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異世界帰りの勇者ですが、現代日本で会社はじめました。ブラックな業界を物理でホワイトにします  作者: 黒崎隼人


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エピローグ「新しい地図」

 それから一年が経った。


「株式会社ブレイブ・ソリューション」は、世界的な複合企業へと成長していた。

 ダンジョン攻略だけでなく、魔石エネルギーの活用、新素材の開発、さらには異世界からの「迷い人」を保護・支援するNPO法人の設立など、その活動は多岐に渡っていた。


 新宿の新社屋ビル。その屋上庭園に、レオンと舞の姿があった。


「随分と大きくなったもんだな」


 レオンが眼下に広がる街を見下ろす。

 街のあちこちには、魔石エネルギーを利用したクリーンな街灯が灯り、ダンジョン由来の建材で作られたビルが並ぶ。

 かつて「厄災」と呼ばれたダンジョンは、今や人類の発展に欠かせない「資源」となり、そして何よりも、冒険者たちが安全に活躍できる「職場」となっていた。


「はい。でも、まだやりたいことは山積みですよ」


 舞がタブレットを操作しながら言う。


「来月はニューヨーク支部の視察、再来月は深海ダンジョンの調査プロジェクト。それに……」


「ストップ、ストップ。働きすぎは美容に悪いぞ」


 レオンが苦笑して舞の手からタブレットを取り上げた。


「たまには空でも見ようぜ」


「もう、社長ったら」


 二人は並んで手すりに寄りかかり、青空を見上げた。

 かつて、絶望の中で見上げた空。

 今は、無限の可能性が広がっているように見える。


「なぁ、舞」


「はい?」


「俺、この世界に来てよかったよ」


 レオンが静かにつぶやいた。


「最初は不幸な事故だと思った。でも、ここでお前に会えて、みんなと会えて、新しい物語を作れた。……俺は今、幸せだ」


「私もです。レオンさんと出会えて、私の人生は変わりました。……最高に、幸せな物語になりました」


 舞がそっとレオンの肩に頭を預ける。

 レオンは少し驚いたように体を強張らせたが、やがて優しく舞の肩を抱き寄せた。


 風が二人の髪を揺らす。

 その風は、どこか異世界の風の匂いを含んでいるような気がした。


「さあ、次はどんな冒険が待ってるかな」


「どこへでもお供しますよ、社長」


 二人は顔を見合わせ、笑った。

 その笑顔は、どんな宝石よりも輝いていた。


 元勇者と元社畜OL。

 二人の「ブレイブ・ソリューション」は、これからも続いていく。

 この世界にあるすべての理不尽を、勇気と愛で解決するために。

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