降りられない。
いつもちび神を読んでくださってありがとうございます。
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夜遅くまでわいわいと盛り上がった食事会は無事終わり、ログがレンとランを送って行った後、るうはすぐ睡魔に襲われ眠ってしまったのですが、朝になり困ったことが起きていました。
「う・・・。どうしよ、です。」
るうの目の前には断崖絶壁・・・ではなく、この世界での大人用ベッドの上から遠くに見える床を見下ろしていました。
るうの住んでいたお屋敷のベッドも元々は大きなベッドでしたが、作り変えてもらう前でも子供用ベッドだったため、苦労しつつも滑り降りることは出来たのですが、初の大人用ベッドはとんでもない高さと大きさがあったのです。
飛び降りるにしても高過ぎるベッドは、捻挫のひとつもしてしまいそうです。
昨夜はいつの間にか眠ってしまっていて、朝起きて気づいたらベッドに入っていたため周りには誰もいません。
るうは気づいていませんでしたが、扉を出てすぐの廊下には簡易な椅子が設置されており、護衛の一人、ルイが寝ずの番をしていました。
ルイはるうが起きた気配に気づいていて、そろそろ着替えて出てくるのではないかと思っていたのですが、その気配はベッドの上から動くことがなく、もしかして具合でも悪いのではないだろうかと考え始めます。
本来なら護衛騎士から話しかけたりするのも、起こしたりするのもいけないことでしたが、あまりにもベッドの上の気配が動かないため心配になってきて、声をかけてみようかどうしようかと扉の前で考え込んでいた時、後ろから声がかかりました。
「あら。護衛ご苦労様。・・・?どうなさいましたの?」
「あ、ナミさん。いえ、それが。るう様が起きておられるような気配はあるのですが、動く気配を感じなかったので具合でも悪いのかなと・・・。」
八の字に眉を下げて頬を人差し指で掻いたルイに、ナミもるうの具合が悪いのではと心配になってしまいます。
コンコン。
2回ノックした後、ナミは扉を開いて中にいるであろうるうに声をかけました。
「るう様。おはようございます。・・・?るう様?どうなさったのですか!?そんな泣きそうなお顔で・・・。」
「っ!?るう様!何かあったんですか!?」
ナミの言葉に慌てて廊下にいたルイも部屋へ飛び込んでしまったのですが、るうは困ったようにへにゃりと眉を下げると、ナミに向かって両手をひろげました。
「なみ、さん。べっどから、おりれない、です。だっこ、してほしい、です。」
るうは恥ずかしそうにもじもじしながら、大人なのに降りれないなんて情けないと泣きたくなりましたが、ナミはパアアァっと表情を輝かせて頬を染めてるうに駆け寄ります。
「まぁっ。まぁまぁっ。お安い御用ですわっ。そうですわよね。このベッドはるう様には大き過ぎでしたわね。」
ナミは母性本能全開でるうを抱き上げると背中をトントンと軽く叩き、そのまま片腕にるうをだっこすると、片手で昨日用意していた洋服を出しながら扉付近に立つルイを見ました。
「ルイさん。るう様は今から着替えますのでお部屋の外で待機願えますか?」
「えっ。あっ!はいっ。すみません!」
ルイは慌てた様子で扉を勢いよく閉めてしまいましたが、ナミは気にする事なくるうを降ろすとにっこりと微笑んで選んであった2着のドレスをるうの前に差し出しました。
「るう様。こちらの薄オレンジのドレスと、こちらの薄ピンク、どちらがよろしいですか?私はやはり肌の白いるう様にはピンクが映えると思うのですが。」
「は、はい。わたし、も。ぴんく、すき、です。」
るうの返答にナミは嬉しそうに頷いてオレンジの洋服を手早く除けると、るうを着替えさせて髪を結い、ドレスの色より少し濃い、るうの瞳の色に近いリボンで飾りました。
「さぁ、るう様。喉が渇いておられたのでしたね。朝食も出来ておりますので1階の食堂へ参りましょう。出発の時間までごゆっくり召し上がってくださいね。」
ナミはピンクのドレスに着飾ったるうを愛でながら抱き上げると、扉前で待機していたルイを従えて食堂に向かったのでした。