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ちびっこは神様の愛し子。  作者: 瑠璃夢
【第4章】消えたルナー。
18/84

勘違いした男。

いつも読んでくださりありがとうございます^^





次の日の朝、るうはまだ外が白んでいるくらいの早い時間に目が覚めました。


昨日はカイとリクから、ルナーとしてる重要な話を聞いたるうは、頭の中が迷子状態に(おちい)ってしまい、早い時間に就寝したのです。




「まだ・・・くらい・・・。」




ぽつりと呟いたるうは、ぽやっとした頭で、まだ自分が混乱していて心の整理が出来ていないことに、小さくため息を漏らしました。




そしてふと思いつきます。


昨日カイに連れて行ってもらった庭園で、あの強く美しい花たちを見れば、心の整理ができるかもしれないと、理由はそれだけではなくて、朝日に照らされて朝露が輝くあの庭園を見てみたいと思いました。




大きな寝台から滑り降りたるうは、ぺたぺたと隣りの部屋へ歩いて、そこからぺたんこの(かかと)のない華奢(きゃしゃ)な靴を取り出して履きます。




その部屋はるうの部屋とは別に用意されたるうのクローゼットになっています。


大きな部屋まるごと使ったその様は、どこかの高級なブティックのようになっていました。




ただ、ドレスの着かたがいまいち分からなかったるうは、自分の体を見下ろして、昨日大急ぎで作ってもらったフリフリのナイトドレスを見ました。



薄いピンク色の上質な薄い布で作られたナイトドレスは日本だったら普通に春物のワンピースにも見えなくはない可愛らしいデザインでしたから、るうはドレスに着替えるのを諦めて、ナミが起こしにくる前に戻ってくればいいと判断して大きな扉を押し開けたのでした。




****




はぁはぁ・・・。




るうは何とか庭園まで辿り着きましたが、少し、ほんの少しだけ後悔していました。


カイにだっこされて連れて来てもらった時には10分くらいに感じた距離でしたが、大きな屋敷から外に出るだけでも10分かかり、そしてこの庭園にたどり着くまでにさらに30分以上かかったのです。




屋敷の敷地内だというのにかかり過ぎた時間に、こんなことなら先にブーツを作ってもらえばよかったと思いました。




踵がない靴とはいえ、華奢な作りのそれは、履きなれないのも相まって、るうの肌は赤く擦り切れています。




「う・・・いたい・・・。ぬいでも、いいよね?」




独り言のように周りをキョロキョロと見渡したるうは、そろりと靴を脱いでお花畑に裸足になりました。


もうすっかり朝日が昇り、朝露でキラキラと(きらめ)く花たちを目を細めて見ると、濡れてしまうことを気にしながらも近くにあった木の根元に腰を下ろして近くに咲いている花を指で撫でます。




「るなー・・・。わたし、しあわせ、なれるの、かな?だって、みんなの、しあわせ、わた・・し・・・に、かか・・って・・・。」




るうは言葉に出すことで頭を整理しようとしていたのですが、歩き疲れてしまったようで、睡魔(すいま)には(あらが)えず、そのまま夢の国に旅立っていったのでした。




***




るうが寝入ってしまってから数十分後。


小さな女の子が木の根元で夜着のまま眠っているのを見つけてしまった男がるうを見下ろす形で困惑していました。




「竜族の幼子か・・・?否、幼子の特徴である(うろこ)はないな・・・。可哀相に、怪我をしているな。まさか捨て子?いや、だがそれにしては着ている生地の質は・・・。まさか見回り中にこんなことになるとは、仕方ない。」




男は浅くため息をつくと、小さなるうを揺らさないようにゆっくりと抱き上げると歩き出しました。




「軽いな。それに肌もまだ柔らかい。こんな小さな幼子が1人で出歩くとは思えんな。何か事件に巻き込まれたのかもしれん。よしよし、すぐに親の元へ帰してやるからな。」




朝霜の中で眠ってしまっていたるうは冷えた体をその男の暖かな体温に無意識にすりよって安心したようにすやすやと寝息をたてて眠っています。


男は自らの導き出した『事件』の思考に沈んでいた思考をるうに移すと、幾分か寄せていた眉間の皺を薄くして口元を綻ばせました。




「冷えてしまってるな。すぐに暖かいところに連れて行ってやるから安心しろ。」




男は幸せそうに眠っているるうを起こさないように気をつけながらも、足早に男の務め先へ足を向けたのでした。





やっと新しい人が出てきました(汗

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