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【3月15日書籍発売】アラサー魔導士の辺境湖畔暮らし〜初級魔法で魔王を瞬殺してしまった俺は、無気力に引きこもりたい〜  作者: 未来人A
第四章 魔王降臨

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「……! この魔力!!」


 パークとの戦いを終えたエミルは、強力な魔力を感知していた。


(間違いない。この魔力は魔王……! 魔力を解放したということは、今から戦闘するということ……? となるとほかの冒険者が先に魔王のもとに到着したみたいね)


 魔力が魔王のものであるとエミルは感じ取っていた。


(早くいかないと!)


 エミルは急いで魔王が戦っている場所へ向かった。

 かなりのスピードで移動し、到着する。


「!!」


 到着すると魔王とアリアが対峙していた。

 後ろでハーナとシャープの二人がぐったりとした様子で倒れている。

 どちらも大怪我を負っているようだった。

 まだ立っているアリアも、怪我を負っており、苦しそうである。


 一方の魔王は涼しげな表情をしていた。

 まだまだ余裕そうである。


「新手か」


 鬱陶しそうな表情を浮かべながら、魔王はつぶやいた。


「来たのねエミルさん。一応言っておくけど、あなたを守りながら戦う余裕はありませんわよ」

「問題ないわ」


 エミルは剣をかまえる。


(この時のために、力は残していた……!)


 エミルは奥の手である雷轟化を使った。

 体が雷轟剣と一体化し、身体中から電気がほとばしる。

 目にも止まらぬスピードで、魔王に斬りかかる。

 その剣を手で受け止めた。


「!!」


 雷撃が魔王を襲うが、ダメージがあるようには見えない。


「ふん、小賢しい攻撃だ」


 魔王はエミルに向かって、蹴りを放つ。

 雷轟化したエミルは、超反応を見せ後ろに下がり何とか回避した。


(つ、強い……桁違い……強くなった自分が雷轟化を使えば、もしかしたら何とかなると思ったけど……レベルが違う!)


 エミルは雷撃をものともしない、魔王の姿を見て、そう悟った。


(いや……諦めてなるものか……私は最強になる女よ……)


 レベルの差は悟ったが、決して闘志は失っていなかった。

 剣を構える。


「わたくしも本気を出させてもらうわ」


 アリアがそう言いながら、頭に付けていたティアラを外し、それから着ていたドレスを脱いだ。

 ドレスの下には、ノースリーブの戦闘用の衣装を着ていた。

 スピードを重視した機能的なふくだ。

 ドレスのようなおしゃれさは全くない。


「魔力転換」


 アリアは自らの左拳と右拳を突き合わせ、そう唱えた。

 青いオーラが彼女の体を纏う。

 アリアが使ったのは、魔力を運動能力などの、体の機能に変換する魔法である。

 運動能力が上がるだけでなく、自己再生や肉体の強度も飛躍的に向上する。

 先ほどまで負っていた怪我が、どんどん治っていった。


「はっ!!」


 アリアは雄叫びをあげて、魔王に向かって殴りかかった。


闇壁ダーク・ガード


 魔王は黒い壁を作り、アリアの攻撃をガードした。


(防いだ……! 強力な防御魔法だけど……でも、防ぐ必要があるということ!)


 エミルはその様子を見てそう思った。

 先ほど雷撃がノーダメージだったので、凄まじい防御力を持っていることは間違いなかった。ただ、防御魔法を使うということは、決して無敵ではないということだった。


「巨雷槍……」


 エミルは剣を握っている右手に、力を集中させる。

 雷撃が集まって行く。握っていた剣は巨大な槍へと姿を変えていった。


(この一撃で仕留める!)


 アリアと魔王が戦闘をしている。

 エミルが力を集め攻撃しようとしているのは、察知しているようで、魔王はエミルの方にも警戒を向けていた。


「はぁあああ!!」


 アリアが渾身の力で殴りかかる。

 魔王は再び防壁を張るが、割れ、そのまま魔王に殴りかかった。

 魔王は咄嗟に腰に下げていた剣を抜いた。真っ黒い禍々しい剣である。

 その剣でアリアの拳を受け止めた。


 魔法で強化されたアリアの拳は、鋼のように硬いので、剣を殴っても切れることはない。

 普通なら剣をへし折るほどの威力ではあるが、魔王の剣は傷ひとつ付かず、アリアの拳を受け止めていた。


「やっと抜きましたわね」

「……ふん」


 魔王は吐き捨てるようにそう言った後、剣を振る。

 凄まじい力でアリアは吹き飛とばされた。


(いまだ!)


 ついに隙が出来たと思ったエミルは、巨雷槍を思い切り、魔王に突き刺した。


「はああああああ!!」

「!」


 渾身の雷撃が魔王に直撃する。

 巨雷槍を突き刺した後、自動的に雷轟化が解かれる。

 エミルは力を大きく消耗し、地面に膝をついた。


(あ、当たった……やったかしら?)


 魔王を見る。


「嘘……でしょ?」


 エミル最高の攻撃を受けてなお、魔王は平然とした様子で立っていた。

 表情も苦しそうではなく、相変わらず涼しげである。



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