表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/34

15

 名乗り終えた後、エミルとブラシドは剣を構えながら目を合わせる。


(こいつ……相当強い)


 構えと雰囲気で相手の強さをエミルは理解した。


(これだけの強者を従えているということは、シーラはそれだけ強い魔物ということね……)


 ブラシドより、シーラが強いのは間違いない。エミルに勝てる自信はなかった。


(今はこいつを倒すことだけに集中よ)

 気を取り直し、エミルはブラシドとの戦いに集中する。

 ブラシドは二本の剣をクロスさせる。


「双斬波!」


 両手の剣を同時に振り、斬撃を飛ばしてきた。

 斬撃は床を傷付けながら、エミルに向かって飛んでくる。

 受け止めきれない。そう判断したエミルは、咄嗟に横に飛び避ける。


 避けるのを予想したのか、ブラシドは瞬時にエミルに斬りかかる。

 何とか受け止める。その瞬間、雷轟剣から雷が迸る。

 ブラシドに直撃。


「ぐっ!」


 一瞬動きが止まる。

 その隙を見て、エミルは斬りかかる。

 剣が当たる直前に、ブラシドは動きを取り戻す。後ろにジャンプして回避。


 エミルと距離を取った。


「中々に良き剣だ……我も武器を変えよう」


 そう言った瞬間、ブラシドの持っていた二本の剣が輝き始める。

 瞬時に形状が変化し、弓になった。

 ブラシドは光で矢を作り、それを弓にセットする。

 弦を引いて、エミルに向かって矢を放った。

 凄まじいエネルギーをエミルは感じ入る。攻撃を受けきれないと思い、後ろに下がって回避する。


 矢は床に当たったと同時に爆発する。

 直撃は避けたエミルだったが、余波を食らってしまう。


「くっ!」


 体勢を崩したが、何とか受け身を取る。

 ブラシドは弓を連射する。

 先ほどよりは一本一本のエネルギーは少ない。エミルは雷を込めて、剣を振る。

 途中で矢にあたった。当たった瞬間、爆発した。


「はあああ!」


 エミルは叫びながらもう一度剣を振る。今度はブラシドに向かって雷撃を飛ばした。

 ブラシドの弓が形状を変えた。盾になる。盾で雷撃を受け止めた。

 攻撃を防いだ後、盾が形状を変える。

 今度は一本の大剣になった。

 上から振り下ろす。ミエルは後ろに飛び回避。

 大剣は床に激突する。凄まじい衝撃波が発生した。


「ぐっ……!」


 勢いでエミルは少し吹き飛ばされてしまう。

 ブラシドは再び武器の形状を弓に変え、矢を放つ。

 エミルの頭めがけて、矢は飛んでいく。


「!!」


 直撃する寸前、何とか剣で防ぐ。

 ブラシドの猛攻はその後も続く。


(思った通り、こいつ相当強い……)


 攻撃何とか受けながら、エミルはそう思った。


(奥の手を使うしかないわね)


 エミルは雷轟剣を両手で握りしめ、力を込めた。

 雷轟剣は凄まじい電流を放ち始めた。

 剣身が電気に変化する。


「むっ!」


 ブラシドが驚愕したように目を見張る。

 エミルが雷轟剣を自分の口で飲み込んだからだ。

 彼女の体が徐々に白い雷そのものに変質していく。

 手に雷で出来た剣が握られていた。先ほど飲み込んだはずの雷轟剣と同じ形をしていた。


「むっ!?」


 物凄いスピードでエミルは動き、ブラシドの体を一刀両断した。


「……雷轟神斬らいごうじんざん


 真っ二つに斬られたブラシドの体が地面に落ちる。


「ぐはっ……見事なり」


 そう言い残し、ブラシドは黒い靄となって消滅した。


「ぐ……」


 徐々にエミルの体が元に戻ってくる。

 握っていた剣も、元の雷轟剣に戻っていったら。

 エミルは膝をつく。


雷轟化らいごうかはやっぱり消耗が激しいわね……もう使えないかも……でも三連勝すればボスって言ってたから、あと一回戦う必要があるのよね……さっきのやつより強いってことは……無理してでも戦わないといけないかもしれない……)


 息を切らせながら、エミルは考えていた。

 何とか立ち上がるも、少しふらついている。


『おめでとうございます! ついにボス戦でございます』


 アナウンスが鳴り響いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