好きになってもいいですか?
徳山が帰った後の、灯と蒼人。
二人とも見つめあったままだった。
ようやく蒼人が口を開く。
「灯ちゃん、さっきの言葉・・・」
「恥ずかしいです。」
と言いながら、俯いてしまった灯。
「灯ちゃん、ありがとう。嬉しかった。・・・あれは、灯ちゃんの本心として、受け取っていいの?」
その言葉に、顔を蒼人に向け頷く灯。
「蒼人さん・・・」
そこで、はっとする蒼人。まだ、道端だった事に気づく。
「灯ちゃん、場所を変えて話ししようか?」
そういって、蒼人は灯の手を握ったまま慣れた道を歩く。
しばらくしてようやく灯は、口を開く。
「・・・蒼人さん、どこに行くんでしょうか?」
小さい声で聞いてくる灯に、満面の笑顔を向ける。
「それはもちろん、他の誰にも聞かせたくないから、自分の城に決まってるでしょ?」
その言葉を伝えた時には、すでに蒼人のマンションに着いていた。
鍵を開け、電気を付け灯に入るように促す。
灯は、随分戸惑っていたが
「今日は、なにもしないから安心して。」
の一言に背中を押されて、蒼人の部屋に上がることにした。
二人で座ったソファー。目の前には、いい香りが立ち上るコーヒー。
灯に顔を向け、先ほどの言葉を繰り返す。
「あれは、灯ちゃんの本心として、受け取っていいの?」
「・・・はい。ずっと思っていました。私は蒼人さんを好きになっていいのかな?と。
私は、人を好きになってはいけないんじゃないかと思っていたんです。
でも、蒼人さんに出会って。
会うほどに、なぜか蒼人さんがさらに好きになっていって・・・。
迷惑かもしれないと思いながらも、気持ちは止められなくなっていました。
・・・こんな私でも、蒼人さん、あなたを好きになっていいですか?
好きになる資格はありますか?」
その言葉に、蒼人は灯を抱きしめる。
「ありがとう。灯ちゃん。もちろん、好きになっていいよ。」
そして、体を離して灯を見つめる。
「これからも、ずっと好きでいて。おれも、これからもずっと好きでいる。」
そいうって、そっと灯の唇に口づけを落とした。
「・・・灯ちゃん、俺の告白も聞いてくれる?」
そうって、話し始めた蒼人の告白。
「トーヤのことで、俺たちは出会ったよね?なんか、不思議なんだけど俺は最初から灯ちゃんが、特別な存在だったんだ。
なんかね、昔から知っているような。懐かしい魂にであったような。
トーヤの事が、解決した後もトーヤの事にかこつけて灯ちゃんと会いたくて、美華さんのところに通っていたんだ。
でも、すぐに美華さんはお見通しだったよ。
『灯ちゃんが、目的ね』なんて、言われてしまって。
なかなか会話にはならなかったけど、俺は灯ちゃんに会えるだけで、一緒の空間にいるだけでも幸せだったんだ。
灯ちゃんが、悲しみの色を持っているとは、すぐに分かった。
でも、その悲しみを一緒に乗り越えてみたいと思った。・・・こんな感情、自分の中にあるとは思わなかった。
そんな毎日を送っているうちに、美華さんから提案されたデート。
夢見心地で、灯ちゃんに会いに行ったよ。
あの時は、灯ちゃんの色んな表情が見れてこの上ない幸せに感じたんだ。
・・・だからね、俺は灯ちゃんよりも早く好きになってたんだ。
こんな俺だけど、ずっとそばにいてくれる?」
「はい。」
「おれも。灯ちゃんを好きになっていい?」
「はい。」
やっと、灯が人を好きになった瞬間。
灯の周りには、あ・の・精霊たちが盛大なお祝いをしてくれていた。
FIN




