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「中々良い攻撃だった。だが、私を倒すには力不足だがな」
そう言いながら、魔王はエミルに近寄る。
「ライズ・プライスという男を知っているか? 私はそいつを探している」
「ラ、ライズ? あなたライズを探しているの?」
「!? 知っているのか!」
ずっと無表情だった魔王は、目を見開いて驚く。
「い、いや知らないわ!」
「嘘を付け。誤魔化せると思っているのか?」
咄嗟に誤魔化すが、わざとらしすぎる表情だったので、誤魔化しきれない。
「ライズはどこにいる。居場所を教えろ」
「知ってどうするの?」
「決まっている。この手で八つ裂きにしてやる」
憎しみに溢れた目で魔王はそう言った。
「それは無理よ。あなたでも返り討ちにあうわ」
「そうならないために、私は力を付けて魔界を出たのだ」
魔王は剣をエミルの首に押し当てる。
「さあ……死にたくなければ、今すぐ居場所を言え!」
「……」
エミルは魔王を無言で睨みつける。
「メテオストライク!!」
「!!」
アリアが魔王の腹を飛び蹴りした。
凄まじい威力だった。魔王は数メートル後退する。
後ろに下がらせることは出来たが、それでも倒れてはいない。
「流石はアリア。良い蹴りだな」
「これでもそんなに効かないとはね」
アリアはがっかりしたような口調でいう。
(……す、すごい蹴りね……って、ちょっと待って。何で魔王がアリアの名前を知っているの? 流石ってことは昔から知っていた?)
魔王のセリフにエミルは違和感を感じた。
(というか、ライズのことも知っていたし……元々人間界にいたのかしら?)
エミルは魔王の言葉から仮説を立てた。
「ひとつ聞いていいかしら。なぜあなたは人間であるのにも関わらず、魔王などと呼ばれるようになりましたの?」
「え? に、人間!?」
アリアの言葉を聞き、エミルは驚愕する。
「長年魔物と戦っていると、戦ったら区別くらいは付きますわ。魔物化してほとんど魔物のような魔力になっているようですが、人間なのは間違いないですわね」
「ま、魔物化?」
アリアの言葉にエミルは混乱したような表情を浮かべる。
「魔物化すると通常は理性を失いますが、そうは見えない。元々凄まじい実力を持っているものなら、理性を失わずに済むとは言われております。なぜそこまで実力を持ったものが、魔界に行って魔王などと名乗るようになったのですか?」
「それを答える必要ないな」
魔王はアリアにそう返答した。
人間という部分は否定をしなかった。
「あなたが人間であるのなら、話し合いで解決することも可能であると思いますわ」
「話し合いか。私は最初からそのつもりだったが、手下を次々にやっていくのでな。話を聞くつもりがあるなら話そう」
「そ、そうだったんですか?」
「人探しをしている。ライズ・プライスという男だ。そいつを見つければ他の人間には用はない」
「聞いたことないですわね。どんな方ですか? もし、その方があなたに対して、何らかの罪を働いたのなら処罰しますわよ」
「お前らには無理だ。ライズは恐ろしく強い。私でないと倒せないだろう」
「わたくしに倒せない人間ですか……そうそういないと思いますがね」
魔王の話を聞き、アリアは首を傾げる。
「知らないのならお前には用はない。どこかに消えるが良い」
「わたくしには用はなくても、エミルさんにはあるようですが」
「この女はライズの居場所を知っているようだ」
「本当ですか? エミルさん」
エミルは頷く。
「知ってるけど言えないわね。あいつは良い奴だし、人に恨まれるようなことをする男じゃない」
ふらつきながらエミルは立ち上がる。
「居場所を伝えてアンタに負けるとも思わないけど、でも仲間を売るような真似は絶対にできないわ」
「愚かな。貴様がここで言おうが言うまいが、どうせそのうち見つかるのだ。言った方が身のためだぞ」
「愚かで結構よ。それにあなたがライズと会うことはないわ」
エミルは雷轟剣を強く握り、力を集中さえる。
「ここで私が斬るからよ!!」
全力で叫びながら、魔王に斬りかかった。
魔王は渾身の一振りを剣で受け止めた。
「く……」
力を使い果たし、エミルの意識は徐々に遠のいてく。
完全に失われる直前。
「待たせたな」
覚えのある男の声が聞こえてきた。
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