楽しい食事会。
楽しいお食事会の始まりと同時に、目の前の大量に盛られた料理にキラキラとした瞳で釘付けになっていたレンとランにカイがどうぞと促すと、飛び込む勢いでがっつき始めました。
るうはその勢いに目を白黒させながらも、幸せそうに時々『んーっっっ!』とほっぺを押さえる双子たちを見て、幸せな気持ちになりました。
ナミはニコニコと微笑ましそうに双子のパタパタと動くしっぽに目を向けながらも、るう専用に作った小さなフォークを手渡して、その後小さなお皿にるうの好むリンゴや煮込んだ野菜などを小さく切り分けていきますが、密かにお肉を置くことも忘れません。
今のナミの密かな熱意は、いかに少食でお肉もあまり食べてくれないるうに、少しでも多くのお肉を食べさせられるかということに向いているのでした。
それなのに、先ほどからるうの為に切り分けて小さくしているお肉だけが、ひょいひょいとお皿から消えていき、そのお肉の欠片はレンの口に飛び込んでいくので、ナミは負けるものかとせっせとお肉を切り続けています。
「レンったら!それはるうのお肉だよっ。返しなさいー!」
「だってるう、皿に入れても食わないじゃんっ。いいんだよー!」
「あ、あの。い、いいん、です。たべて、ください。」
るうはレンがぷくぅっとほっぺを膨らませてしまったことに慌てながら、なでなでと自分よりも大きなレンの頭の上に手を伸ばして撫でました。
「耳はだめだぞっ。くすぐったい。へへっ。でも久しぶりに頭撫でられた!気持ちいーなぁ。」
「あーっ。いいなぁ。でもレン。レンはるうの頭撫でられる側じゃなくて、撫でてあげないとでしょ。」
何気にスリスリと頭を下げてるうの手に擦り寄ってきたレンに、るうはキラキラと嬉しそうな表情でさっきより遠慮なくなでなでしましたが、るうの小さな手は次の瞬間にはリクに掴まれて戻されてしまいました。
「るう。今はちゃんと食事を取れ。ただでさえ少食なんだからな。ここの宿では野菜と肉の煮物がうまいらしい。ほら、ちゃんとフォーク持て。」
「は、はい。・・・・っ。お、いちい。です。」
「るう。お・い・し・い・ですよ。」
「お、いし、い。です。」
リクにフォークを渡され、じゃがいもぽい野菜とニンジンらしきものと何かの鳥のお肉を煮込んだ料理をるうはフォークで小さく切って口に入れると、ふにゃりと幸せそうに頷いて美味しいと言いましたが、またもや噛んでしまいカイにニコニコ和まれながらも訂正されました。
「はい。よく言えましたね。えらいえらい。・・・何やら騒がしいですね。」
カイはいい子いい子とるうの頭を撫でると、階段近くの席に視線を向けました。
るうはもきゅもきゅとニンジンもどきの甘味に幸せを感じながらフォークを口に運んでいましたが、その時突然バルが大きな声で叫んだのです。
「っっ!!そんなわけないでしょうっっ!るう様は俺が今まで出会って来た誰よりも可愛らしい方ですよ!・・・・は。」
「っっ!?」
フォークを口に押し込んだままの状態で驚いたるうは、口に入っていたニンジンもどきをゴクリと飲み込むと、バルの言葉を何度も頭の中でリプレイすることになり、目の前で可愛いと言われたことに恥ずかしくなって固まってしまいました。
静まり返ってしまった食堂内で、るうは自分の顔が赤くなっいることに気づいていましたが、少し離れた階段近くの席で、立ち上がったまま同じく顔を真っ赤にしてうろたえているバルの様子を見て、可笑しくなってしまいます。
「ぷ・・・。ふふ。ばる、さん。ありがと、ござい、ます。」
「っっ!?は、はいっ。どういたしまして・・・?」
ほっぺをピンクに染め、涙を浮かべて笑顔になったるうを見て、リクやカイ、騎士たちだけでなく、招かれたレンとランもキラキラと輝く眩しいくらいの笑顔に見惚れてしまったのでした。
アルがバルをからかっていた間の出来事でした(笑)