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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
第3章 ドワーフ屋敷事件
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プロローグ ドワーフの国

「すいません、ソウヤさん。送ってもらって」

「いや。昨日の船の事件では、迷惑をかけた。このくらいお安い御用だよ」


 僕達はソウヤさんが手配した馬車に乗って、ドワーフの国を訪れている。

 ここはドワーフの国の中でも、大きな街だ。

 レンガが地面に敷き詰められており、お城でもないのに大きな建物が沢山ある。


 流石ものづくりは最も発展した、ドワーフの国だけあって。

 見たことがないものが沢山ある。

 


「それにしても、ユウは良く事件に巻き込まれるねぇ」

「好きで巻き込まれるんじゃないですよ……」


 同行したルシェ様が、僕に冗談を口にした。

 全くだ。昨日と言い一昨日と言い。僕は事件が起きた、その場に居た。

 まるで死神の様な存在だな。これは。

 

「ふむ。大分打ち解けたんじゃないのか? 二人共」


 同じく一緒に来た、魔王様が笑顔で僕達を見つめる。

 ルシェ様の父上で、見た目は怖そうだけど。

 意外とお茶目な一面もある、立場に似合わない軽い魔物だ。


 僕達は現在、ドワーフの国に買出しに来ている。

 ドワーフの国は通称、世界の道具屋と呼ばれていて。

 彼らが開発した、画期的な発明品が売られているのだ。


「しかし、何もこんな使いパッシリ。君達が行わなくても居んだぞ?」

「魔王様をパシリにする方が、恐ろしいです……」


 僕は苦笑しながら答えた。

 魔王様はドワーフのお偉いさんに招待されたようだ。

 今後も道具を買ってもらうため、国を入れてアピールしたいそうだ。


 招待状にはそう正直に書かれていた。

 なので、魔王様がここに来たんのは政治のためである。

 あくまで買い物は僕達の仕事。今回の買い物は、只の買い物ではないのだから。


「それに他国の新製品の調査も、探偵の仕事だよ。お父様」


 ルシェ様の言う通りだ。僕達は探偵として、正式に依頼を受けている。

 ドワーフの国にある新製品が、魔物に危険性がないかの確認。

 こういう調査だって、探偵の仕事の一環なのだ。


 僕の事務所には本当に様々な依頼が来るから。

 こういった仕事も珍しい事じゃない。


「何より、久しぶりに探偵っぽい事をする気がしますよ」

「ええ!? 事件沢山解決しているじゃん!」

「それは本来騎士団の仕事です……。僕は手伝いをしているだけですから」


 探偵の仕事は地味なことが多いのだ。

 魔界では騎士団に依頼されて、ちょっと難しい事件の調査を依頼されることもあるが。

 他国でそんなこと、頼まれるはずがない。


 だから僕が今までしてきたのは、ただの手伝いなのだ。

 当然一銭にもならない。金欠って程じゃないから良いけど……。

 正直虚しさも感じる。人助けも結構なんだど……。


「ハハハ! 探偵殿も我が騎士団に転職してはいかがかね? 今より給料が上がりますよ!」

「ちょっとソウヤさん! 勝手に私の部下を、引き抜こうとしないでください!」

「おっと! これは失礼! 優秀な人材に恵まれて、ルシェ様は羨ましい限りですなぁ!」


 ソウヤさん前の事件の時は、嫌味なエルフぽかったけど。

 打ち解けたら案外冗談も口にして、親しみやすい。

 人見知りのルシェ様も、既に慣れた様だった。


「以前の事件で、多くを学ばせていただきました。我が視野の狭さも」

「ソウヤさん。危うく犯人を逃がしそうになりましたもんね」

「ちょっとルシェ様!」

「いや、事実だから良いのですよ。我がエルフ騎士団もまだまだですね……」


 エルフ騎士団か。でも彼らは僕を捜査に加えてくれたりもした。

 柔軟な考えを持つ彼らに、僕だって助けられていたのだ。


「魔王様、どうでしょう? 今度講習会として、お互いの代表を交換しませんか?」

「おお! 良いな! 国家の交流にもなる!」


 すっかり二人で盛り上がっている。

 その講習会とやら、僕が講師にされそうな気がするんだよなぁ……。

 自惚れかもしれないが、現状魔界で探偵は僕一人なのだから。


 でも。こうして種族の壁を超えて、交流するのは良い事だ。

 和平が結ばれたばかりの人界人とだって……。

 きっといつから、互いに手を取り合う事が出来るはずだ。


「僕らはここで。買い物を済ませますので」

「では私はソウヤ殿と先に、屋敷に向かっているよ。ルシェ、迷子になっちゃだめだぞ」

