14.心にいる人は・・・
誤字があったので、手直ししました。
翌日、大学に行くと凪は灯を見て驚く。
「……灯……」
言葉を失う凪だが、すぐに我に返る。
「灯、どうしたのよ?灯じゃないみたい…
でも、似合ってるよ?」
「……え~と、昨日美華さんの家に言っていろいろとあってこういう結果に…。」
その一言を言うのにも、灯は落ち着かない。目はキョロキョロと彷徨うばかり。
そんな灯を見て凪は言う。
「今日の講義って、午前中で終わりだものね?
そのあと、私に付き合ってもらうわよ!」
凪の強い瞳に灯は、何も言えずそのまま頷いた。
“確かに、凪にこういう風に言われるの分かっていたんだけど、予想は裏切らないっていうか…”
心の中で大きな大きなため息をつく灯であった。
講義が終わると、有無を言わさずに凪が灯の手を掴み校舎の外へ連れ出す。
「凪、どこへ行くの??」
聞いても、凪は笑うだけ。行き先を告げようとはしない。
大学近くの駅へ向かい、2人分の切符を買い凪に手渡す。灯はそれを受け取り自動改札を抜ける。凪の後ろをついていき、電車に揺られる。ぼーっと、車窓を眺めていると
「灯、次降りるよ?」
5駅目の駅で、下車する。また、凪の後ろをついていき自動改札を抜けるとまた、手を掴まれる。
「ここから歩いて。5分くらいよ?」
そして、5分後立ち止まったところは・・・凪の家だった。
「ここ、私の家。ママがご飯の用意して待ってる。」
そういうと、玄関扉を開ける。
「ママ、ただいま。」
玄関先に凪を迎えに来た、凪の母親は驚きの表情をする。
「お帰りなさい。・・・灯ちゃん・・・よね?なんか、前と会った時とイメージが違うから驚いちゃったわ。」
そういって、凪によく似た笑顔を向ける。
「どうぞ?ちょうど用意ができたところよ?凪、good!」
今度は、凪に笑顔を向ける。灯は凪に導かれリビングに案内された。
リビングのテーブルにクリームパスタとサラダがすでに用意されている。
椅子に座ると、母親が凪に笑う。
「メールで大体の時間予測できたから。」
そういえば、いつになくずっとスマホをいじっていた凪を思い出す。
“あれは、母親とメールをしていたのか?
……母親とメールするのか…これが、普通の親子の関係なんだろうか”
そのことに、驚きを隠せない灯であった。
昼食も終わり、一段落すると凪の部屋に誘われる。
凪はお盆にコーヒーと乗せると、階段を上り始める。部屋の扉を器用に開けると
「適当に座って?」
と言われる。部屋の中央に位置する低めのテーブルの端にちょこんと座る灯を見て、凪が笑い声をあげる。
「灯…緊張してる?」
「う・・・うん・・・。
他の人の家とか行ったことないから。初めての経験。」
「トーヤの件では、あちこち行ったじゃない?」
「うん・・・。あれは、1人じゃなかったし、それどころじゃなかったから。
なんというか、トーヤの事で頭がいっぱいだったから、余計なこと考えられなかった。」
部屋をぐるりと見渡す灯。
大きなダブルベット。本棚。メイクテーブル。奥には、ウォーキング・クローゼットだろうか?美華の家に会ったようなものが見える。
基調は、ピンクと黄色で、あまり甘すぎない色遣いだ。
「…そういえば、灯っていつも1人だったっていってたもんね?」
コーヒーを啜りながら灯を見つめる凪。
「灯、落ち着くようにコーヒーでも飲んで?
・・・でも、拓斗さんのようには美味しくないよ?素人の入れるコーヒーだけど、我慢して飲んで頂戴。」
その言葉に促され、1口コーヒーを飲みほっと息を吐く灯。
………が、少し落ち着いたと思ったら、凪の質問攻めに。
今度は、ため息がこぼれた灯であった。
美華の家に行って、みんなと遊んだこと。
突然灯の変身計画が始まったこと。
そして、美華と食事のはずが何故か蒼人とのデートになったこと。
昨日の事を、大まかに話すと凪は満足そうな笑顔を向ける。
「・・・で、蒼人さんとデートしたということね?」
「・・・う、うん。・・・まぁ。」
「蒼人さんは素敵だった?」
「うん。素敵だった。」
灯の脳裏には昨日の蒼人が。
凪の言葉に即答する灯だが、俯いて真っ赤な顔をして返事をしている。
「・・・で、結局灯はどうするの?」
「へ?どうするって?」
何を言われているか、全然わかっていない灯。
すでに、灯の心の中には樹生は居ない。心の中に居るのは蒼人だけだ。
「・・・だから、樹生くんと蒼人さんのどっちを選ぶの?まだ、樹生くんとは『お試し期間』の継続中でしょ?」
「あっ?そうだった・・・完全に樹生の事を忘れてた・・・」
呆れて、思わずため息をつく灯であったが。
灯の顔を真正面から見ると真面目な口調に変える。
「きちんとした方がいいと思うわよ?
・・・でも、美華さんの計画は成功よね?こんな綺麗な灯が見られたんだもの。
灯って、綺麗な顔立ちしていたんだね?!
これで、灯も『モテキ』到来になったかな?
今までの灯を、好きにな人たちには迷惑な話だよね?
さて、これからが見ものかも。」
ニヤニヤとした笑顔を見せる凪であった。




