アルのツボ?
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るうは眠っていたことに困惑しながらも、キョロキョロと周りを見渡すと、コテリと首を傾げました。
そしてニコニコと微笑んでいるアルを見上げた後、その後ろにいる見知らぬ人物にびくりとしてアルにしがみつきます。
「あ、あるさん。そのひとは・・・?」
「え?ああ。騎士団の2番隊の隊長をしているジルくんです。僕がここにいるのは、この騎士団の医師だからですよ。るうを連れてきたのはジルくんなんですが、るうはどうしてその姿で庭園にいたのですか?」
るうはアルの腕ごしに、こっそりとジルを見ると、アルの後ろで微妙そうな表情で立っているジルは、るうとばっちり視線が合ってしまいました。
「あー・・・。アルさんや。その幼子はどこの子だ?」
「ジルくん。今、僕はるうに質問しているんです。少し待っていてもらえませんか?」
アルはにっこりと、るうに向けていた笑顔とは違う笑顔でジルに言うと、ジルは無言で苦笑いしました。
「うー・・・?えと。おはな、みにいった、です。」
「1人でですか?それに夜着のままではないですか。どうしてです?」
るうは起きたてでまだ回転しない頭で、夜明け前のことを振り返ってみました。
「え・・・と。おきたら、おはな、みたくて。でも、ひとりで、おきがえ、できなくて。そのまま・・・。」
「それで歩き疲れて裸足のまま眠ってしまったというわけですか?」
コクコクと頷いたるうに、アルは眉を下げて困った顔になり、るうの頭を撫でました。
「いいですか?るう。あなたはとても幼い。1人で出歩くだけでも危ないのに、夜着のまま、しかも無防備に眠ってしまえば危険に巻き込まれる危険もあったんですよ?見つけたのが騎士団で幸いでしたが。あまり僕を心配させないでください。」
「ご、ごめ、なさい。」
じわりと、はちみつ色の瞳が潤むと、アルは慌てて言葉を付け足します。
「僕は怒っているんじゃないんです。るう。あなたのことをとても心配したんですよ。だからほら、もう怖くないでしょう?」
そう言ってアルは、初めて出会った時のようにるうの脇の下に手を入れると、ふわりと抱き上げてたかいたかいをします。
るうはまだ瞳に涙の膜を張りながらも、アルの気遣いにほっこりして、ふにゃりと笑いました。
そしてアルは、るうを片腕にのせてだっこしてから、2番隊隊長のジルに向き直ると、今までその状況をぽかんと見ていたジルは、ハッと我に返ります。
「ジルくん。紹介します。この子はるうといいまして、まあ、察しているとは思いますが竜族の子ではありません。そのうち明らかになるとは思いますが、丁重に接してあげてくださいね。くれぐれも、泣かせたり、怖がらせたり、ましてや傷つけることがないようにお願いします。」
「へ?あ、ああ。承知した。俺はジル。騎士団所属で2番隊の隊長を任されている。よろしく頼む。」
ジルはるうに視線を向けてほんの少し表情を和らげました。
るうはジルをじっと見つめてから、少しずつ視線を上にずらしていき、その赤茶色のツンツンした頭、いえ、その頭にくっついている耳を見ました。
気のせいか、るうの瞳がキラキラと輝いている気がしたアルは、るうの視線を追ってから、そういえば自分も出会った瞬間にまず耳を見られていたなと思い出して、ふふっと笑いました。
「ジルくん。もう少しこちらへ。」
「?」
ジルはアルに、傍までくるように言われると、不思議に思いながらも近づきます。
真正面までジルが来たことを確認したアルは、るうを抱く腕を少しだけ持ち上げてジルの腕にるうを抱き渡しました。
それに驚いたのはるうだけではなく、ジルも夜色の瞳を大きく見開いて固まります。
「ほら、るう。ジルくんは何の種族か分かりますか?当ててみてください。」
「ふぇ?うー・・・。」
突然のアルの質問に少し驚いたるうでしたが、逞しい腕の中で、いまだに固まっているジルの頭の上を見上げて考えました。
「・・・・わん、ちゃん?」
「っっ!?」
「・・・ぷっ。あははははっ。」
犬の獣人と勘違いしたるうに『わんちゃん』と言われ、犬扱いされたジルは言葉が出てこず、その反応を見たアルは、とうとう噴出して爆笑してしまったのでした。
普段穏やかな『微笑み』しか印象ない男の人が、少年のように軽やかな笑い声をあげてくれた時のギャップは破壊力抜群です(しみじみ