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名乗った後、最初にエミルが動き出した。
雷轟剣を振り下ろす。
ケルビンは後ろに下がり回避する。
雷撃が迸り、ケルビンに当たる。
「ぐあっ!!」
感電し、一瞬体が動かなくなる。
その隙をエミルは見逃さない。
首を狙って剣を振るう。
剣が首に当たる直前に、ケルビンは体の自由を取り戻した。
急いでしゃがんで回避する。
そのまま、ケルビンはエミルを蹴る。
強い蹴りを、エミルはモロに腹に喰らった。
中々強い蹴りだったが、エミルは特にダメージは受けない。
そのまま、ケルビンの足を掴み、雷撃を流した。
「ぐあああああ!!」
強力な電撃をくらい、叫び声を上げる。
しばらく電気を流し続け、倒したと思ったエミルは手を離した。
ケルビンはぐったりと地面に倒れる。
(やっぱり前よりかなり強くなってる。電撃の威力も上がってるし、防御力も上がってるわね。ライズのおかげなのかしら?)
自分が強くなっているのを、実戦をしてみて改めて時間した。理由に関しては、見当違いではあった。
「て、てめぇ……人間の分際で……」
ケルビンはフラフラと立ち上がる。
「あら、まだ息があったの。中々タフなのね」
立ち上がったケルビンを見ながら、余裕のある表情でエミルは言った。
「もう容赦しねぇぞ……殺してやる!!」
ケルビンが大声を出しながら、体中に力を込め始めた。
体が徐々に大きくなっていく。
しばらくすると、3mを超える、巨大な獣の姿になっていた。
その様子を見ても、エミルは余裕の態度を崩さない。
「ぶち壊してやる!!」
両手を振りかざし、エミルに向かって振り下ろした。
強力な攻撃だが、スピードは遅い。
エミルは後ろ下がり、あっさりと回避する。
ケルビンは周囲をめちゃくちゃに攻撃し、暴れまわる。
エミルは冷静に距離を取る。
雷轟剣に、雷撃を集める。
「雷斬!」
雷轟剣を一振りする。
凄まじい雷撃が、ケルビンに直撃する。
「ぐがあああああぁぁ!!」
苦痛で雄たけびを上げる。
大きな隙が出来る。
エミルは高くジャンプする。
空中からケルビンの首めがけて、斬りかかる。
重力の乗った強力な斬撃が、ケルビンの首に襲い掛かる。
彼の首は硬い皮膚で覆われているが、それをものともせず、雷轟剣はケルビンの首を斬り裂いた。
ケルビンの頭部がポトリと地面に落ちた。
それから大きな体が、ゆっくりと倒れ、地に伏せ、二度と動かなくなった。
エミルは魔物ケルビンとの戦いに勝利した。
(こいつはあまり強くなかったわね。力量的には恐らくBランク……)
今の強くなったエミルにとって、Bランクの魔物は楽勝で倒せる魔物だった。
(SSランクの魔物が単独ではなく手下を連れてきたのだったら、こいつ以上の魔物を連れてきてもおかしくないわね。魔王と称しているくらいだし……Aランクの魔物を複数連れていても不思議じゃない。Sランクの魔物もいるかも……あっさり倒せたけど油断は禁物ね)
冷静に現状を分析した。敵一体倒したところで、気を抜けるような状況ではない。
(まだ魔王は動いていない。そのうちにできるだけ敵の戦力をそぐ必要がありそうね)
油断せずエミルは捜索を続けることにした。




