お説教タイム。
朝、・・・というよりも正午になりそうな時間に目が覚めたるうと、るうより少しだけ、ほんのすこーしだけ早く起きたリクとカイは、就寝前に漏らしていた通り、怒りマークを額に貼り付けたカイの姉でるうの世話係であるナミにブリザードのような笑顔を向けられていました。
もちろん怒りの対象にはるうは含まれていません。
「あなたたち・・・。それでもルナー様をお守りする竜騎士ですかっ!わたくしがるう様のお部屋を訪ねた時、護衛でもあるあなたたちの姿がどこにもないなんて、あってはならないことなのですよっ!もしこれがわたくしではなく、るう様によからぬ事をと思う輩だったらどうするおつもりだったのですっ!?」
「はは・・・。思っていた以上の剣幕ですね。念のため、るうの部屋には結界を施して休みましたのでそれは心配ありませんでしたよ。」
「そういうことを言っているのではありませんっ!もしものことがあってからでは遅いのですっ。もっともっともーーーっと、あなたがたは自覚を持つべきだと申しているのですよ!!」
カイがまあまあ落ち着いてとにこにことナミを宥めているのですが、リクはふぁ~・・っと大きくあくびをして聞き流しているようです。
オロオロとこの姉弟のやり取りを見ていたるうは、勢いよく頭を下げました。
「ごめんなさい・・・。わ、わたしが、よる、ねむれなくて、りくさんとかいさんは、わたしにつきあって、おきててくれた、です。」
「るう様っ。わたくしなんかのために頭を下げないでください。るう様はいいのですよ。昨日お生まれになったばかりなのですからお疲れだったのでしょう。無理もありませんわっ。」
「そうだな。では少し遅めの朝食にするか。」
「ええ。そうですね。」
「っ!あななたちは別ですっ。ちゃんと「いいのか?」・・・は?」
るうが謝ったことで慌ててリクとカイから意識を逸らしたのをいいことに、このままお流れ的な雰囲気になってしまい、ナミが再びお説教モードに入ろうとしたところでリクはにやりと笑いました。
「俺たちがこのまま、またお前の小言を聞く流れになれば、るうは益々落ち込むと思わないか?」
「あ、確かにそうですね。るうがとてもお優しいですから、自分の責任だと思いつめてしまいそうですね。」
「・・・っ。そ、それはっ。・・・はぁ。分かりました。ですが、今後はこのようなことがないよう、気をつけてください。るう様と違って私たち竜族は、1日2日寝ずとも体調に影響しないのですから。」
呆れながらもナミは朝食の準備を始めました。
るうはるうでオロオロしていた心を何とか深呼吸で落ち着けて、大きな木で出来た椅子に苦闘しながらもよじ登り席につきました。
「るうが大人だとしたら、もう大きくならないんだろう?今後生活していくのにこの家具ではるうにでかすぎるな。」
「え?ああ、確かに・・・。特注で取り急ぎ、るうの部屋だけでも急いで作り直させましょう。」
「ふぇ?あの、わたし、ずっとここで、すむですか?」
リクとカイの言葉に疑問を抱いて質問したるうですが、るうの言葉にリクとカイは一瞬固まった後、突然慌てたようにるうに駆け寄りました。
るうは驚いて目を見開くと、あわあわと2人へと交互に視線を彷徨わせます。
何かまずいことでも言ってしまったのかと・・・。
「まさか出て行こうと思っているのか!?」
「るう。私たちに至らないところがあるのでしたら、はっきりと言ってください。るうが居たくない理由を聞かせていただけませんか?」
るうはただ、右も左も分からない自分がこれからどう過ごしていくのか、何かルナーとしてしなければいけないのか、分からないなりの質問だったのですが、どうやら2人はそうは取らなかったみたいです。
美形2人の慌てた様子は、るうにとっては心臓に悪く、心の中で思わずにはいられないのでした。
どうしてこうなった!?と・・・。




