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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
プロローグ 悪魔と死神と探偵と
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第8話 推理議論終盤~最後の追及~

 僕は真犯人。エルフ騎士のアスハさんを指摘した。

 最初のツカサさんの指摘だけは、本当だったんだ。

 わざと僕に間違いを指摘させ、彼女の疑いを逸らしたんだ。


 二人が共犯関係なのは、間違っていない。

 どんな繋がりがあるか分からないけど。


「ユウキ。本気で言っているの? 私が犯人だって?」


 アスハさんは肩を抑えながら、震えている。

 僕は迷わずに頷いた。


「はい。僕は貴方を告発します」

「で、でも、ユウ! アスハさんは、お師匠さんを尊敬しているんだよ?」

「それは彼女の口から、直接聞いただけです」


 ちょっと冷たい言い方だけど。

 僕達は彼女の本当の一面を知らない。

 生命とは多面的存在。いつどんな理由で、殺しをするか分からない。


 僕は探偵として、そんな事件に何度も遭遇してきた。

 僕達は彼女と出会って、時間が浅い。

 一面すら見えていたかどうかも怪しい。


「でもユウキ。そのトリックなら、私以外のエルフ族ならだれでも……」

「それは通用しないよ」


 確かに、被害者を殺害させるだけなら誰でも出来る。

 でも他の仕掛けを成立させるには。

 アスハさんである必然性があるんだ。


「まず、橋が雷で焼かれたと誤認させるため。目撃者を作る必要がある」

「なるほど。その目撃者が、我ら魔王一族と言う事だね?」

「はい。その上橋を焼いて、僕らが迂回するルートを誘導しないと。丸太にたどり着けませんからね」


 僕はアスハさんを指した。


「道案内をしてくれたのは。貴方でしたね? アスハさん」

「うぐぐ……!」


 アスハさんは剣の刃を、噛み始めた。

 焦りからか、額に汗びっしょりだ。


「なんなの? さっき私に犯行は無理と言った癖に……! コロコロ意見を変えないでよ!」

「僕は、"暗殺未遂"は不可能と言ったんですよ?」

「言葉の綾じゃん! そんな……!」


 動揺しているが、反論が出てこない。

 なんだか違和感があるが、このまま畳みかけよう。


「さ、殺エルフで疑われるのは良いとして……」


 そこは良いのかよ!


「こんなやつと! この糞野郎と共犯とだけは言われたくないわ!」

「糞野郎? もしかして、アスハさん。ツカサさんの事をよくご存じで?」

「どぎゃあ! し、失言しちゃったぁ!」


 な、なんか追い詰められたボロが出まくっているな……。

 本当にこのエルフが、トリックを仕掛けたのか不安になってきたぞ……。


「まあ、一方的な協力でしょう。もしお互い承知の上なら……」


 僕は未だにニヤニヤしている、ツカサさんを指した。


「"丸太を使う"と言い出すのは、ツカサさんの役目ですからね!」

「またしても、正解! いや~、凄いね~」


 最も疑わしい点は、丸太の使用を提案したことだ。

 これを暗黒騎士が言い出したら。

 偶然の産物で済ますことができたのに。


「アスハさん……。本当にお師匠さんを?」

「認めない……。認めないわ!」


 アスハさんは歯形が出来るまで、剣を噛み続けた。

 白目剥き出しになりながら、僕を睨む。


「アンタの推理では、崖下からペットボトルを発射しただったわね?」

「ええ。川沿いの端に、水の残留魔力がありましたから」

「だったら、矛盾しているじゃない! 忘れたの?」


 やっぱり。その点を突いてきたか。


「私は時間通り。貴方達の前に現れたのよ!」

「そうですね。一分の狂いもなく」


 それはよく覚えている。時計で確認したからね。


「崖下から上に向かうには、ニ十分かかるわ!」

「あ! そうだよ! 私達が雷を目撃してから、ニ十分経ったら……」

「時間にニ十分近く遅れて、到着するはずよ!」


 そう。僕達は橋のすぐ傍で、雷を目撃した。

 雷がその場で橋を燃やしたのを、見ているからね。

 だからニ十分もかけて登ったら。約束の時間に間に合わない。


「貴方はエルフ族ですからね」

「まさか羽根を使ったとか言わないでよ? 崖の上には強風が吹いているのよ!」

「軽いですからね。良く飛ぶでしょう」


 アスハさんは勝ち誇った表情をしているが。

 残念だけど、その反論は既に通らない。

 僕は崖上で、決定的証拠を見つけている。


「滑車を使えばね」

「っ!? 滑車で登るなら、私より重い、重りが必要よ! そんなものなかったでしょ!」

「あるじゃないですか。勢いよくペットボトルロケットが」


 これがエルフ族。アスハさんにのみ犯行が、行える証拠だ。

 崖の上には何かが打ち付けられた、跡があった。

 アレは、滑車を取り付けていたんだ。


「現場には、もう一つ。ペットボトルロケットがあったんですよ」

「はああああ!? ペットボトルロケットに掴まって、飛んだとか言わないでしょうね!?」

「いくら軽いエルフでも、それでは飛べませんが……」


 風の影響を受けやすい。体の軽いエルフ族だからこそ……。


「自分を括り付けた、反対側に口を上向きにしたらどうでしょう?」

「!!!!!!?」

「噴射の勢いに、重力がプラスされますから。登れるんじゃないですか?」


 アスハさんはペットボトルロケットを、下向きに発射したんだ。

 崖下で水属性の魔法を使って、メイ液を生成。

 その瞬間、気化膨張が働き。ペットボトルが崖下に発射される。


 重力とペットボトル自体の質量が加わって。

 ロープを下向きに引っ張ったんだ。

 反対側に括られているアスハさんは。崖上まで一分もかからず登れる!


「貴方はその後、ペットボトルを回収しましたが。処分する暇がなかった」


 魔法で処分したら、残留魔力が残る。

 橋を雷が燃やしたと思わせたいから。

 炎の魔法は使いたくないだろうし。


「だから案内中、隙を見て脇道に投げるしかなかった!」


 僕が偶然それを発見したんだ。

 リュックにあるペットボトルは、その時使われたものだ。


「これで時間的問題は、解決しましたね」

「ぐぐぐぅ! そんな、バカな!?」

「まあ、貴方が時間通りに来た時点で。怪しいとは思っていましたけど」


 雷がアクシデントなら、アスハさんは時間通りに来られない。

 偶然雷が発生したなら、彼女は橋と一緒に焦げているはずだ。

 そう。彼女は遅れて到着するべきだった。偶然を装って、迂回したと言い訳するために。


「ツカサさんがどこまで知っていて。何故貴方に協力したのか、分かりませんが……」


 ツカサさんは、一方的に協力していた。

 その理由はまだ明らかになっていないが。

 これで殺エルフの証明は完了したはずだ。


「貴方が共犯を意を否定している以上。全て貴方が仕組んだという事になります」

「……!」


 ここで共犯していたと主張しないなら。

 彼女はツカサさんに、憎悪を向けていることになる。


「誰が……。こんなクズと、共犯なんかするかああああ!」

「クズ呼ばわりかい? 酷いなぁ~。まあ、事実だから良いんだけどね!」


 ツカサさんの真意はまだ不明のままだが。

 この事件における全ての謎は解かれた。


「もうおしまいです! アスハさん!」

「うぐぐぐ……。ユウキの分際でぇ……!」


 なんだよ。まるで僕の事を昔から、知っているみたいな言い方だなぁ。

 

「最後に今までの事件を振り返り! 全ての謎を明らかにする!」

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