「お父様。いつまでも子供扱いしないでくださいよ!」


 子供なんだけどね。僕もルシェ様も、魔王様から見たら。

 十八歳って言うのは、意外と子供なのだ。


「じゃあさっさと、買い物済ませちゃおうっか!」

「はい。確か確か調査対象は……。扇風機と言うものでしたね」


 最近のドワーフは、電気を使う製品が多いな。

 どうにもモーターとやらの発明が、大きく進歩したらしい。

 そのおかげもあって、機械と言う物が生まれたのだ。


 僕達はドワーフの街を歩きながら、お店に向かった。

 通った道のりは、まだ建物が小さく一通りも少ない通りだった。


「いらっしゃい! おう! 坊主達か!」

「こんにちは、親方。親方のお店だったんですね」

「ああ! 俺達はドワーフの中でも、指折りの職人だからな!」


 自画自賛だが間違っていない気がする。

 何せ、酸素ボンベを作ったは子のドワーフ達なのだから。

 あれも結構、凄い発明の様な気がするんだが。


「それで今日はなんだ? また事件でも起きたか?」

「親方……。僕を何だと思っているんですか?」

「死神」


 それは否定できないけど……。

 僕は気を取り直して、扇風機の調査を始めた。

 扇風機は風を送ってくれる、便利な機械だったようだ。


 特に魔物に悪影響はなし。これで調査は完了だ。

 この依頼をした魔物。ただこれが欲しかっただけじゃないか?


「どうせなら、他にも商品を見ていったらどうなんだ?」

「他にどんな商品があるんですか?」

「お前達にお勧めなのか、こいつらだ!」


 親方は奥の方から、商品を取り出した。

 家の形をした時計に、ハーブを入れた試験管。

 更には只の布にしか見えないものまで。


「この時計は鳩時計と言って、鳩の鳴き声の回数で今何時か教えてくれるんだ?」

「どういう事ですか?」

「例えば七時になったら、七回鳴く。これで時計を見ずとも、七時が訪れたと分かるんだ」


 一見くだらなさそうだけど、音の規模が広がったら。

 仕事時間を自分で管理しなくても、良くなりそうだ。

 小さい様で、結構良い発明な気がする。


「こっちのハーブは、よく眠れると評判だ。それを真空状態で保存している」

「へえ。寝つきが悪い僕には、助かるかも」

「あ~。でも睡眠薬とかと併用するなよ。コイツには意識を奪う成分を、増幅させる作用がある」


 物騒だ。これはいらないかな?


「最後はどんな水分も、吸収する魔法の布だ?」

「どんな水分も?」

「ああ。吸い取り難い液体とかも、瞬時に拭けるぜ! 血液なんかも、吸収する」


 なにそれ、怖い。一体どんな成分で、出来ているんだ?

 扇風機より、これらの商品の調査をした方が良くないか?


「面白そうじゃん。ユウ、何か買ってみなよ!」

「えぇ……。鳩時計以外、危険性が付きまとうんですけど……」


 しかも鳩時計はいらない。でもルシェさまをガッカリさせたくないなぁ。

 しょうがない。布でも買っておくか……。


「まいど! その布、大事に使えよ!」

「はい……」


 使う所がない事を、祈るしかない。

 扇風機は重かったので、ルシェ様の異空間魔法で、別の空間に仕舞ってもらった。


「それにしても、随分と活気がある街ですね」

「おうよ! 何せ、職人が生きる街だからな!」


 ここには親方以外にも、沢山の職人が住んでいるようだ。

 職人が快適に働けるよう、街を発展させたらいし。


「でもな、この辺りが活気づいたのは、最近だぜ」

「え? そうなんですか?」

「ああ。周りを見てみろよ。まだ建設中の建物があるだろう」


 親方が当たりを指した。僕は指先に沿って、視線を動かす。

 確かにこの辺りは建物が小さいし、建設中の建物もある。

 

「元々この辺りは貧困街でな。俺らの工房も、小さいもんだったぜ」

「貧困街?」

「ああ。貧乏人が集まり、廃墟にホームレスがたむろする。治安の悪い場所だったんだ」


 貧困の格差があるのは、どこの国も一緒なんだなぁ。

 

「それを変えてくださったのが、現ドワーフ大統領なんだ」

「へえ。よく見てらっしゃるんですね?」

「今の大統領は元々貧困街出身でな。だから、貧困対策に、力を入れたらっしゃるんだ」


 その結果この場所が、活気づいたわけか……。

 でも貧困街出身のドワーフが、どうやって大統領まで上り詰めたんだ。


「俺達元貧困民は、大統領に足向けて寝られないんだぜ」

 

 親方、大統領を尊敬しているんだなぁ。


「ありがとうございます。僕達はこれで」

「おう! ドワーフの国を楽しんで来い!」

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