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魔界探偵2~四種族と死神の復讐~  作者: クレキュリオ
第2章 過去と現代の交わるところ
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第11話 推理議論序盤~すり替えトリック~

本当は一気に投稿する予定でしたが……。ごめんなさい……。

まだクライマックスが書けていない&次のトリックが決まっていないんです……。

少しだけ時間稼ぎさせて下さい。

「さてと。今回の争点だけど。酸素ボンベに不備があったのかどうかでしたね」


 何故かアリス様が仕切り出した。ツカサの一件と言い。

 どうやら仕切りたがりのようだ。

 僕としては話を切り出すのが苦手だから、助かるのだけど。


「本物には印があった。だからドワーフ達は、試作品と判別することができた」

「でも実際は、印付きの酸素ボンベは二つありましたよ。僕達は見ました」

「そんなバカな……。俺は一つしか掘ってないって……」


 親方は自信なさげに、しょぼくれている。

 自分が自身を持って掘った印を真似されて、ショックなのだろう。


「何故印付きの酸素ボンベが二つあったのか。まずはそれから話し合いましょう」


 アリス様。流石国際騎士とだけあって、議論を仕切りなれているなぁ。

 確かにまずは印が二つあった理由を、明らかにした方が良さそうだ。


「本当に貴方にしか真似出来ないのですか? 意外と簡単な印だったとか?」

「バカにするな! アレは手先が器用なドワーフ。それも職人にしか作れねえ!」


 アリス様の言葉に、早速怒鳴って反応する親方。

 逆に言えば職人なら、偽造も可能と言う事だが。

 少なくともこの船に職人は、親方しかいない。


「作った本人になら、偽造くらい可能でしょうけど?」


 ソウヤさんが、挑発するように親方へ口にした。

 親方は単細胞なのか、直ぐに乗って顔を真っ赤にした。


「ふざけんな! この男、ロッキチ! そんなけち臭い真似はしねえ!」

「ですが。それ以外に説明がつきませんよ?」


 ソウヤさんの言う通り、あの印を掘れるのは親方のみだ。

 そう。掘ることが出来るのは。


「他の者に偽造が不可能な以上。貴方が間違えて二つ作ったとしか、考えられませんなあ」

「それは違います」


 僕はソウヤさんの言葉に、反論を告げた。


「確かに道具を使って印を作るのは、親方にしか出来ませんが。ある物を使えば、誰にでも可能だったのです」


 僕は犯行に使われた道具を見ている。それを叩きつけてやるんだ。


「犯人は写真で、印を偽造したんです」

「おいおい、兄ちゃん。庇ってくれる所悪いけどよぉ。カメラは特殊な用紙にしか、写真を写せないぜ」

「それは人界で作られたカメラの話です。エルフ族の国ではどうでしょう」


 アリス様はタトゥーの同じものが、印字できると解説してくれた。

 つまりエルフ族には、用紙以外にも写真を写す事が出来るのだ。


「犯人はカメラと同じ、色を保存して、それを再現する原理を利用したんです」

「う、うむ……。それなら、確かに印は、再現可能だけどよ……」

「お話になりませんね! 写真の原理を使うには、魔法が必要なのですよ!」


 ソウヤさんが、僕に反論してきた。

 その通りなのだ。エルフの写真は他の物に写せる代わりに。

 魔法を使う事が不可欠だ。でも船内には、魔法が使われた形跡がない。


「簡単ですよ。犯人は、船内以外で写真を利用したのですから」

「ですが、本物はドワーフが厳重に保存してあります。印の偽造には本物が必要ですよ?」

「運ぶために酸素ボンベを持ち出します。その時盗み撮りでして、画用紙に描き込むことは可能です」


 そう。本物の印をそのまま、試作品に印字することは不可能だけど……。


「犯人は一旦画用紙に保存した印を使って。試作品に印を印字したんです」

「な、なんだとぉ!?」


 親方がオーバーに驚いている。騒がしいドワーフだなぁ。

 でもこれで、僕はハッキリさせることができた。

 印付きの酸素ボンベが二つあった理由を。


「ちぃ……。どうやら認めるべきですね。その方法が可能だと」


 ソウヤさんもこれ以上は、反論がないようだ。

 これで親方以外にも容疑者を、広げる事が出来る。

 

