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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
第3章 ドワーフ屋敷事件
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第7話 推理議論~犯人指摘~

「ふむ。確かにそのルートなら、被害者の目撃証言がないのは納得できますが……」


 シェイプさんはまだ納得していないような、態度だった。

 

「探偵殿はお忘れですかな? 私はずっと、執務室の前に居たのですよ?」

「はい。ですから犯人は、窓から侵入したってことになります」


 シェイプさんが嘘を言っている可能性は低い。

 何故なら彼は、親方に説教をしていたからだ。

 必然的にこの二人には、アリバイがある。


「それに非常口から出入りするには。梯子を落とす必要があります」


 非常口は二階に繋がっているから。

 梯子がないと下りることは出来ても、登れない。

 

「ですが梯子が落ちた音など、聞こえませんでしたよ?」

「そうでしょう。犯人は被害者を現場に落としただけなのですから」


 被害者を落とすだけなら、さほど音は聞こえない。

 

「もしそうなら、犯人は現場に入らなかったことになりますな」

「はい。犯人は現場に入りませんでした」

「だとしたら、それはおかしなことになりますよ」


 そうなんだ。そのおかしな事こそ。

 この事件の根底にある、謎なんだ。


「犯人が現場に入っていないなら。別の場所で殺害されたことになります」

「ん? でも衛兵も俺達も。別の部屋で血痕を見ていないぜ?」

「当然大統領の執務室でもありません。それなら大統領が気づいているはずです」


 その通りだ。だから殺害されたのは、間違いなく現場。

 だからと言って、犯人が現場に入ったとは限らない。

 

「被害者は間違いなく現場で、殺害されたのです」

「まあ。そうだろうな。現場にはちゃんと血があったし」

「別の場所で殺害された被害者を、気づかれずに非常口から投げ捨てたとでもいうのですか?」

「そんなこと言いませんよ」


 被害者が別の場所で殺害された可能性なんて、ないはずだ。

 彼らの言う通り、血痕が飛び散った部屋は他にない。

 それに血を出した死体を持ち歩いたら。それだけで目立つ。


「僕は犯人が部屋に入らず。遠隔で被害者を殺害したと主張します」

「え、遠隔ですと?」

「はい。部屋を荒らしたりは、事前に行っていたのでしょう」


 死亡推定時刻前に部屋に入っても、怪しまれることはない。

 犯人はその時に、密室の細工などを行ったのだ。


「シェイプさん。確か執務室から、ドワーフが飛んだ音が聞こえたのでしたね?」

「ええ。それは間違いありません」

「犯人はその時に。トリックを発動させたんです」


 犯人が天井に振動を起こした理由。

 それは遠隔で被害者を殺害する準備をするためだ。

 

「ふむ。遠隔で殺害なら。犯人は部屋に入らずに済みそうですが……」


 部屋に入らないなら、梯子を落とす必要はない。

 これなら音で気づかれずに、被害者を殺害出来るはずだ。


「一体どんな方法を使ったのでしょうか? そんな方法があるのですか?」

「非常口のすぐ傍に、パイプが通っていました」


 あくまで通り道なので、出口はなかったけど。

 ドワーフが作ったパイプなのだ。それは頑丈だろう。


「そこに紐を通して、被害者を落下させれば滑車が出来ますよね?」

「ああ。だがそれがどうした?」

「滑車の片方が下がれば。被害者は非常口にぶつかるんです」


 僕は思い出した。被害者が亡くなっていたのは。

 丁度非常口の真下だったはずだ。


「犯人は非常口に剣を固定して。滑車で登ってきた被害者を殺害したのです!」

「な、なんですとぉ!?」


 僕の推理に、シェイプさんが驚いている。


「で、ですが! 滑車を動かすには、被害者より重い物体が……」

「ダストボックスに、重たい球体がありました」


 もう一度エルフ族の特徴を、おさらいしてみると。

 彼らは空を飛ぶため、体重が軽いのだ。

 

「あの重さの鉄球なら、落とすことは可能です」

「ふむ。でも犯人が鉄球を落としたなら、その時非常口は開いていたことになる」


 パイプは天井のすぐ傍にあったから。

 滑車の仕掛けをしたのは、非常口からだろう。


「非常口が開いていたら、剣が刺さらないではないですか!?」

「ええ。滑車の動きは、非常口を閉じてから行ったはずですよ」


 これで全てが繋がった。犯人が行った、トリックを。

 全て解明してやるんだ!


「犯人はパイプに、鉄球を引っかけたのです」

「引っかけた? ま、まさか私が聞いた、ジャンプの音は……!」

「はい。犯人が天井を振動させ。被害者を殺害する音だったんです!」


 今までの流れをおさらいしておくと。

 犯人は被害者にロープを括り付け。反対側に鉄球を付けた。

 そのロープをパイプに通して、被害者を非常口真下に落下。


 鉄球をパイプに挟んでおき、非常口を閉じる。

 その後上の階で、ジャンプすることで天井に振動が発生。

 揺れの影響で鉄球が落ちて、被害者は非常口にぶつかる。


 その非常口には剣が固定されており。

 被害者は背中から剣が突き刺さって、殺害されたという事になる。


「そ、そんなトリックを使えば、天井に血が……」

「ですから犯人は。血痕さえも吸い取る布を使ったんです」


 あの布は返り血を防ぐためのものじゃない。

 天井で被害者を殺害したことを、隠すためのものだったんだ。

 前後に装備されていたのは。


 天井に血痕を残さないためと。

 下に垂れて仕掛けがバレないためだろう。


「この方法を使えば、被害者を遠隔で殺害することは可能です」

「なんという事だ……。また坊主がやってくれたなあ」


 これでルシェ様以外にも、殺害が行えることを証明した。

 問題はここからだ。誰が犯人なのか。

 この仕掛け自体は、屋敷に居たドワーフなら誰でも行える。


「しかし、もう一つ疑問がありますな」

「被害者をどうやって、執務室まで連れ去ったか。ですよね?」

「は、はい。探偵殿はその方法も分かっているのですか?」


 これは何てことの無い、やり方だ。


「犯人は被害者を、中庭に誘導したんです」

「中庭ですか。確か執務室の窓があるのも、そこですな」

「睡眠薬で体調不良でしたから。"風にでもあたって"とでも言えば良い」


 被害者が自分の意思で中庭に向かったなら。

 目立つことはないだろう。


「その後同じく滑車を使って、被害者を執務室まで持ち上げたのです」

「トリックの再利用ですか……。エコですね」

「いや。死体作ってるから、環境破壊だろう」


 ……。


「執務室の窓や、事前の仕込みから。犯人はこの屋敷に精通している者と考えられます」

「ふむ。屋敷の者を疑うのは心苦しいですが、そうなりますね」

「いや。今も屋敷で働いているとは、限りませんよ」


 昔屋敷で働いていたとか。屋敷の建築とかに詳しい者なら。

 誰にだってこのトリックを仕掛けることは可能だ。


「まさか探偵殿は、既に犯人が分かっておられるのですか!?」


 間違いない。トリックに使われた道具の準備。

 屋敷に詳しい事を隠しているドワーフ。

 アリバイがない犯人はあのドワーフだ!


「はい。この事件の犯人。ソウヤさんを殺害したドワーフは……」


 僕は犯人に向けて、人差し指を突き出した。

 そのドワーフは屋敷に詳しい事を、示すようこがある。

 何故なら巧妙に、シェイプさんから逃れていたのだから。


「チイさん。貴方だ」

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