27.証明できる?その2
合コンに誘われて、凪に手を引かれて灯が行ってみるとそこにはかなりの人数でごった返していた。
しかも、男も女も・・・である。
その人数に圧倒されて、立ち尽くしていると凪に肩を叩かれる。
「灯、どうしたの?」
灯には、いままで人づきあいが全くない状況で過ごしてきたのにこの人数の多さに、引いてしまっていたのだ。
「・・・・す、すごい人だね・・・。」
ようやく我に返り、絞り出すように話すと凪にクスリと笑われる。
「なに、言ってるのよ?こんなことで驚いていちゃだめよ?
これから・・・なんだから。」
正直、灯はこの場を早く立ち去りたくて仕方がなかった。
「さあさぁ、灯はここに座って?」
と凪に言われるままにソファーに座る。
灯の目の前には、今回の幹事と紹介された江藤が座っていた。
「よく来てくれたね?僕たちは、今回灯ちゃんとお友達になりたくて集まったんだよ?
どうぞ、楽しんでいってね。」
笑顔で挨拶されるが、灯は戸惑うばかりだ。
やがて、時間になったのか乾杯の音頭がとられ乾杯をする。
最初は、遠巻きに灯を観察していた人もだんだんと灯に近づいてきて、少しでも灯に近づこうとしている状況が作られた。
灯の周りは、人口密度が高い。
灯はそっと、凪に視線で助けを求める。しかし、凪が助ける事もできなく・・・。
「いままで、佐山さんの事は気になっていたんだ。
でも、人を寄せ付けないオーラがあってさ・・。」
と1人が言えば
「そう、そう。なのに、最近雰囲気が柔らかくなったというか。」
「それで、話ができる機会を待っていたというわけ。」
「・・・はぁ。」
「何度も、話をするチャンスを窺っていたけど、河嶋さんに邪魔されてさ。」
と凪を睨む人たち。
「佐山さんてさ、なんというか立ち姿も綺麗で私たちの憧れなんだよね?
最初見たときから、気にはなっていたのよ?」
「・・・はぁ。」
「それが、最近ようやく私たちにも話せそうな雰囲気を纏ってきたから。」
「・・・でね。お友達になってくれない?」
「・・・と、友達???」
「どうしてそこで、疑問形なの?
友達になって欲しいのよ。」
「・・・はぁ・・・」
「で、自己紹介しようか?」
といって、さっさと自己紹介を始めた。そうすると、周りに居た人たちも
「俺も」
「私も」
と勝手に自己紹介を始めた。
そして、最後に
「佐山さんもね。」
と灯に求めてくる。
「・・・さ、佐山 灯です。」
とやっと、自分の名前を言うと、矢継ぎ早に質問が飛び交う。
「高校は、どこだったの?」
「兄弟は?」
「住まいは?」
「休日は?」
など、など・・・。
灯が、驚いて身動きを取れないでいるのを察した凪が、ここでようやく助け船をだした。
「出身校は、内緒!
灯は、ひっそりと暮らしていたから、同じクラスの子でも灯の事については、知らないことが多いわ。
それと、家族の事などについては灯と仲良くなればそのうち分かることでしょ?」
凪が、周りの人たちの顔を右に左に見回しながら言うと、みんなが頷く。
「確かに、そうだよな。(そうだよね。)」
「今日は、灯を紹介しただけ。
これから、友達になりたいという一歩進んだ関係を築くのはそれぞれお願いね。」
そういうと、凪は立ち上がる。
「灯、私は帰るけどどうする?」
「も、もちろん帰る!」
荷物を慌ててつかむと、凪の服を掴んで逃げるようにその場を去っていった。
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さて、残された人たちである。
「今日の佐山さん、いつもよりまた綺麗だったわ~。」
「ほんとだよな。あの調子じゃ今日で、名前を覚えてもらったとは思えないよな?」
「そうだな?」
「佐山さんに告白したかったけど、道のりが遠そう・・。」
「まぁまぁ、めげるなよ。ゆっくり頑張ろうぜ!」
「しかも、知り合いになるまでにも、時間がかかりそう。
それから、友達になってか・・・。
俺・・・、告白するまでにどのくらい頑張ればいいんだ・・・。」
そんな会話をしているのは、1人じゃ、2人の話じゃない。
まぁ、灯の知らない話だが・・・。
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こちらは合コンから、抜け出した灯と凪である。
「灯、これで分かった?灯は何かと注目されているのよ?
灯と友達になりたい人は、あんなにいるわけ。
あれでも、今日予定があって来れないと言って落ち込んでいる人がほかにもいるんだから。」
「・・・さっきでも、ざっと30人は居た気がするけど。
私が注目されている理由ってなんなの?」
「・・・・灯の鈍感!
灯が綺麗で、人に意見に左右されず自分の芯を持っているから憧れの的なのよ?
・・・知ってた?
今日集まった人たち、今まで灯と何かと接触を持っていた人たちよ?」
「・・・知らなかった・・」
「まぁ、これから気を付けるのね?
いろいろ近づいてくる人が増えるはずだから。」
「まずは、これで灯がどういう立場の人か証明できたでしょ?」
そういって、ニヤリと笑った凪が灯には怖かった。
これからの危険を体で感じたのかもしれない。




