籠の中で。
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「ほわぁ~……。」
るうはポカンと口を開けて大きな大きな籠を見上げていました。
以前るうが2度ほど乗ったことのある籠は車で言えば普通車くらいの人数が乗れる大きさだったのですが、今るうの目の前にある籠は2階建てバスを横にも縦にも3台くらい繋げたくらいの大きさがありました。
更にその前後左右には、マイクロバス程の大きさの籠が取り囲むようにして停まっています。
いよいよ出発という時になってリクにだっこされたるうは、その籠の大きさに驚いていました。
「籠がそんなに珍しいのか?以前にも乗った事があっただろう?」
「まえの、かごより、おっきい、でしゅ、です。」
リクは喉の奥でクツクツと笑うと、るうの背中を片手でトントンと撫でてから、一番大きな籠に乗り込みました。
リクに続いて、カイ、アル、ナミ、そして護衛の騎士のログ、ルイ、バルが乗り込み、周りの籠には王都までの護衛を控えた騎士たちも乗り込んで行きます。
総勢50人くらいが王都へ同行することになっているのですが、その人数の多さはこの世界に生まれてから初めてのるうは、こんなにたくさん護衛がいるということは相当危険な旅なのかなと不安になっていました。
るうは、このアリエスという世界に生まれてから、神殿、屋敷、騎士団しか行ったことがない為、王都へ行くということに少し観光気分でいましたが、周りの人たちが自分の為に動いてくれていることに恐縮してしまいました。
生後1ヶ月ほどのるうにとって、この世界はまだまだ知らないことだらけですから、ルナーでなくても護られる存在だということには変わりないのですが、るう自身、精神面は大人に近い思考を持っていることで、どういう心持ちでいていいのか分かりませんでした。
リクの腕の中にしっかりと横抱きにだっこされて座っていたるうは、期待と不安が入り混じる気持ちがほんの少しだけ薄れるような気がして、リクの胸に擦り寄ります。
それを見ていた騎士たちやカイ、ナミ、アルは微笑ましい気持ちになり、るうの様子を見守っていました。
リクは自分の胸でほっとした顔をしてスリスリと擦り寄ってくるるうが可愛くて、その表情は穏やかなものになっています。
「さあ。出発だ。るう、大丈夫だ。ただ生誕祭を終えてこのメンバーで帰ってくる。ただそれだけだ。」
「はい。みんなで、かえって、くる、です。」
トントンと背中をあやすように撫でられながら、るうは小さく頷きます。
るうはそんな暖かい大きなリクの手の体温を感じながら、隣りにいるナミへと視線を向けると、ナミもふわりと柔らかな微笑みを向けて、るうの前髪を優しく撫でました。
「大丈夫です。私は、いつでもるう様の傍に控えておりますから安心してくださいね。」
「なみ、さん。ありがと、です。だいすき、です。」
るうの言葉にナミは破顔すると、リクごとるうを抱き締めました。
「きゃああああっ!!もうるう様ったら!なんてお可愛らしいのっ!?私もるう様が大好きですわっ。いいえ、そんな言葉では言い表せませんっ。愛していますわぁっ!!」
「にゃっ!?」
「うおっ。ナミっ!?くっそ、馬鹿力めっ!!離れないか!!」
出発前からテンションフルマックスのナミに驚きながらも、るうはお屋敷とこの籠の中、いつもと変わらない風景に安心しました。
そしてもう一度、大きな籠に一緒に乗り込んだメンバーを見渡して、この人たちが王都でも共にいてくれるのだと再認識したるうは、ふにゃりと華の咲いたように笑顔になりました。
「みなしゃ、みな、さん。よろしく、おねが、い、します。」