21
海で遊ぶことになった。
遊んでいるうちに釣られないか心配だが……
めっちゃ珍しい魚だし、流石にちょっと遊んでるうちに釣られるってことはないか。
「でもお兄ちゃんみずぎ、持ってないんだったね! 作ってあげる!」
シーラがそう言って、能力を使用。
目の前にシーラが着ている水着を大きくしたような水着が作成されて、フワリと地面に落ちた。
「これ着て!」
「着れるか!!」
こんなの着て歩いてたら変態扱いされちまうぞ!?
「嫌なの……?」
寂しそうな表情をシーラは浮かべる。
「い、嫌というか……男と女で着る水着が違うんだ。俺は男だからああいう感じので頼む」
ビーチにいた男を指さしてそう言った。
「あんなのがいいの?」
「そうだ」
「ほとんど裸だよ?」
「男はそれでいいんだ」
「そーなんだ」
シーラは男の水着をよく見た後、能力を使って、水着を作成した。
マーブル模様の水着が完成した。
家とか建物だとめっちゃ変に感じるが、水着みたいに着るものなら、そんなに悪くは感じない。むしろオシャレな水着にも見える。
「ありがとう。俺も着替えてくるな」
「うん!」
俺は更衣室に向かって、水着に着替えてきた。
出ると俺より先に着替えていたエミルが、戻ってきていた。
ビキニ姿になっている。
豊かな胸。鍛えられ贅肉のないウエスト。女性らしいヒップ。
見事なスタイルと言いようしかなかった。
「ライズも結局海に入るのね。せっかく来たんだし、その方がいいわよ」
見とれていると、エミルがそう言って海に向かっていった。
俺は我に返る。
「お前、海に入っていいのか? ほかの客が感電しないか?」
「ずっと電気を発してるわけじゃないわよ! 私をなんだと思ってるのよ!」
エミルは怒る。でも、うっかり電気を発しそうな気がする。
考えすぎだろうか。
歩くたび、エミルの胸が揺れるのが見える。
思わずじっと見てしまう。
「海に行くの久しぶりね。ライズもそう?」
こっちを見て尋ねてきたので、瞬時に目の前を向く。
「たまに釣りに来るけど、泳ぐのは相当久しぶりだな」
異世界に転生してからは初だ。前世では何回か海水浴はしたが、それも子供の頃の話である。
海に到着。
エミルは早速海に入って泳ぎ始めた。
……そういえば俺は泳げないんだった。
前世ではかなづちだったし、転生してからは泳ぐ必要がそもそもなかった。魔法を使えば海の上を歩いたり、海中の中を自由に移動することだってできる。泳ぐ必要性が全くなかった。
海が綺麗だしダイビングでもしてみるかな。
そう思っていると、シーラが、
「あれたのしそー」
と言った。彼女の視線の先には、ぷかぷかと浮いている青色の小型のボートが。大きさは二人乗りくらい。
あれはスライムの肉を加工して出来たボートである。前世はビニール製のボートがあったが、見た目はそれに近い。
シーラは能力を使って、同じものを作った。
変な模様のボートが海にぷかぷかと浮かぶ。
「お兄ちゃんも乗る?」
「せっかくだし」
俺はボートに乗り込んだ。
ちょうど寝れる大きさだったので、仰向けに寝る。
その俺の上にシーラも寝る。
ぷかぷかと心地のいい波に揺られる。
正直かなり気持ちい。
「良い気持ちだねー」
「そうだな」
結構癒されるな。海に頻繁にいくのはめんどいし、湖でもたまにこういうボートに乗ってみるのもいいかもしれない。
しばらくリラックスしていると、誰かがボートを掴んだ。
「やっぱりアンタ達だったのね。このボート」
エミルだった。
「あ、お姉ちゃんだ!」
「シーラが作ったの?」
「うん!」
「本当に便利ねその能力」
感心したように言った。
「私も乗せてよ」
「それは無理だろ。二人が限界だぞ」
大きさ的には一人乗りようである。シーラは小さいから二人で乗れているが、流石にエミルも一緒には無理だ。
「大丈夫!」
シーラがそう言って、能力を使う。
すると、ボートが一瞬で大きくなり、二人乗り用になった。
「おお、これなら乗れるわね」
エミルはボートに上がって乗り込む。
そして、俺の隣に寝転んだ。
確かに二人乗り出来る大きさなのだが……それでも二人で乗るのは微妙に狭い。
俺の肩とエミルの肩が当たるくらいの広さである。
エミルの胸も結構近くにあって、何というか色々不味い状況である。
波が来てボートが大きく揺れる。
「ひゃっ」
エミルが体勢を崩した。エミルが俺の上に乗ってくる。
顔と顔が間近くで向き合う体勢になった。
俺の胸にエミルの大きな胸が当たる。
な、なん!?
し、幸せな感触が俺の胸に!?
「!?」
「なななな!?」
俺もエミルも混乱する。波は何回か来て、また揺れる。
エミルは体勢を崩さないよう、反射的に俺の肩にくっついた。
胸の密着感が増す。
や、やばい。こんな密着したら、股間が反応する!!
「お、おい」
「ご、ごめん。離れるわね」
エミルが何とか状態を起こす。
離れると残念なような。
「あれ? シーラは?」
気づいたらシーラが船に乗っていなかった。
「お、落ちたのかしら? ……大丈夫だろうけど」
さっきの揺れで船から落ちたのかもしれない。
見た目は少女であるが、中身はSランクの超強力な魔物。
海に落ちて何の問題もないはずだ。
「よいしょ」
シーラがそう言いながら、ボートを掴んで上がってきた。ボートの上に立つ。その瞬間、波が来て揺れる。
「わわっ」
立っていたシーラがバランスを崩して転ける。
ハラリと何かが俺の胸の辺りに落ちる。
エミルのビキニだった。シーラが転けた際、ビキニの紐を引っ張ってしまったようだ。
ビキニが取れたと言うことは……
俺は思わず、エミルの胸を見た。
間近くに豊な乳房が二つ露わになっていた。
「ひゃあああああ!?!?!?!?」
エミルはそう叫びながら慌てて手で胸を隠した。
俺は心の中で、シーラグッジョブとお礼を言った。
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