表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/34

17

「はぁ……はぁ……」


 エミルはシーラドームのボスと戦い、苦戦を強いられていた。

 ボスは大きな馬である。

 体高は3mを越すくらいだ。ほかの敵と同じく、変わったマーブル模様である。

 その馬には大きな槍を持った、人型の敵がまたがっていた。


「ひひひーーーん!!」


 馬は大きく鳴き声をあげ、エミルに向かって突進してくる。

 馬上の敵が槍を振り回し、エミルに斬りかかる。

 何とかガードする。


 馬が前足を大きく上げる。

 すると、馬上の人型の敵が形状を変えた。

 槍じゃなくて弓を持っていた。

 矢を放ってくるので、エミルは何とか避ける。

 馬が本体で、乗っている人型の敵は、馬の能力で出しているようだ。


 攻撃手段がどんどん変わっていくのは、ブラシドと一緒である。

 だが、攻撃一つ一つの威力が高く、さらに馬なので機動力が高い。

 上位互換と言ってよかった。


雷轟化らいごうかを使うしかないわね……でも……体は果たしてもつ!?)


 エミルの奥の手『雷轟化(らいごうか』は、自身の雷轟剣を体に取り込み、その力と一体となるわざである。

 スピードが圧倒的に伸びる上に、技の威力も上がる。思考のスピードまで上がるので、体の動きに頭がついていかないということも起こらない。


 雷轟化を使うのは体の負担が非常に大きく、一度使うとかなり消耗してしまう。

 今まで一日一度以上は使ったことがなく、二回目の使用は避けていた。


(でも、やるしかないわね)


 エミルは雷轟剣口から飲み込み、雷轟化らいごうかを発動。全身が雷となった。


(本体は馬!)


 物凄い速度で動きエミルは馬の首を斬り落とそうとする。

 がぃーん、と硬いものに当たる男が鳴り響いた。

 首には当たったはずだが、硬すぎて切り落とせなかった。


「くっ!」


 一度では効かなかったかと、エミルはもう一度斬りかかる。

 しかし、二度目は斬れなかった。

 馬上の敵に矢を射られる。

 エミルはその様子を見て、咄嗟に反応。斬るのをやめ、後ろに全力で下がった。

 敵は矢を連射してくる。

 威力は中々のようだが、雷轟化らいごうか状態のエミルに当たるような攻撃ではない。

 華麗に避けつつ、後退する。


(首は斬れない……なら!」


 エミルは今度は足を狙う。

 前足を斬る。

 今度は斬ることに成功した。前脚を二本失った馬は、前方に倒れ込む。


「よし!」


 相手の動きを封じたので、あとは弱点を探して、そこを斬るのみ。エミルは一旦下がり、馬のどこに弱点があるか観察する。

 すると、馬上の人型が再び姿を変えた。

 ローブをかぶり長い杖を持っている。

 魔術師のような姿だ。

 杖を掲げる。馬が白い光に包まれた。

 すると、足が復活した。

 回復魔法を使用したようだ。


「ちっ」


 エミルは苛立ち、舌打ちをする。

 雷轟化らいごうかを使用しているエミルには、戦える時間には限りがある。早く決着を付けたかったが、そう簡単にはいかないようだ。

 再び馬上の魔術師が杖を掲げた。

 その後、振り下ろし、地面に杖の先を叩きつける。


 衝撃波が発生。


魔波動マジック・インパクト』である。広範囲を攻撃する魔法だ。

 かなり早く避けるのは非常に困難だが、威力は弱く、体勢を崩させるのがやっとだ。よっぽど強い魔力の持ち主でない限り、他者を傷つけることはできない。


「ぐっ!」


 エミルは回避することができず、よろめいて転倒する。

 痛みはあまりないが、体勢をくずされてしまった。

 再び敵は魔法を使用。


 燃える岩が頭上から降り注ぐ。


 岩は地面に当たると、大爆発した。

隕石メテオ』という、最上級魔法である。

 何とか体勢を立て直し、エミルは爆発を避けていく。


「く……」


 雷轟化を二度使った影響で、体の動きが鈍くなってきた。

 完全には避けきれず、爆風に巻き込まれ、エミルは吹き飛ぶ。


「ぐぅぁ!!」


 地面に叩きつけられ、痛みで悶絶する。雷轟化も解けてしまった。


「く……」


 何とか立ち上がって、エミルは雷轟剣を構える。

 敵は魔法を使おうとしていた。

 直撃したら死は避けられない。

 しかし、今のエミルに避けるだけの体力は残されていない。


(し、死ぬの……?)


 敵の杖の先に魔力が溜まっていく。

 エミルは死を覚悟した。

 その時、


魔弾マジック・バレット


 聞き覚えのある声が背後からしたと思ったら、強力な魔弾マジック・バレットが飛んできて、敵に直撃。

 一瞬にして黒い靄となって消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