「ふむ。しかし犯人は、何故印付きの酸素ボンベを用意したのでしょうか?」


 アリス様が次の議題を提示し始めた。

 問題はそこだ。犯人が印付きの試作品を、作り出した理由。

 そこに今回の事件を解く、鍵があるはずなんだ。


「それに酸素ボンベは、厳重に保管されています。印などなくても、間違えませんよ?」


 厳重に保管されていたなら、すり替える事なんて出来ない。

 あんな大きなもの、隠して運べないからな。


「あ、いや……。厳重と言っても、見張り付きなら、誰でも出入りは出来たんだ……」


 親方が弱々しく口にした。


「一応、発表の場だし、直に見て欲しくてな……」

「ですが、見張りがいたら、すり替えなんて出来ませんよ」


 その通りだ。だから犯人がすり替えを行うとしたら……。

 

「チイさんが、転倒した時。酸素ボンベを転がしましたよね?」


 あの時試作品に向かって、転倒したのでよく覚えている。


「きっとその時、すり替わったんです」

「ええ!? でもあの時私めが転んだのは、偶然ですよ?」

「いいや。偶然じゃなかったんだ。何故ならあの場所、床板が一枚だけ上がっていたんです」


 チイさんが転んだ丁度その場所の床板が、一枚不自然に上がっていた。

 足を引っかければ、十分転倒するほどの高さだ。


「チイさんは、重たい酸素ボンベを持っていましたから。転倒することも、予測可能でしょう」

「ふむ。ですがそうなれば、転がった中に、印付きの酸素ボンベは二つあることになります」


 元々持っていた酸素ボンベにも、印はあったはずだ。

 チイさん達は本物かどうか、一旦調べているだろうし。


「どちらを彼が取るか、分かりません。そんな運に任せた犯行なのですか」

「いや。運なんかに頼る必要はないよ。何故なら本物の酸素ボンベには……」


 思い出すんだ。僕は試作品を調べている時。

 あることを発見したはずだ。


「印の上に、素材と全く同じ色の紙が貼ってあった。だからチイさんは、印に気付けなかったんだ」


 捜査中に偶然素材と同色の紙が、剥がれた。

 ルシェ様はアレが、写真だと言っていた。


「犯人はあらかじめ取っておいた素材の写真を、印の上に貼ったんだ」

「ふむ。印があるか、ちゃんと確認しなかったのですか?」

「いや。チイさんが見たときは、間違いなく印はあったはずだよ」


 チイさんが見た時に印はあって。転倒した時には、印が隠れていた。

 この謎を解く手がかりを、さっき僕が提示した。


「犯人は印を偽造する時に使った写真を、更に素材写真の上に被せたのだからね」

「なるほど……。貼り付けをわざと甘くすれば。運んでいる途中に、剥がれますね……」

「うん。重たいボンベを一生懸命運んでいたから、チイさんは気づくことが出来なかったんだ」


 見学が可能だったとすれば。犯人は見張りの前で、堂々と写真を貼ったんだ。

 印は小さいから、見張りは写真に気付くことが出来なかった。

 気づいた所で、印の写真が上に載っているだけだし。


「犯人はチイさんを利用して、酸素ボンベをすり替えたんだ」


 これですり替えのタイミングと、方法も分かった。

 問題になるのはここからだ。


「ですが、結局犯人が何故酸素ボンベをすり替えたのか。その理由が分かりませんね」

「それを明らかにするためにも、議論を進めましょう」


 酸素ボンベをすり替えた理由。それこそが、被害者の殺害方法に繋がる。

 議論を進めて、真相を明らかにするんだ。

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