落ちそうなほど涙を溜めてイヤイヤする私にこれ以上どう頑張れと言うのですか?
あ、バルさん目を逸らしましたね?でも腕の力は変わりません。
シリーさんは苦笑いしていますが、こちらも逃がしてくれる気はないようです。
うぅぅ・・・結局大きな2人の力に適わずアルさんのいい笑顔という名の気圧に負けて治療されてしまいました。
毎回もう怪我なんて絶対しないぞと意気込むのですが、どうしてこうなのでしょうね。私にもさっぱりのちんぷんかんぷんです。
ぐしぐしと涙をお洋服の袖で拭う私の手を優しく取って、バルさんはハンカチなのかスカーフなのか分かりませんけど、柔らかい布を取り出して涙を拭いてくれました。
治療用の消毒液をバッグに入れていたアルさんが、何かを思い出したように顔を上げてシリーさんに視線を移すと・・・。
「そういえば。シリーくんは白魔法が使えたのではありませんでしたか?僕が治療するより痛みもないはずなので、僕を呼ばなくても治療できたでしょう?」
・・・・・・・・ナンデスカソレ。