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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
第3章 ドワーフ屋敷事件
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第4話 捜査中盤~犯人像~

 僕は周辺人物の聞き込みを開始した。

 ルシェ様が犯人でないなら、周辺の者が怪しい。

 まだ犯人像が明確じゃないから、聞き込みから明らかにしようという算段だ。


 僕が廊下で周囲を探していると。現場の前でドワーフの大統領と出会った。

 彼は僕に気付くなり、軽く頭を下げてくれた。

 僕も慌てて頭を下げて、挨拶をする。


「大変な事になってしまったな。客人に申し訳が立たない……」


 大統領は捜査を指揮している様子はない。

 多分ドワーフの衛兵が、独断でルシェ様を疑っているんだ。


「君達に申し訳ないが。私にも立場がある。衛兵の面子を保ちたいんだ」

「はい。理解しています」


 ドワーフの国としては、客人を殺された犯人を自分達で捕まえたいだろう。

 双子塔事件の時、僕はマホさんに同じように謝罪された。

 それだけ国の面子と言うものは、重たいのだ。


「少しお話を伺っても、宜しいでしょうか?」

「こんな私で役に立てるならな」


 大統領と言う立場の割に、随分と謙虚なお方のようだ。

 ルナティックさんは彼の関与を疑っているけど……。

 僕には演技をしているようには見えない。


「事件が起きた時、大統領は何か見聞きしましたか?」

「いや。恥ずかしながら、その時は執務室で気を失っていた」

「気を失っていた?」


 なんだろう。凄く気になるワードだ。


「あの会談の後、何故か朦朧として。私は執務室で休むことにした」

「執務室と言うと。現場の上にある部屋ですね」


 現場で見た緊急用の非常口が、繋がっている部屋でもある。

 会談の後に意識を失っていたか……。

 僕と同じ状況が、大統領にも起きていたようだ。


「深く眠っていたようだから、何も見聞きできなかったよ」

「そうですか……」

「情けない事に。執務室に誰か入ってきても、何も気づかなかっただろうな」


 それほど深い昏睡状態にあったと言う事か。

 僕も気が付けば一時間ほど寝ていたからな。

 やはり何か仕込まれていたとしか、思えない。


「君達には申し訳ないが、現状最も疑わしきは、ルシェ殿だ」

「密室の中に居たからですか?」

「それだけじゃない。被害者の死亡推定時刻が分かったのだ」


 あの技術は人界だけのものじゃなかったのか?

 

「被害者は会談終了後、一時間前までは生きていた。彼は目撃されている」

「あぁ……。死体の具合ではなく、目撃証言で割り出した訳ですか……」

「そしてその間、現場となる部屋に入ったのは、ルシェ殿だけらしいのだ」


 現場は密室だった上、現場に入ったのはルシェ様だけか。

 とんでもなく不利な条件だけど。重要な証言が出てきたな。


「ルシェ様だけってことは、当然被害者も入っていないわけですよね?」

「その通りだ。だから何故被害者が部屋の中で、死んでいるのやら……」


 なるほど。大体中の様子は、見えてきたな。

 僕は現場となっている部屋をじっと見つめる。

 青い看板に、赤い字で客室と書かれている。


「ルシェ様は、何故客室に居たのだろうか?」


 僕は看板を不審に思い、救護室を調べてみた。

 看板は固定されており、すり替えることは不可能なようだ。

 

