犯人は一目ぼれ・・・。
しばらくお休みしておりました。
久々に投稿します。
あれから、密かに蒼人は灯をつけている犯人を見つけるために動いていた。
・・・とは、いっても蒼人には仕事があるためごく限られた時間になってしまうのだが。
そのために、灯をつけている犯人を見つけるにはかなりの日数を必要としてしまった。
気が付けば、灯に『誰かにつけられてると思う』と言われて1月半たっていた。
犯人の行動は毎回同じ。ならば、蒼人が先回りすることも可能なわけで・・・。
今日は、その犯人の行動を先回りしようと考えていた。
灯のバイトが終わる時間もいつもと同じ。
蒼人は、犯人の前に姿を現す。
陰に潜んでいる犯人に向けて、にこやかな笑顔を向けて・・・。
「目的は何?」
犯人と目を合わせた瞬間に投げかけた質問。
『え?!!』と驚いた表情の犯人。
「どうして、灯の後をつけるの?」
「君は誰?」
一つ一つ区切って、質問をする蒼人。
「僕の彼女を困らせないでよ。」
その言葉にますます目を大きく開き驚く犯人。
「灯は、僕の彼女なの。」
その言葉に力を込めて、伝える言葉。
「灯を好きになっちゃった??」
静かに流れていく時間。しばらくすると、犯人が口を開く。
「・・・、同じ大学に通っている徳山と言います。」
「この前、大学で見かけて一目ぼれしたんです。
やっと、名前も知ることができて・・・。
交際を申し込もうと思って。」
「そう。それで??」
蒼人の言葉が冷たくなる。
「付き合ってとなかなか言えずに、そのタイミングを見計らっていたんですが・・。」
「それで、ストーカーに??」
「それって、ストーカーでしょ?灯は、怯えていたよ。それにね、言っておくけど灯は俺のものなんだよ。」
頭を垂れる徳山。
そこへ、タイミングよく灯が蒼人目指して歩いてくる。
「蒼人さん!!」
「灯ちゃん、バイトは終わったの?お疲れ様。」
灯ににこやかな笑顔を見せる蒼人。
「終わりました。待っていてくれたんですか?」
灯も負けずと、にこやかな笑顔を蒼人に向ける。
その二人を見て徳山は、思う。
『自分の気持ちは届かない。二人の間には、自分の気持ちが入れる隙間もない』
徳山の気持ちは玉砕した。
その徳山の姿が目に入った灯。
「あれっ?蒼人さんこの方は?」
その一言に肩を震わせて笑う、蒼人。
「灯・・・。この人が灯ちゃんをつけていた犯人だよ。」
「犯人、見つけてくれたんですか?」
「時間が、掛かりすぎてしまったけどね。」
「ありがとうございました。・・・でも、なんで私の後なんかつけたんでしょう?」
「灯ちゃん・・・。無自覚って恐ろしいね。」
ぼそっとつぶやいた蒼人の言葉を、灯は拾っていた。
「無自覚?何のことでしょう?」
ため息を吐きながら、蒼人は伝える。
「灯ちゃんに、一目ぼれしたんだって。・・・でも、灯ちゃんには俺がいるでしょ?だから、その一目ぼれは、たった今ここで、玉砕したってことだよ。」
その一言を聞き、灯は徳山に向き合い勢いよく頭を下げる。
「ごめんなさい。私は蒼人さんしか考えられません。私の悲しみも、すべて包み込んでくれる蒼人さんの手を放すことはありません。」
まっすぐな灯の気持ち。それを聞いた徳山はたまったもんじゃない。
蒼人は、その言葉を聞き赤くなっている。
今すぐにでも、灯を抱き締めてしまいたくなるが、ここは徳山の前。
それも叶わず・・・。
そのかわりに灯の手をそっと握る。
「・・・というわけだから、もうストーカーは止めてね。それから、灯には俺という存在があること分かってくれた?」
「・・・はい・・・。」
しか言えない徳山であった。




