41
「ライラとギルグゥもやられた!?」
「この短時間で!?」
2人の戦闘の結末を知った魔物たちは、ざわついていた。
「ギルグゥは死んだみたい。ライラは生死不明……だ。死んでない可能性も高いが、しばらく戦うのは難しいかもしれない」
「あいつら2人まで瞬殺されるということは、島に来ている連中は相当強いぞ……勝てるのか?」
魔物たちはざわついている。
「……ふん」
魔王は騒ぐ魔物たちを見て、少し不機嫌そうな表情を浮かべた。
「煩わしいな」
魔王は一言呟く。
その言葉で魔物たちが静まり返った。
恐怖で表情を青ざめさせている。
「黙らせてくるか」
立ちあがろうとする魔王。
「お、お待ちください」
魔王が立ち上がる前に、真横に控えていた魔物が静止した。焦ったような表情を浮かべている。
「ここは私パークとドルードが行かせていただきます」
「……」
発言したパークを魔王は冷ややかな目で見る。
「やれるのか?」
「は、はい!!」
「お、お任せください!!」
パークとドルードは魔王の言葉を聞き、焦ったような表情でそう言った。
「分かった。なら行け」
「「かしこまりました!!」」
二人はそう返事をしながら、急いで命令を遂行するため外に出た。
「あの二人が行くのか……」
「あいつらなら多分大丈夫だろう……魔王様の配下の中でも、実力はナンバー1とナンバー2だからな……」
二人の力量に対する評価はかなり高かったようだ。
「早くライズのやつを探しださねばならんのに……っち面倒だ」
魔王のイライラした様子を見て、魔物たちはガクガクと怯えていた…
○
「別の場所で戦闘があったみたいね……」
エミルは魔王の居場所を探しながら、戦闘が起こったのを感知していた。
「あっさり終わったみたいだけど……どっちが勝ったんだろう……冒険者側ならいいけど」
エミルは少し不安になりながらそう呟いた。
「……!」
上空に僅かな気配を察知し、エミルは咄嗟に上を見た。
何かが飛んでいる。
翼の生えた男である。
男は一直線に地面に降りてきて、着地した。
六枚の翼を持った男だ。額から一本の角が生えている。肌は赤色で目は真っ黒だ。ぱっと見で魔物とわかる見た目である。
他の魔物と同じく魔力は隠しているので、どのくらいの力を持っているのかはわからない。
しかし、エミルは、
(こいつ強いわね……)
直感でそう思っていた。
「俺の名は烈火のパーク。貴様は?」
「エミル・トールよ」
名乗られたのでエミルは咄嗟に返答をした。
「エミルか。一つ聞くがなぜ我々を退治している?」
「なぜって……そりゃ危険だからよ」
「我々は人間を滅ぼしたりしたり、殺しまくったりはしない。別に危険な存在ではない」
「でも1人の人間を狙ってんでしょ? だったら見逃すことは出来ないわね」
「たった1人だ。それを見逃すくらい容易いだろう」
「出来ない相談ね」
「愚かな」
パークは眉を顰める。
「貴様は魔王様の恐ろしさを知らん。人間の中ではちょっとはできるようだが、魔王様に絶対に勝てん。ここは穏便に済ませここから逃げるのだ。そうすれば無駄に戦う必要もなくなる」
「そんなに強いの魔王ってのは」
「圧倒的に強い。勝てるものなどいない」
パークはそう断言した。
「なら尚更引くわけにはいかないわね」
エミルは雷轟剣を構える。
「私はエミル・トール。最強になる女よ。強いからって引いてたら名が廃るわ」
「……最強になるか。本当に愚かだ」
パークは怒ったように眉間に皺を寄せる。
拳を力強く握りしめた。その拳から炎がともる。
「いいだろう。魔王様に会う前にこの私が殺してやる」
パークはそう言い放ち、燃え盛る拳を構えた。