「ん? この看板。僅かだけど、何かが貼られた跡があるな……」


 赤い看板に青い文字で、救護室と書かれている。

 あの時大統領は、赤い看板が救護室だと言った。

 この場合文字ではなく、看板の色の事だろうな。


 きっと意識が薄れて、文字が読めないと判断したのだろう。

 だから文字ではなく、看板の色を教えたのだ。


「大体の事は分かってきたけど……」


 現場の状況は分かってきた。現状僕にとって、不利過ぎる事も。

 後僕に出来る事は、他の者に聞き込みをすることと。

 ルナティックさんの報告を待つ事だけか。


「ありがとうございます。大統領。参考になりました」


 僕は大統領にお礼を、口にした。

 彼のおかげで事件の状況が、大体掴めてきた。


「ああ。そうだ。詳しい事ならシェイプに聞くと良い」

「シェイプさん?」

「私の執事だよ。食堂でコーヒーを配っていただろ?」


 ああ。あの少し年配のドワーフの事か。

 名前を初めて聞いたので、判別がつかなかった。


「彼は今、食堂に居るらしい。話を聞いてみたらどうだ?」

「ありがとうございます。そうしてみます」


 僕は大統領にもう一度頭を下げてから、この場を立ち去った。

 食堂はルナティックさんが、捜査中の場所だ。

 情報共有がてら、シェイプさんに話を伺っておこう。


「ユウキ、ここまでで具体的犯人像は見えてきましたか?」

「まだぼんやりしていますが、少しずつ見えてきましたよ」

「では一度、犯人像をプロファイリングしてみてはいかかげですか?」


 今ある情報を整理して、犯人像を明確にするか。

 やるだけやってみよう。


「まず犯人は食事に何か仕込んだ。これは間違いないよ」

「ふむ。事前に食事に細工出来る者ってことですね?」

「つまり、この屋敷に前もって居た人物と言う事になる」


 食堂の位置や、食事の内容、食器の位置など。

 どこに仕込むにせよ、それらを把握することは不可欠だ。


「部屋の荒れ具合も、何かを隠すためなら相当詳しい者のはずだ」

「確かに。現場に何があるのか把握していないと、荒らして隠すのは難しいでしょう」

「密室を作れる事から、犯人は屋敷に熟知している者だと考えられる」


 このことから長年屋敷に、仕えていた者ってことになる。

 だから会談に来ただけの存在は、犯人から除外されるだろう。


「更に犯人は、ダストボックス捨てられた。重たい球体を軽々持ち上げられる人物だ」

「ふむ。よっぽどの力自慢てことですね?」

「そんなことが可能なのは、ドワーフ族くらいだろうね」


 ここから見えてくる犯人像は。

 屋敷に熟知した、長年仕えてきたドワーフ族と言う事になる。

 やっぱりこの場合、執務室がある大統領にも容疑が広がる。

 

 この屋敷で執務を行っていたなら、屋敷に相当長くいたはず。

 彼に聞けば、他に長くいたドワーフは分かりそうだけど……。

 多分容疑者は相当多いだろうだな。


「取り合えず、浮かび上がったのはこれくらいかな?」

「まだ数は多いですが、絞り込めた方ではありますね」

「とにかく、食堂で情報を集めよう。あまり時間もないし」


 既に捜査開始から、三十分が経過している。

 残り時間は半分。それも長く見積もってもだ。

 時間を無駄にしている余裕はない。次の食堂で多くの情報を集めるんだ。


 僕は祈るような気持ちで、食堂に向かった。

 ここでは既にルナティックさんが、部下に指示を出していた。


「よう、坊主。何か分かったか?」

「ええ。状況は大体把握してきました」

「そんな坊主に朗報だ。やはりコーヒーに、睡眠薬が仕込まれたいたよ」


 あのコーヒー、変な味がしたけど。

 やっぱりあれは薬の影響だったんだな。


「だが妙なことに、検出された量は殆ど眠らないような少量だ」

「え?」

「しかも、全員のマグカップの方から検出された。俺達全員が、少量の睡眠薬を飲んだことになる」


 少量の睡眠薬だって? じゃあ何故僕は、眠らされたんだ?

 しかも全員に仕込まれたなら、何故特定の人物にのみ強い作用が。


「ルシェ様が座っていた席、調べてみる必要があるな……」


 僕はマグカップだけじゃなく、席にも睡眠薬が仕込まれた可能性を考えた。

 ルシェ様が座っていた席を知らべてみる。


「残念だが、そこから睡眠薬は検出されなかったぜ」

「そうですか……。ん? 何か香りがするような……」


 商談の時は緊張していて、気づかなかったけど。

 この席、妙にいい匂いがするような気がする。

 ルシェ様の匂いって事はない。彼女が席をたって、随分時間が経っているからな。


「これはハーフの匂いか?」


 ルシェ様の席にハーブが塗られていたのか?

 ちょっと待て。ハーブの話、つい最近したような気がするぞ。


「なるほど。大体真実が見えてきたな」

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