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「それで、湖は元に戻せるのか?」
家に戻ってきて俺はシーラに尋ねた。
最初は元に戻せなかったら、ぶち殺してやろうと思って探していたが、流石に今はそこまでする気はない。
ただ、湖が元に戻らないと困るので引っ越すか。
魔法でも湖を元に戻すのは難しい。水魔法で水を出すことが出来るが、天然の水とは違うので、魚が住むことはできない。
あとは、ほかの場所から水を持ってくることも可能ではあるが、自然破壊になるので気が引ける。
たぶんしばらく待てば雨が降ったりして、また復活するかもだが、いつまでかかるかわからん。
そこまで待つのも嫌だしな。
「うーん……あ、ここなんか見覚えある!」
「だろうな」
変な建物を建てた場所だからな。
湖はなくなって随分と景色は変わってしまったが、湖岸の感じとかは変わらずそのままだ。
「これならたぶんできるよ!」
そう言って、シーラは手を目の前にかざした。
すると、湖があった場所の真ん中に塔が出現した。
湖を消し飛ばした塔と似ている。というか同じものだ。
シーラは手をかざし続ける。彼女の手のひらから黒い靄が発生する。
すると、塔が同じく下の方から消えていった。
「あ!」
塔が消えていくのと同時に、水が徐々に復活していた。
塔が完全に消え去ったとき、湖も元通りにあっていた。
「おー戻った」
水が戻っただけで魚は戻っていない可能性もあったので、透視の魔法を使用。湖の様子を見る。元気に魚も泳いでいた。
元に戻ってほっと俺はほっと一安心する。
これで新しい住処を探さずに済みそうである。
「お兄ちゃん嬉しい??」
「ああ。もうこういうことはやるなよ」
「わかった!」
シーラは頷いた。
本当にやらかさないか少し不安ではあるが、大丈夫だと信じよう。
俺は家に帰る。
シーラはついてきた。
「このこどうするの?」
エミルが聞いてきた。
「……どうすんだ?」
「アンタが連れて来たんだから、面倒見なさいよ!」
「う……面倒見るのか……」
シーラレベルの強い魔物を町に住まわせるのも、大丈夫なのかという気もする。
今のところ危なくはないが、どうなるかはわからない。
しばらくは近くに置いていた方が良さそうだ。
まあ、本人も俺と別れる気はなくついてきているので、しばらく一緒に暮らすか。
「ま、私も近くに住んでるから子守は手伝うわよ」
「お前が近くに住んでるのも、俺は納得いってないんだがな」
ただ、一応手伝ってくれるのはありがたい。
目を離した隙になんかやらかすかもしれないしな。
「ここがお兄ちゃんのお家なの?」
家に着いたらシーラが尋ねてきた。
「そうだ」
「なんか地味~」
「な、なんだと!?」
自分で作った家なのに。失礼な奴だ。
「シーラ、自分のお家作る!」
そう言ってシーラは俺の家の近くの草むらに、建物を作り始めた。
一軒家が数秒で建築された。
もちろん例のマーブル模様である。
「うん! いいお家が出来た!」
本人は満足そうな出来であるが、明確に景観が損なわれてしまった。
自然を感じれるいい場所だったのに……
「お兄ちゃんもいいお家って思うでしょ!?」
「あ、ああ」
頷いてしまった。
仕方ない景観に関しては我慢するか。
俺は自分の家へと戻った。
2章完結です!
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