9.心配
誤字訂正しました。
「灯は、それで樹生君とデートしたわけなんだ??」
今、灯は学校訪問を樹生としたことを凪に漏らしてしまい、嫌な状況に置かれている。
「あぁ、凪には知られたくなかったのにな。」
その言葉にじろりとした瞳で、見つめられる。
“可愛い顔が、そんな顔をすると怖い。
まだ、お化けのほうが可愛いもかも!”
そんなことを思っていると、凪から怒られる。
「灯、今変なこと考えていなかった?」
「まさか~!」
「最近の灯の表情!コロコロ変わるから、わかりやすくなったのよ?
以前は、表情が変わることが少なかったのにね?
……言ってること分かるかなぁ?」
そういうと、凪が灯に顔を近づける。
「ごまかしたって、ばれるってこと!」
驚きの眼差しをした灯に、凪は言葉を繋ぐ。
「…で、樹生君とデートしたんでしょ?」
「デートって、好きなもの同士に使う言葉じゃない?
私は、樹生と小学校の散策に言っただけだよ。」
「そこで、樹生君に何か言われなかったの?」
「??何かって?」
灯が首を傾げると、凪の呆れた声。
「付き合ってくれとか。好きだとかさ~。
愛の告白?」
ニヤリとしながら、話す凪に灯は背中に寒さを感じる。
「…見てたわけじゃないよね?」
「まさか!灯がデートするなんて聞いてなかったし。
もちろん、灯の通っていた小学校が分かるわけないじゃない?
灯は、教えてくれてないでしょ?」
「うん。そうだね?教えてないよね?」
「話を戻すけど、やっぱり告白されたんだ?!」
「あ~~!凪ったら。かなわないわ。
そう、告白されましたよ。でも、今は『お試し期間』だからね。
それに、私が樹生はまだ友達の域は脱していないから。
…そのことは、樹生にも伝えたよ。」
「樹生君は、なんて答えた?」
「お試し期間に、私が樹生を好きになるように必ず変えてみせるって。
人の気持ちは、そんなに簡単に変わるものなのかな?」
「…どうだろうね?人それぞれだよ。」
「あっっ!そうだ、思い出した。
その時に、美華さんの名前をポロッとこぼしたんだよね。樹生の知らない仲間だと伝えたんだけど、その時になぜか蒼人さんの名前が樹生の口からでて、驚いたんだ。」
「どこをどう話して、蒼人さんの名前が出たの?」
「樹生の知らない大切な仲間がいるって話をしたところ。」
「ふ~ん、そうなんだ?
そのあと、ライバルがどうとかと言う話は出なかった?」
「…やっぱり、凪は見てたみたいだよ。
悪霊たちより怖いよ・・・。」
その言葉に本気で怒りたくなった凪だが、怒っている場合でない状況だということに気がつき、まずは自分の感情を押しとどめる。
「…で、ライバルがどうとかという話は出たんだ?」
「うん、そう。
ライバルがいるから焦ってしまうとか??」
また、灯が首を傾げる。
「どういう意味かな?私には、好きになる人はいないのにね。」
「灯の『恋』は、まだまだかぁ。
蒼人さんの名前がでたからついでに聞くけど、蒼人さんのことどう思ってる?
灯の位置づけは?
やっぱり樹生君と同じ友達?」
そこで、う~ん唸ってしまう灯。
「どうだろう?樹生と同じ場所に蒼人さんがいるわけじゃないんだよ。
蒼人さんは、樹生と同じ位置にはいない。
…どの場所と言われると困る・・・。」
「樹生君より下?上?」
「…上かな?
話してると面白い、楽しい。気持ちがふわっとあたたかくなる。
まるで、家族と一緒に居るみたいな?」
「灯・・・」
そこで、凪はうふふと笑い声を立てる。
「灯は、もう少し自分の事を知ったほうがいいみたいよ?」
「なんか、凪!意地悪な言い方だよ?」
「だって・・・。
気がつかない灯が悪い…。
そういう方面には、ほんとに鈍いんだから!」
一度口を閉じた凪だが、言葉を切って話し出す。
「精霊たちには、からかわれないのかしら?」
「私の精霊は、そんなことしないの。」
「まぁ、いいわ。灯の初デートの情報はもらったし、私は満足よ。
さぁ、今日はバイトの日だよ。そろそろ行こうか?」
凪の一言で、相変わらず大学のベンチで話し込んでいた二人は立ち上がる。
「あっ。でも、ちょっと待って。メールの返事忘れてた。先に返信だけさせて。」
そういうと、ずばやくメールの返信をする凪。その姿を灯は見つめていた。
灯には、内緒のメールの内容。相手は、蒼人へ送ってほしいと拓斗に頼むメールだった。
『拓斗さん、緊急です。
なんと、灯が同級生の樹生君とデートをしていました。
早速これを蒼人さんへ、お知らせしてください。
お試し期間で付き合いを始めています。樹生君より告白までされていますよ。』
すぐに、拓斗から返事が返ってくる。
『わかった。任務は実行するぞ。
気を付けて、来いよ』
『うん、ありがとう。これから向かいます。』
「灯、行こうか?」
2人で、バイト先に向けて歩き出す。
凪は思う。“あのメールをみて、蒼人さんは行動を起こすのかな?
でも、灯は気がつかないけど灯は蒼人さんを好きになってること
このことを伝えたら、蒼人さんは喜ぶだろうな”
1人、考えをめぐらしニヤつく凪に灯は怪訝な顔をしたのだった。




