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しかし、これからどうするか。
エミルがこの島に来て戦っているようだし、やっぱり魔王を放置するのは不味いかもな。
俺を探しているようだし、話し合いをして大人しくするか、魔界に帰ってもらうか、場合によっては倒す必要があるだろう。
釣りはあとでするか。
魔王を探して歩き続けると、
「ぐ……」
女性のうめき声が聞こえてきた。
近くを探索してみる。
先ほどアリアに戦いを挑んで、瞬殺
されたライラが倒れていた。
ぐったりとしているが、まだ息はあるようだった。
怪我の具合も致命傷ではなさそうだが、しばらくは動けなさそうである。
「く、くそ……私は魔王様のために、もっと働かないといけないのに……」
かなり悔しそうな様子で、ライラはそう言った。
そんなに悪いやつではなさそうだな。
止めを刺すのは何だかかわいそうだし、放っておくか。
いや……
こいつは魔王の手下なら、場所を知っていそうだな。
この状態じゃまともに喋ってくれそうではないし、回復して聞き出してみるか?
だが、魔王に忠誠を誓っているみたいだし、脅しても話してはくれなそうだな……
それなら……
聞き出す方法を考えて、俺はライラに回復魔法をかけた。
「……!?」
怪我が治って、ライラは驚愕している。
倒れていたライラは急いで立ち上がった。
「あ、あなたがたは……私を治してくれたのですか!?」
目を見開いてライラはそう尋ねてきた。
俺は頷く。
「感謝です! しかし、あなたは人間……いえ、後ろの方は魔物ですか……」
ライラは俺と後ろにいるシーラを見て、そう言った。
シーラは力を隠しているし、見た目は人間にしか見えないのだが、魔物から見ると魔物と分かるみたいだ。
「なぜ私を助けたのですか?」
ライラの顔に僅かに警戒の色が浮かぶ。
「困っている者を助けるのは当然だ」
「しかし、人間にとって私は敵なはずです」
「ただの人間にとってはな。俺は見ての通り魔物と一緒に生きている。魔物は敵だとは思っていない」
「シーラとライズは仲良しなんだよ!」
後ろからシーラが抱きついてきた。
胸の感触が背中に当たる。
デカい。そして柔らかい。
背中に感覚を集中させたいところだったが、今はそれどころではない。
「まあ、打算もあるがな。お前の主人に会いたいんだ」
「な、ま、魔王様にですか? 会ってどうするおつもりで?」
「部下にしてほしいんだ。俺は人間嫌いでね。めちゃくちゃ強い魔物が出てきたから、そいつの下で働きたいと思ったのさ」
味方になりたいとお願いすれば、成功するのでは、と思って俺はそう言った。
ただ、これだけで警戒を解いて、魔王の元に案内すると言ってくる可能性はそんなに高くないと思っている。
普通なら疑ってくるはずだ。
よっぽど単純なやつじゃないと……
「何と!! 魔王様の部下に!! それならすぐに案内します。魔王様の素晴らしさは、人間の方にも分かるのですね!!」
ライラは目を輝かせてそう言った。
「い、良いのか?」
「はい!! 助けられてお礼でもありますから!!」
元気よくそう言った。
罠……ではなさそうだな。
そんなこと考えられるような奴には見えない。
まあ、仮に罠だとしても別に問題はないが。
「それでは早速行きましょう! そうだ、名前は?」
「ライズ・プライスだ」
「シーラだよ!」
「ライズさんとシーラさんですね! こっちです! 着いてきてください!」
ライラは走って魔王がいる場所へと案内し始めたので、俺たちは着いて行った。




