ビターチョコチック
「君が好きだ」
言えるはずがない。伝えてはいけない。 なぜなら僕は、同性の親友に恋をしてしまったからだ。
君と出会ったのはいつだったろうか。いつの間にか僕達は大学生活を共に過ごすようになっていた。
僕にとっての君は僕の一番の理解者であり趣味の合う親友でもあった。でも、時を重ねるごとに君への想いは変わっていった。
気づけば君を目で追っていた。メールをする度喜んだ。君から貰った物はすべて僕の宝物になっていた。四六時中君のことを考えた。
苦しくて苦しくて、この気持ちを君に伝えようと思った。でも、伝えられなかった。君とのこれまでに築いてきた関係が壊れるのが怖かった。
君ともう勉強できない。君とご飯も食べれない。君と一緒に笑えない。君と会話できない。君にもう会えなくなる。
そんなの絶対嫌だ。
だから僕は伝えない。この想いは僕の心の奥の奥に、厳重に閉じ込めておくことにした。
ちょっぴり苦くて甘い痛みを感じながら、君は僕の親友のままで。何もなかったかのように、いつもの日々を送っている。