18
シーラの案内で何とか俺はシーラドームとやらに到着。
エミルがボロボロの状態で敵と戦っていたので、魔弾で敵を倒した。
もう少し遅れていたら、エミルは殺されていたかもしれない。
間一髪だったな。
「ラ…………ライズ……」
エミルは俺の名を呟いた後、ふらっと倒れた。
慌てて駆けつける。
「大丈夫か?」
「………だ、大丈夫」
今にも消え入りそうな声で、エミルはそう言った。
そう無茶をしたみたいだ。
このまま放っておくと下手すれば死ぬかもしれない。
「治癒!」
回復魔法を使用した。
エミルの傷が治っていく。
死んでしまったら、俺でも生き返らせることは不可能だが、生きてさえいれば大抵の怪我は魔法で治せる。
「あ……れ?」
エミルは自分の体を見て、驚いている。
「な、なんともない!? なにしたの?」
「何って治療を使っただけだ」
「え、ええ? あなた治療もそんな使いこなせるの?」
回復魔法は普通は専門職の治療師しか使えない。俺も使える回復魔法は治療だけである
ただし、俺の場合普通の治療で、大概の傷は治ってしまうので、上級の回復魔法とかを習得する必要が一切なかったりする。
てか、エミルには一度治療使ったよな? あの時は俺に治されたって気づいてなかったのか?
「痛いところはもうないか?」
一応回復しきれなかった箇所があったらまずいので尋ねる。
「え? あ、も、もう大丈夫よ」
エミルは照れたようにそう言った。
「本当に大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ!」
いつもより態度が違う。なんかよくわからなかったが、大丈夫なのは間違いなさそうだ。
「ごめんなさいお姉ちゃん。シーラが難しいところ作ったから怪我しちゃったんだ……」
シーラが素直に謝っていた。
「……な!? そ、その娘、魔物じゃない!?」
エミルは驚いて立ち上がり、戦闘態勢を取る。
「待て待て、こいつは敵じゃない」
「ま、魔物は敵よ!」
「良い魔物もいるって言っただろ? よく見ろ」
申し訳なさそうな様子のシーラをエミルは見る。
どう見ても敵意はなさそうな様子に毒気を抜かれたのか、エミルは戦闘態勢を解除した。
「……本当に大丈夫なのよね?」
「ああ。万が一襲ってきたら、俺が守ってやるよ」
「まも……!」
またもエミルは顔を赤くする。反応の意味がよくわからない。何か気に障ることでも言ってるのだろうか。
エミルは少し咳ばらいをして、平常心を取り戻す。
「確かにこの子かわいいわね。倒すのはちょっと可哀そうね」
シーラをよく見ながらエミルは言った。シーラの見た目はどう見てもかわいい少女である。
倒すのは可哀そうとか言っているが、多分エミルでは倒せないと思う。
「お姉ちゃんよろしくね!」
シーラはそういいながら、エミルにしがみついた。
「わっ」
突然の行動にエミルは驚く。
「わー、柔らかい」
そのあと、シーラはエミルの胸をもみ始めた。
な、なにをやってるんだこの子は!?
「ちょ、あ、だめっ!」
胸をもまれて顔を赤くするエミル。
エミルの大きな胸をシーラが遠慮なく揉みしだく。
とんでもない光景を俺は呆然と見ていた。
す、すげー。
めっちゃ形が変わってる。
「ちょ、ちょとライズ。何とかして!」
あまりの光景に呆然と眺めていたが、エミルの助けを求める声を聞き、我に返った。
「やめろシーラ!」
俺はシーラをつかんで、エミルから引きはがした。
「えー、気持ちよかったのに」
「そこは触っちゃダメなんだ」
「……そうなの?」
シーラは申し訳なさそうな表情をした。俺はシーラを地面におろす。
「ごめんなさい」
とエミルにぺこりと謝った。
「い、いいのよ」
エミルは優しいようですぐに許したようだ。
その後、エミルは俺に近づいてきた。
「なんでアンタは、すぐに助けずにしばらく見てたのかしら?」
と無表情で聞いてきた。
「……あ、いや」
明らかに怒っている。俺は返答に困る。
「よ、よし、じゃあ、帰るか! シーラはこの辺にある危ない建物は全部壊してくれ」
「あーい」
俺は誤魔化すように言った。
「答えなさい!!」
怒るエミルを何とかなだめながら、シーラが建物を壊すのを待った後、家に戻った。