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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
最終章 ルト村教会殺人事件
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第7話 推理披露~動機~

「一応聞いておこうか。何故俺が主謀者だと思った?」


 変貌ぶりから認めたようなものだ。

 でも推理を披露しない訳にもいかない。


「事件を振り返っている時。僕は疑問に思ったんですよ」

「へえ。どの事件?」

「双子塔事件ですよ。貴方と初めてあった場所だ」


 僕がヒラに疑いを持ったのは、ルナティックさんの話を聞いた後だ。

 主謀者がヒントを出した。そのおかげで、僕はたどり着けた。


「あの時、貴方は五階を見張っていた。それが争点となった訳ですよ」

「犯人が隠し通路から来たにせよ、俺に目撃されるわけだからな」

「まるで事件が起きるのが分かっていたかの様に。貴方は状況を限定させた」


 ツカサにトリックを仕込ませるためだろう。

 五階に目撃者がいたのなら。煙突を通るしかない。


「次に貴方は、隠し通路の存在を僕に知らせた」


 あの時はドジで偶々、隠し通路を見つけたと思ったけど。

 本当は知っていたんだ。あの塔に隠し通路があった事を。


「僕に推理をミスリードさせるため。貴方は隠し通路を明かした」

「まあ、君の推理力じゃ。俺が何もしなくても、見つけただろうけど」


 ヒラは涼しい表情で、剣を回していた。

 追い詰めているはずなのに、この余裕。

 ツカサの時を思い出す。物凄く嫌な予感がする。


「主謀者は事件複雑にするため、魔王様の部屋で偽装をしています」

「ああ。マホが単純すぎるトリックを使ったから。ちょいと細工をね」

「主謀者は一連の事件を監視するため、常に僕達と一緒だった」


 警備の振りをして、操った者達に指示を出していたのだろう。

 他にも工作をして、犯人の手助けをしていたはずだ。


「そして大統領は、ルト村の騎士が主謀者だと言いました」

「言ったね」

「貴方の本来の所属は、ルト村。それはこの場に居る事から、明らかです」


 更に主謀者が自ら、大統領の証言は正しいと口にした。

 

「でもその条件なら。騎士長やアリスだって、当てはまる」

「ルナティックさんには不可能だ。彼にはアリバイがある」


 雷が落ちる直前に、ルナティックさんはアリス様に指示を飛ばしている。

 そこから教会に移動して、被害者を誘導。

 その前に鎧を着て隠れるなんて、不可能だ。


「アリス様は十二年前、六歳だったので除外しました」

「なるほど。確かに条件に当てはまるのは、俺だけだ。いやぁ! 素晴らしい!」


 ヒラは両手を広げて、ニヤリと笑った。


「流石は魔界が誇る名探偵! あのヒントで、ここまで見抜かれるなんてね!」

「認めるんですね? 自らの罪を」

「ん? まあそれはおいおい話すとして。まずは動機でも聞いてもらおうか?」


 僕の胸を貫くように、不安が徐々に影を見せる。

 何故だか分からないが、僕には確信がある。

 このままじゃ逃げ切られる。


「まあ別に動機なんてないんだけどね! 強いて言えば……。退屈だったから」

「なっ! それだけで!?」

「そうだよ。権力者を操ったのも。十二年前の事件も。今回も。只の退屈しのぎなんだよ!」


 嬉しそうに、自慢げに。自分の動機を話すヒラに。

 僕は想像を絶する恐怖を抱いた。

 彼の目には利益も支配欲も存在しない。ただ空虚な狂気だけが広がっている。


「俺は昔から、魔力が合ってね。更に剣の腕も自信があり。知恵もあった」


 自画自賛だが、本当の事だとしか言えない。

 実際彼は、天気を操るほどの魔力を見せている。


「でもさ。こんな村で生まれたせいで。全然刺激が足りなかったんだよね~」


 狂気の笑みを浮かべながら。ヒラは空中に浮いた。

 まるで村全体を見下すかのように、下を向いている。


「この村じゃ才能あっても、精々衛兵が限界だからさぁ。貴族じゃないと、騎士になれないんだよね」


 ここに村があるという事は。それを納める領主も居るはずだ。

 騎士になれるのは、領主の一家だけと言う事か。

 それがルナティックさんの一家なのだろうな……。


「そんな俺に幸運が訪れた。この村で、人界を騒がす死神事件が起きたんだよ」


 死神は元々人界の殺し屋だ。一切証拠を残さない事で有名だったらしい。

 こんな小さな村で、殺人が起きれば話題になるだろう。


「そんで俺はちょちょいと解決したわけさ!」

「なっ! 死神をあっさり見つけたというのか!?」

「別に大したことじゃないよ。俺と組む前のアイツは、爪が甘かったから」


 ヒラは聖騎士達をあざ笑うかのように、口角を上げた。


「あ! そっか! 穴だらけの計画すら! 人界最高の騎士は見抜けなかったんだっけ?」


 彼の言ったことは本当だったらしい。彼には知恵がある。

 事件を瞬時に見抜くほどの、才能が。


「でもさ。突き出したんじゃ、結局貴族に手柄を横取りされるだろ?」

「だから脅迫したわけか。ツカサを利用してのし上がるために!」

「中々良い策だろ? おかげで地盤も固まって! 他の国にも手が伸ばせたよ!」


 そうやって支配下になる人物を増やしていったわけか……。


「そこで俺はちょっとした事件をした。下っ端騎士でも、各国を操れるのか? 結果は知っての通りさ」


 ヒラは他者の欲望と必要なものを見抜く才能で。

 支配下に置いた存在を、国の重鎮へとのし上がらせた。

 結果ただの下っ端か騎士が、三国に渡る影響力を得たのだ。


「計画が上手く行き過ぎて。また退屈したところに。君が現れてくれたのさ!」

「僕が……?」

「そう! 俺が仕掛けたトリックを見破り! ツカサの罪を立証した君達親子がね!」


 まるでおもちゃを貰った子供の様な表情を見せるヒラ。

 狂っている。何もかもが歪んでいる。そうとしか言えない。

 事件の真相を見抜く才能がありながら。彼は歪んだ目的のためにそれを使ったんだ。


 探偵としてヒラの様な存在を許すわけにはいかない。

 彼はここで終わらせなければならないんだ!


「だからちょっとだけゲームをしてみた訳! まさかこの俺が、ここまで追い詰められるなんてね!」

「この状況で余裕だな。そろそろ観念して下りてきたらどうだ?」

「観念? まあそれは良いや。それより、ユウキ君! いつものお願いね!」


 いつもの。事件の事を振り返り、事件の全貌を明らかにすることだろう。

 ヒラは完全に楽しんでいる。きっと何か裏があるんだ。


「みんな君が推理語るの、楽しみに待っているんだからさ!」

「みんな? みんなって誰の事だ!?」

「まあ、推理を披露したら分かるよ。君達が何を相手にしているのか……」


 ここで主謀者の言いなりになるのは、癪ではあるが。

 今僕に出来ることは、事件の全貌を明らかにすることのみ。

 この事件を解決して、彼に償うべき罪を突きつけてやるんだ!

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