寝坊なの?否、違います。
いつも読んでくださってありがとうございます^^
まさかのお気に入り450件超え!(驚
うわぁ~・・・さぼり癖出さないように頑張らねばです。
カイはリクとサディから距離を取ると、だっこしていたるうを怖がらせないように腕の中に閉じ込めたまま小さく上下に高い高いします。
「よしよし。るーう。もう怖くありませんからね。サディ。あなたはそこの距離よりこちらには近寄らないでください。るうが怖がっています。」
「えー・・・。なんで怖いのかな。僕はお花には、あ、お花っていうのはこの世界の全ての女の子のことなんだけどね。その中でも特に可愛い系のお花には、とーっても優しいんだよ?」
「もうお前。今すぐ王都へ帰れ。」
るうはヒリヒリと痛むおでこをそのままに、サディの言っている言葉を理解しようとしましたが、理解不能と思考が訴えてきたために、カイの首にきゅうっと抱きついて目をそらしました。
「るう様。昼食もとられたことですから、お部屋に戻られてはいかがですか?ね?」
「ああ。そうですね。るう。おなかいっぱい食べましたか?」
「は、はい。ぽんぽこりん、です。」
近くで様子を見ていたメイド長が心配そうに声をかけると、るうの変わりにカイが頷きます。
るうの空腹が満たされたのなら、自室に戻ってサディから距離を取らせ、アルが来た時にはるうの部屋で治療してもらえばいいかと考えたカイは、メイド長を従えて歩き出しました。
取り残されたリクは、面倒事を押し付けられたことに気づいて苦い顔をしましたが、仕方がないと諦めてサディと向き直ります。
「僕が怖がられた・・・そんな、まさか。」
少なからずるうの態度にショックを受けてしまったサディはボソボソと独り言を言いながら頭を抱えていました。
「サディ。るうはルナーだ。神の娘だ。お前の尺で計るなど出来ない相手。諦めろ。」
「むー・・・。それにしても、ルナー様っていうのは成体で生まれてくるものじゃなかったの?どうしてあんな小さな幼子なのさ。いや、可愛いよ?可愛いけどさ。それに、今は昼だよ。今頃朝食だなんて、遅くに起きたんでしょ?我侭な子供は僕苦手だなぁ。」
サディは自分に懐かなかった幼子に、拗ねている様子ですが、リクはため息を吐きました。
ですが、サディの質問に、『るうは成体だ』と答えてしまうのは、るうの身が危なくなりはしないだろうかという不安を感じたリクは、そこはぼかしておくことにしたようです。
「我侭なのはお前だ。幼子のまま生まれてきたルナーだが、そこは神のみぞ知るところだろう。それにるうの体は見た通り小さい。一度に栄養の摂取が不可能なためにああして日に何度か食事を採ることになっているんだ。決して寝坊やら我侭の類のものではない。」
サディは『ふーん』と、なんとなく納得したようですが、それでもまだ言葉を交わせなかったるうとの接触は諦めてなさそうな雰囲気です。
「それにしても、リクもカイもそんなキャラだっけ?ルナー様が転んだだけで部屋を飛び出して行っちゃうなんてね。驚いたよ。特にカイのあんな需要のない笑顔、僕初めて見ちゃった。」
「るうは特別だ。ルナーとしてだけじゃなく、俺たちにとってかけがえのないものだ。」
「へぇ。んじゃ、その君たちの『るう』がここを離れたいって言ったらどうしちゃうの?」
「・・・どういう意味だ?」
リクを眉間に皺を寄せてサディを睨みますが、そんなことはお構いなしにサディはにっこりと笑いました。
「知ってるでしょ?ルナー様はこの世界にとって唯1人の存在。世界の民を幸せにする義務がある。」
「るう自身が幸せだと感じなければそんなもの叶わぬ夢に成り果てる。」
リクとサディは暫くの間、お互い無言で見つめあったのでした。