21.ため息
長らく、お待たせしました。
体調が、元に戻りつつあります。
ようやく、アップできました。
灯は、蒼人に交際を申し込まれたのに拒否してしまったことに後悔していた。
どうして、素直に受け入れることができなかったのか?
思い出すたびに、出るものはため息ばかり・・・。
大学で講義を受けていても、講義の内容が入ってこない・・。
灯は、自分の事に困り果てていた。
“やっぱり、美華さんのところに行こうかな・・・?”
少しでも、心が軽くなりたくて行き付いた先は城山家の玄関だった。
インターフォンを押すと美華が出迎えてくれた。
「灯ちゃんどうしたの?」
「・・・・あ・・・・はい・・・・
・・・美華さんに相談があって・・・」
呆然としながら、やっと口からでた言葉はそれだけだった。
「さぁ!入って!入って!
こんなところで、ぼーっとしてないでよ。」
美華に中に促され、慌てて靴を脱ぐ灯。
靴が脱ぎ終わるのを見届けると、美華は灯の手を引っ張りリビングのソファーまで連れて行く。
美華に言われるままに、ソファーに腰を掛けると美華が灯の瞳をまっすぐに見つめる。
「連絡もなしにここに来るのは初めてよね?
・・・それに、ここまで落ち込んでいる灯ちゃんを見るのも初めてだわ。」
「・・・・そうですよね?・・・・
連絡もなしに来てしまってごめんなさい。気がついたら、ここに来ていて・・・。」
「・・・やだ!攻めているわけじゃないのよ?
灯ちゃんらしくない行動だったから、驚いたのよ?
でも、頼ってくれたのね?嬉しいわ。」
そういうと、美華はソファーから立ち上がり、自分の分と灯の分の紅茶を入れてまた、ソファーに座りなおした。
「灯ちゃん、紅茶飲んでみて?美味しいわよ。
それに・・・・。気分も落ち着くはずだから。」
笑顔の美華に促され、素直に紅茶を口に運ぶ。
「・・・・美味しいです・・・。」
紅茶を一口飲み、返事をする灯だが、知らず知らずのうちにため息をついていた。
「・・・・6度目!」
「えっ?!」
「ため息よ?気がつかなかった?
灯ちゃんがここに来てから、ついたため息の数。
ため息ばかりついていると・・・
幸せが逃げるわ。」
「・・・幸せ・・・はぁ~。」
「7回目ね!」
「ほんとですね?・・・気がつけばため息が・・・。」
美華は、そんな灯の姿を見てケラケラと声を立てて笑う。
「なぁにを、そんなに悩んでいるのよ?」
灯の瞳を覗き込む様に尋ねられる。
「・・・それが・・・。
この前、蒼人さんと食事に行ったんです。」
「あらぁ!」
手を叩いて喜んでいる美華。
その姿を見てしまっては、その後の言葉が続けられない。
「ごめんね。話を折ってしまって。
デートしたのね?」
「はぁ・・・そうなんです。」
「それで、それで??」
「・・はい。それで、お付き合いを申し込まれました。」
「もしかして、灯ちゃんそのことで悩んでるの?」
「はい・・・。そういう事なんです。」
「OKしたのよね?」
「・・・・・・・。」
俯いてしまっている灯を見て、美華は苦笑する。
「・・・灯ちゃんらしいと言ったらいいのかしら?
素直頷けなかったのよね?」
上下に首を動かし、返事をする灯。
「蒼人くんも、焦っていたのかしら?
付き合いを始めるには時間が必要なんだわ。
これから、どうなるの?
会うことは、なくなるの?」
「いえ!今後も関係は同じままでいようという話になりました。」
「じゃぁ、何も問題はないじゃない。
どこで悩んでいたの?」
「・・・あの・・・。
・・その・・・、好きって告白されたのは嬉しかったのに・・・。
素直になれなくて・・・。後悔ばかりしていました。」
「まずは、友達関係からゆっくりはじめて。
お互いに好きなんだから、今まで通りにしていけばいいのよ?
そして、灯ちゃんが自分に自信が持てるようになって付き合っていくのも大丈夫だと思える時が来たら付き合えばいいのよ?
焦ることはないのよ?
やっと、灯ちゃんは“愛される”ということが分かってきたところなんだから。
・・・やっと一歩を踏み出せるようになったところなんだから。
焦っちゃだめよ。」
そういって、美華に両手で抱きしめられなだめるように優しく背中を叩かれる。
灯は心の中が、ほんのりと温まっていくのを感じた。
「何も心配しないのよ?心配しちゃだめよ?
灯ちゃんが、愛情というものを素直に受け入れる事が出来たときに素直になれるはずだから。
もう少し、時間を掛けようね。」
その言葉に、ようやく笑顔を出せるようになった灯だった。




