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 激情に任せてベルフォンドを魔弾マジック・バレットで抹殺した。


 少し冷静になって、しまった! と思う。


「い、今の、アンタが撃ったの……!?」


 見られた。

 完全に見られてしまった。

 自分が強いという事は、誰にも知られてはいけないのに。

 結構有名な冒険者であろう奴に知られてしまった。


 ぐぬぬ……

 こんな時、記憶を消す魔法でもあればいいんだが。

 そんな都合のいい物はなかった。

 まさか、殺すわけにもいかんし……


 どうしようか。


 全力で脅してみるか?


「おい、このことはほかの誰にも……」


 と目つきを凄ませたが、エミルには全く効果がなかった。俺の肩を掴んできて、


「ア、アンタもしかして一般人じゃなくて、冒険者!? しかも相当高位の!?」


 そう聞いてきた。


「違う。一般人だ」

「そうなの? じゃあ、なんでそんなに強いのよ!」

「何でと言われてもな」


 神様に、レベルを9999に上げられたとか言っても、分からないだろう。

 この世界にレベルという概念は、神しか知らないみたいだからな。


「とにかく俺が倒したということは、黙っていてくれ。あいつはお前が倒したことにしていい」

「な……そんなことできるわけないじゃない!」

「なぜだ。手柄になるぞ」

「人の手柄を横取りする気はないって言ってるの! あなた冒険者になりなさいよ!」

「ごめんだ。俺は自分が強いと他人に知られたくないんだ」

「な、何でよ」

「何ででもだ」


 理由を説明しても、この女には理解できまい。


「何か事情がありそうね。まあ、私は人の隠し事を言いふらすほど、性格は悪くないわ」


 嘘をついているような感じではない。というより、嘘を付けるほど、器用な性格はしていなさそうだと、先程の戦いを見え思った。


 多分本当に話す気はないのだろう。


 何事もなく綺麗に収まりそうだと、安心していたら、エミルが問題発言をしてきた。


「だけど、あなたの強さの秘密は調べさせてもらうわ」

「は?」


 調べてどうしようというのか。

 発言の意図が俺には掴めなかった。


「私の目標は……そう、世界最強‼︎」


 エミルは、拳を天に向かって突き出しながら、頭の悪そうな発言をしてきた。


「人間、魔物問わず全ての者の中で、最強になることよ! あいつを一撃で倒した、あなたは悔しいけど、私より強いわ。ならば、その強者、強さの秘訣を盗み、自分の者にして越えるまでよ‼︎」


 いや、秘訣って……

 そんなもんないし。転生して、チートを神様から貰っただけだし。


 最強に関する情熱がすごいのは理解したが、俺から盗めるものなんてない。


 何とか理解できるように説明して、納得させたいが、コミュ力の低い俺は上手い説明の仕方が、すぐ頭に浮かんでこなかった。


「私はエミル・トール! あなたは」

「ライズ・プライスだけど……」

「ではライズ! あなたの強さの秘密、盗んでやるから、覚悟してなさい!」


 と宣言して、走り去っていった。


 あれ? 暴いてやるとか言いながら、走っていったぞ? どういうことだ?


 まあ、どっかいくならその方がいいんだけど。


 だが、なんかめっちゃ嫌な予感がする。


 ……気のせいと信じて、釣りを再開しよう。


 その日、釣りを再開したが結局大物は釣ることはできず、ベルフォンドへの苛立ちを深めて、釣りをやめた。


 この日の夜は魚料理ではなく、肉料理を食べた。


 魚釣りばかりをやっている俺だが、魚だけ食べて生きているわけではない。


 たまに空に飛んできた鳥を撃ち落としあり、釣り餌の作りに近くの森に入ったついでに、猪や鹿などの動物を狩ったりして、さまざま食材を手に入れている。


 保存魔法があるので、腐ることはない。


 数ヶ月前に狩ったやつが、まだ残っていた。


 実は腐っていても食べられるんだがな。


 レベルが9999になっただけでなく、毒とか病気に対する耐性が、最大になっている。


 腐敗したものを食べても、不味いと思うだけで、体調面に異変は生じない。


 だからといって不味いものは不味いので、腐っているものは気付かず食べた時以外は、食べることなどない。


 食事を終えた後、俺は眠りについた。



 ○



 翌日。


 日差しを浴びて俺は目覚めた。


 いつも通り朝食を取り、釣りに行く準備を終えて、外に出る。


「あ?」


 俺の家の横に見慣れぬテントが設営してあった。


 こんなもの作った覚えはない。


 物凄く嫌な予感を感じて、俺はテントの中を見てみる。


 中には昨日出会った、エミル・トールがいた。


 問題は着替え中だったという点だ。

 半裸で、今まさにパンツを脱ごうとしているその時に、俺は突入してしまった。


 豊かな乳房と、先にあるピンクの突起をもろに見てしまう。


 女の体を見慣れていない俺は、凍りついたように動けなくなった。


 こ、こいつめちゃくちゃ胸大きいな。しかも、すげー美乳だ。


 エミルも状況が全く理解できていないようで、俺を見てピッタリと固まっている。


 数秒間、沈黙がその場を支配した。



 状況を理解した、エミルの顔が徐々に赤く染まっていき、


「へ、変態!!」


 と大声で叫んでビリビリと放電した。


 常人が食らったら、電気ショックで死にそうなくらいの、大規模な放電だったが、俺には一切ダメージは入らなかった。


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